エゾトンボは、その名の通り東北地方北部や北海道が本拠地の北方系のトンボ。
(昨年も同じようなことを書いた気がするが、、)
北海道にはゴミのように飛んでいるらしいが、温暖な関東地方では稀種となる。
とくに東京や埼玉など南部ではさらに少なくなり、産地での個体数も少ない。
これでは出会うのは運まかせになってしまうので、
数年前から北関東の産地へ通っている。
この仲間の雄は一見するとどれも同じような姿をしているが、雌が特徴的で面白い。
北関東に棲んでいるものは、かつて「オオエゾトンボ」と呼ばれたタイプで、
雌の腹部がずんどうで、体も大柄になる。
エゾトンボ雄:体長60mm
エゾトンボ雌:体長65mm
しかし、比較的数が多いとされるこの地でも、雌を見ることは多くはない。
雄に比べ不活発というのもあるが、産卵を含め、生態をよく理解していないからだろう。
そんなわけで、雌と出会うチャンスは摂食飛翔の時となる。
この時はゆったりと上空を旋回しながら飛ぶので、採集は比較的楽だ。
(長い竿があれば、の話だが)
その特徴的なシルエットで、一目見れば雌と分かる。(前記事二番目の写真)
しかし、その摂食飛翔も数は少なく、例年は汗だくで走り回ってもふたつかみっつ、
という程度だったが、今年は違った。
広大なアシ原の上を、西日を受けて多数の雌が群飛していたのだ。
ここは北海道?と一瞬目を疑ってしまった。
今年は多分当たり年なのだろう。
このトンボは2〜3年で一世代を繰り返すので、
今年が多いということは、来年は少なくなるのだろう。そしてまた数年後にピークが来る。
滅多に見られない光景に出会えて、往復7時間の長旅の疲れも吹き飛んだ。