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トンボの日々

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2011年 11月 04日

パティローマ・その1

波照間島(パティローマ)は、南西諸島南部、八重山諸島を構成する島々のひとつだ。
九州南端から、台湾に向けて緩やかに弧を描く列島の、最もたわんだ頂点に位置する。
緯度は台湾北部より低い。
一般には、有人島としては日本最南端の島として知られている。
石垣島と西表島、竹富島や黒島など、島が固まった地域から離れ、
大海原の中にぽつんと浮かぶ、小さくも大きくもない島だ。

波照間は平坦な島で山が無く、島を歩けば見渡すかぎりのサトウキビ畑が広がる。
山がなければ川もない。
こんな島なので、水の確保の苦労は想像に難くない。そのためか、島のあちこちに
大小の貯水池がつくられている。

新しい貯水池は直線的なコンクリート護岸で無味乾燥な雰囲気だが、
よく見ると、あちこちに古い小さな貯水池がひっそりと点在している。
そんな貯水池(というか池)は、水生植物や藻が繁茂し、
乾燥した島では貴重な水生昆虫の住処となっている。

そんな古い貯水池のひとつを何気なく覗いていると、
夕方の日差しを浴びて、小さなオレンジ色のトンボが飛び交っているのが見えた。
内地であればこの時期はキトンボなのだが、ここは八重山。
すぐにトンボの正体がピンと来た。

ヒメキトンボ雄:体長35mm
パティローマ・その1_a0126535_064836.jpg

パティローマ・その1_a0126535_07151.jpg


ヒメキトンボ雌:体長33mm
パティローマ・その1_a0126535_073227.jpg

パティローマ・その1_a0126535_074454.jpg


国内では八重山諸島や宮古島に記録があるが、
発生は不安定なようで、過去に何度か訪れたときには姿は見られずじまいだった。
図鑑によると、波照間島での記録はない。

ヒメキトンボはまったく予測していなかったので、
目の前の光景がすぐには信じられなかった。

その後、島の北海岸の砂浜を散策していると、
足元の灌木を飛ぶトンボの姿が目に入った。

パティローマ・その1_a0126535_01304.jpg


よく見てみると、なんとそれはヒメキトンボの雌。
海の彼方から風に乗って、飛んできた直後なのだろうか。

放浪癖があるこのトンボ。
次にこの島を訪れた時に、また見られるとは限らない。
しっかりと、島の風景と共に目に焼き付けた。

by brunneus | 2011-11-04 00:14 | 沖縄 | Comments(0)


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