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トンボの日々

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2011年 12月 31日

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2011年が終わる。

今年は、これからシーズンが始まろうという時にあんな出来事があり、
トンボ以外の所で重苦しい幕開けとなった。

しかし、シーズンが始まってみれば、出だしはまずまず順調。
シーズン一発目のトラフトンボは今年も数が多く、
青空の下、新緑の木々の上を悠々と旋回する群れは圧巻だった。
そして結局昨年採りこぼしたサラサヤンマ雌も無事採ることができた。
しかし、ムカシトンボだけは徹底的に天気とタイミングにふられ、満足な成果をあげられなかった。
晩春の埼玉サナエポイントは、ここ数年では一番状態が良く、
いるべきトンボが全て見られ、全て手にできた出来過ぎな一日。
ムカシヤンマは今年も数は少なかったが、幸運な出会いがあり、
短時間ながら雌雄を無事採集。
春のシーズンは予感に溢れた満ち足りた日々だった。

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そして南方遠征。
台風によるキャンセル、チケット新規取り直しという
遠征史上初の強引なスケジュール変更の末にたどり着いた亜熱帯の地は、
台風の影響がまだ残るのか、トンボの気配が殆ど無かった。
しかし、視界の隅や、林の陰にさっと見え隠れする僅かなトンボの気配に追いすがり、
なんとか最低限の目標は達成することができた。
黄昏の水田を、赤い鮮烈な残像を残し俊敏に飛び回るアメイロトンボが、
いつになく多かったのが印象的。

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内地に帰るとヤンマの季節になっていた。
千葉のネアカヨシヤンマは、今年はタイミングが良かったらしく、一回の採集で満足。
ここ数年産地探しに苦戦しているマルタンヤンマは、新たに良好なポイントを見つけたものの、
ここも安泰ではなさそうだ。
そして茨城のエゾトンボ大群飛。この日が今年の採集行のクライマックスだったかもしれない。
ハネビロエゾトンボは例年通り、久しぶりの長野メガネサナエ採集行きはなんとか雌雄を入手。

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そしてここまでは良かった。
いよいよ後半戦のマダラヤンマのシーズンが開幕したあたりから、
序々に運気が下降線を辿っていく。
多大な費用と時間と労力をかけても、結局雌はおろか、
雄さえも手に出来ない初めての年となってしまった。
すがる気持ちで訪れた、多産地(であった)ポイントが壊滅状態だったことが大きい。
トドメは北関東のポイントで、黄昏の湿地で雌の振り逃がし。
目の前で飛ぶ雌の手前の空を切るネットの映像は、未だに瞼の裏側から離れない。
「今年の3大振り逃がし」というランキングがあるとすれば、確実にノミネートされるだろう。
そして秋が深まり突発的に行った南方は、トンボが目的ではなかったが、
予想外にヒメキトンボ、アメイロトンボに出会えた。
未知の土地でのトンボとの新たな出会いは、それ自体が楽しい。

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全体を通してみると、成果としてはまずまずの1年だったと思う。
しかし、良からぬ噂や気配を各地で見聞きする、暗い予感が付きまとう1年でもあった。
トンボを採集する人間にとっては、これからますますやりにくい世の中になるだろう。
「カワイソウ」とか、「昆虫マニアは自然破壊者だ」
という低次元な主張がまかり通るようでは、行く末に光はない。
こういう人々に対しては、科学的なことを説明しても、無駄なのだ。
それは一種の趣味、もしくは信仰だから。
そしてこういう人々がマジョリティで、様々な権限を持っている。
自分なりの自衛の策を、これからは今までにも増して考えていかなければならないだろう。

トンボは毎年変わらず発生するが、それを取り巻く環境は次第に悪化している。
来年はどういう年になるのだろう。

by brunneus | 2011-12-31 14:10 | つぶやき | Comments(0)


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