だだっぴろい島の道を歩いていると、
林縁や空き地をふわふわ飛ぶトンボをよく目にする。
何種類かが混じっているのだが、最も数が多いのがこのトンボ。
ウスバキトンボ雄:体長50mm
このトンボは常に数匹で群れて飛んでいることが多い。
一方、単独でぽつんと漂っているのがこのトンボ。
ヒメハネビロトンボ雌:体長50mm
個体数はウスバキトンボよりずっと少ない。
「ハネビロ系」とも言えるこの2種は違う属に分類されているのだが、
翅が長いこと、幼虫の形態が似通っていることなど、
ごく近い種を祖先に持つグループであると思われる。
翅が長い、ということは、風に乗って長距離を移動する能力に長けている、ということ。
洋上にぽつんと浮かぶ島は、
これら放浪するトンボにとっては良き中継地点となっているのだろう。
ウスバキトンボは基本的には熱帯のトンボだが、
風に乗って夏には北海道まで北上し、至る所でおびただしい数が見られる。
しかし冬になると低温に耐えられずに幼虫もろとも全滅してしまう。
そして次の年の春に再び北上を始めるのだ。
すっかり朝晩の寒さが厳しくなった今頃は、
このトンボの北上は屋久島あたりで阻まれているのかもしれない。