オオルリボシヤンマとリュウキュウギンヤンマ。
この姿も分布域も全く異なる2種の共通点とは?
上:オオルリボシヤンマ雄(北海道から九州に分布)
下:リュウキュウギンヤンマ雄(奄美大島以南に分布)
関東地方の盛夏。
涼しげな風に吹かれながら山の上にある大きめの池へ到着すると、
青い残像を残してオオルリボシヤンマの雄が悠々と旋回しているのが目に飛び込んでくる。
初夏の沖縄。
殺人的な日差しに呻きながら、山の上にあるダム湖の畔に立てば、
油を流したような静かな水面の上を、リュウキュウギンヤンマが悠々と旋回している。
この2種は、「深く大きめの池でよく見られる」という共通項があるのだ。
しかも水面上をゆったりと旋回する行動パターンもほぼ同じ。
北と南の全く異なる池でその姿を見る時、
二つの地点とトンボの残像が頭の中で交錯し、軽いデジャヴを感じる。
異なる地域の同じような環境を占有する種類を代換種と言うが、
オオルリボシヤンマとリュウキュウギンヤンマはそういう関係にあるのかもしれない。
同じようなことは、田んぼにも言える。
上:ノシメトンボ雄
下左:アメイロトンボ雄
下右:コシブトトンボ雄
内地の田んぼの代表的なトンボと言えば、ノシメトンボを含むアカトンボ属だが、
沖縄の田んぼでは、たわわに実った稲穂の上には、連結産卵するアカトンボはいない。
そのかわり、稲の根元を縦横に飛び回るコシブトトンボや、黄昏の水路を素早く飛ぶ
アメイロトンボなどの小型のトンボたちが水田を独占している。
こんなふうに、気候も風土も全く異なる沖縄と内地を
環境というくくりで比較してみると、さらに面白くなると思う。