人気ブログランキング | 話題のタグを見る

トンボの日々

brunneus.exblog.jp
ブログトップ
2011年 07月 28日

木陰の普通種

台風は去ったものの、台風以前とはすっかり天気が変わってしまった。
どんよりと曇り、気温は低いが蒸し暑い。
蒸し暑いのはいいが、黄昏時に飛ぶヤンマが活動する夕方になると、
決まって天気が崩れるのが痛手だ。

千葉に遠征に行きたいが、こう不安定な天気だと、
なかなか踏ん切りがつかない。延々3時間もかけて雨に降られたときには、
泣くに泣けないからだ。

そんなわけで、リスクが少ない近場のマルタンヤンマを地道に追っているが、
あまり芳しくない。

すっきりしない灰色の空を、ぽつんとヤブヤンマが飛ぶ。

ヤブヤンマ雄:体長83mm
木陰の普通種_a0126535_403424.jpg

木陰の普通種_a0126535_404912.jpg


ヤブヤンマは平地に棲むヤンマの中では最大級の大きさだが、
幼虫が棲むのは、林の中の水たまりや、コンクリートの小さな貯水槽などの
みみっちい貧弱な水域。
あんな餌も少ないような水辺から、よくこんなに大きなトンボが成長できるものだ。

その小回りが効く生息環境を最大限に活かし、東京都内では幅をきかせている。
平地のヤンマと言えばギンヤンマが真っ先に思い起こされるが、
ヤブヤンマはギンヤンマが棲めないような小さな水域をネットワークとして、
ギンヤンマを凌ぐ繁栄を手にしている。

しかしギンヤンマより目立たないのは、昼間にはめったに飛ばないため。
薄暗い水辺を影のように密やかに飛ぶので、気付かれることはまずない。

狙いのマルタンヤンマが不発に終わっても、ヤブヤンマだけは必ず姿を見せる。
この「神経の図太さ」も繁栄の原因かもしれない。

by brunneus | 2011-07-28 04:14 | 神奈川 | Comments(0)


<< 関東の暗闇系      定点観測 >>