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トンボの日々

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2011年 08月 14日

豊葦原瑞穂国

先日の画像から。

ウチワヤンマ雄:体長78mm
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ネアカヨシヤンマ雄:体長77mm
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東京都東部に細々の生き残っている、低湿地に生息する代表的な2種。
そしておもむろに、200年前の東京東部に思いを馳せてみる。

当時この地域は、いくつかの大きな河川の河口域にあたり、中州が縦横に発達し、
いたる所に湿地やワンドが点在していた。
おそらく、人が住もうにも、地盤がどろどろで家は建てられなかったに違いない。
見渡す限りアシ原が広がり、所々にハンノキの林がぽつぽつと点在する風景だったのだろう。
苦労して付けられた畦道には、地盤を強化するために、松が植えられていたかもしれない。
だだっぴろい平原に、畦道沿いににょきにょきとひょろ長い松が並ぶ、原野。

それは人間にとっては不快で不毛の大地でも、トンボ類にとっては天国のような環境だ。
夏の真っ昼間、ワンドの岸辺にはウチワヤンマが我が物顔で飛び交い、
日没時刻になると、ハンノキ林の中から次々とネアカヨシヤンマが飛び出してくる。
至る所でこのような光景が見られたのだと思う。

そして現在。
ほんの僅かではあるが、東京東部から千葉県西部にかけて、かつての環境が残されている。
そしてそんな場所には、決まって上記の2種が生息している。

数は少ないが(特にネアカヨシヤンマは稀)、
猫の額ほどの江戸の名残りの風景の中を飛び回っている様を見ると、
一瞬だが200年前にタイムスリップした気分になる。

僅かでも、そうした地域が残されていることに感謝したい。

by brunneus | 2011-08-14 02:16 | 東京 | Comments(0)


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