トンボの日々

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2017年 12月 07日

ガの魅力

夏に山梨の無人駅で拾ったもの。

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おそらくタケカレハ雄と思われる。
たまたま静止姿勢のまま死亡していたので、そのまま乾燥させ標本に。

ガという昆虫は、実に魅力的なグループだと思う。
まずはその種類の多さ。他の昆虫に比べて愛好家の絶対数が少ないのであまり研究が進まず、未知の種
が多く存在すると言われている。普段生活している世界に、未知のガが飛んでいると思うと楽しい気分
になってくる。
そして昼間に活動するチョウと比べて、姿形のバリエーションが多彩なのも特徴だ。中には体長が数ミ
リのグループもあり、身体の構造が同じはずのチョウにはこのような超小型種がいないのも不思議。

静止する姿が様々なことも、ガの魅力のひとつ。画像のタケカレハも、静止している姿は一般的なガの
イメージからはかけ離れている。生時の静止姿勢こそ、ガの最大の魅力だと思うのだが、静止姿勢をメ
インに扱った図鑑が少ないのが残念だ。

一説によると、夜行性のガの中から昼間に活動するチョウが分化した、といわれているが、なるほど、
そのバリエーションの豊かさからすると、チョウは「昼間に活動するガの一群」と考えたほうがしっく
りくる。

ガの深遠な世界にはまってしまうと戻れなくなりそうなので(食草との関係を憶えるのも大変)二の足
を踏んでいるが、好きなガとの出会いは常に期待している。

来年も良い出会いを夢見つつ、タケカレハの標本を眺める毎日。





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# by brunneus | 2017-12-07 23:56 | つぶやき | Comments(0)
2017年 11月 26日

異端

トンボと呼ばれる昆虫は、大きく分けてイトトンボ類に代表される均翅類と、トンボやヤンマに代表さ
れる不均翅類に大別される。かつてはムカシトンボ科は均翅でも不均翅でもない独自のグループ、とさ
れていたが、最近は不均翅類に含められるようだ。
そして均翅類は前後の翅の形がほぼ同じで身体が細長く、翅を閉じて静止する(アオイトトンボ科の種
などは半開き)、不均翅類は前後の翅の形が異なり、翅を開いて静止する。
これは子供向けの図鑑にも書いてある、常識的な事柄だ。ただし、これは「日本国内での常識」だが。

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これはオーストラリアに分布する、Cordulephya pygmaeaというトンボ。
分類としてはエゾトンボ科に近いのだろうか、この種が含まれるグループの日本名は、まだ無いようだ。
小型のサナエトンボとエゾトンボを足して二で割ったような形をしているが、このトンボが特異なのは、
不均翅類であるにも関わらず前後の翅の形が似ている点。そして極めつけは、物に止まる際にイトトン
ボのように翅を閉じるのだ。現地では「Shutwing」と呼ばれていて、まさにその静止姿勢が名前の由
来になっている。

「不均翅類は翅を開いて止まる」と子供の頃から信じて疑わなかったのだが、このトンボを知った時は
衝撃だった。どんな生き物にも、その種が属するグループからはみ出した「異端者」があるが、それを
知った時、ショックと共に、世界の広さと自分の意識の狭さを嫌と言うほど実感する。

Shutwingたちは、どこでどんなふうに暮らしているのだろう。
いつか、その姿をこの眼で見てみたい。






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# by brunneus | 2017-11-26 22:39 | つぶやき | Comments(0)
2017年 11月 16日

斜め上

昨年後半から、採集したトンボを斜め上の角度から撮影し始めた。今年は春から全ての種で斜め上撮影
を実行し、だいぶ充実してきた。

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この角度からは正確なトンボの形態は分からないが、立体的に斑紋の繋がりが見られる点が気に入って
いる。
今年は残念なことに春のトンボの出会いが少なく、アオサナエ雌、ムカシヤンマ雌、サラサヤンマ雌の
写真が撮れていない。来年は出会えるだろうか、、。







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# by brunneus | 2017-11-16 18:35 | つぶやき | Comments(0)
2017年 11月 09日

11月のミルン

数日前。
スナアカネの探索に疲れたので、気分転換に近場の谷津へ。朝は燦々と太陽の光が降り注いでいたのだ
が、山から湧いた雲がみるみる広がり、ポイント到着時にはどんより薄暗い風景に。

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この天気、しかも遅い時間なのでアカネ類は望むべくもないが、気温は高いので、この日の目的である
ミルンヤンマに関しては問題ないだろう。木々は色付き始め、谷は静かな秋の空気に満ちている。

この谷を流れる一本の細流の中で、雄が頻繁に通りそうな場所を選んで陣取る。

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待つことしばし。
下流から何かが接近してくるのを発見。岸辺の朽ち木を覗き込むようにしながら飛んでいる。ミルンヤ
ンマ雄。薄暗い空間を飛ぶミルンヤンマの存在感は頼りなく、随分小さなトンボに見える。
足元の朽ち木でホバリングした瞬間にさっとネットを被せる。

その後も間欠的に雄が飛来。そして時間切れ間際に、朽ち木に産卵している雌を発見。直後に通りかか
った雄に連れ去られそうになったが、すんでの所でストロークが間に合った。


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シーズン末期のミルンヤンマは、腹部の黄斑が色褪せ、殆ど消えかかっている。まるで作成に失敗した
標本のようだが、これでも元気に飛び回っている個体なのだ。
このポイントは11月はあまり訪れたことはなかったが、この日はまだまだミルンヤンマの個体数は多
かった。ミルンは、関東南部のヤンマの中では最も遅い時期まで見られる種だと思う。

最近は殺風景なスナアカネ的環境ばかり見ていたので、久々に瑞々しい秋の谷津に身を馴染ませると心
が落ち着く。
さて、今年はもう一度、スナアカネに出会えるのだろうか?





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# by brunneus | 2017-11-09 01:19 | 東京 | Comments(0)
2017年 11月 03日

台風の恵み

先日のスナアカネポイント。
時間はあまりなかったが、首尾よく目的を達成後、せっかくなので30分だけ砂浜へ。
到着後、まず目に入ったのがこれ。

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巨大なワタリガニ。近くにはこれまた巨大な鋏脚。

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おそらく同じ個体のものだろう。このカニの名前はノコギリガザミ。国内には「トゲ」「アミメ」「ア
カテ」の3種のノコギリガザミが分布するというが、この個体はどれにあたるのだろう。南西諸島では
馴染み深いカニだが、未だ野外で野外で見たことがなかった。

砂浜を見渡すと、台風の影響かあちこちに漂着物がある。そのひとつを何気なくひっくり返すと、何か
が蠢いた。

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イシガニ!

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長年の憧れであるワタリガニの仲間では、今まではミナミベニツケガニしか採集したことがなかったの
だが、これで2種目。イシガニも成長するとかなり大型になるのだが、運良く持ち帰るのに手頃なサイ
ズを入手できた。

調子に乗って手当たり次第に漂着物をひっくり返していくと、時々出て来たのがこれ。

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テッポウエビの仲間。残念ながらみな死亡していたので色彩は分からない。この仲間の武器は、この異
形の鋏脚。

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特殊に進化した鋏部分を水中で勢い良く打ち合わせ、その衝撃波で餌となる生き物を気絶させるという
技を持つ。
ハサミシャコエビ、スナモグリ、アナジャコ、そしてこのテッポウエビの仲間は、どれも石の下や干潟
の泥、砂の中に棲む、エビのようでエビとはどこか異なる雰囲気を持つ独特なグループ。表舞台に出る
事のない、いわば海辺の裏世界の住人だが、その怪しい魅力に捕らえられつつある。
テッポウエビの仲間は類似種も多く、手軽に調べられるツールもないので、得た個体が何テッポウエビ
かは不明。沢山見つかるくらいなので、普通種であるイソテッポウエビあたりかな、と睨んでいるのだ
が、、。

その他はあちこちにこのカニの死骸。

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モクズガニ。繁殖を終えて力尽きたのだろうか。立派なサイズの雄が多かった。
最後に大物。

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アカエイ?
ここで時間が来て、撤収。

台風は、もちろん人間にとっては多くの被害を出す存在だが、生き物好きにとっては、思わぬ出会いを
もたらしてくれる、ありがたい存在でもある。
この日は、そんな台風の「恵み」を存分に味わうことが出来た。


そしてスナアカネ。
その後都内の候補地数カ所を巡ってみたが、姿は見られず。どうやらこの日に運を使い果たしてしまっ
たようだ。






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# by brunneus | 2017-11-03 23:04 | つぶやき | Comments(0)