リュウキュウカトリヤンマは、国内では南西諸島に分布する。
関東でも見られるカトリヤンマに近い種類だが、色調が暗く、
いかにも薄暗くじめじめした環境に生息していそうな外見だ。
左/リュウキュウカトリヤンマ雄:体長68mm
右/リュウキュウカトリヤンマ雌:体長69mm
種としては珍しくはないようだが、何故か出会う機会が少ない。
通い慣れた山原ではハブが怖いので、このヤンマが潜んでいそうな薮や茂みに
入らないからかもしれない。
姿を見るのはいつも、黄昏時。
山麓の水田の地表低くを敏速に飛び去っていく後ろ姿や、
林道脇を素早く飛び、森の中に消えて行く姿。
採れる、というチャンスは殆どない。
自分にとっては、カラスヤンマなんかより、よっぽど採集が難しいヤンマなのだ。
しかし所変わればいる所にはいるもので、八重山の島々、例えば西表島では、あちこちで目にする。
ちょっとした林の中の池や水たまりには、必ずと言っていいほど雌が産卵に訪れる。
とは言うものの、狭く、足場も見通しも悪い場所で竿を振り回すのは至難の業だ。
しかし目にすることが多い八重山でも、
内地のカトリヤンマのように高密度で生息しているポイントには巡り合ったことがない。
そんなわけで、未だに自分の中では「希少種」扱い。
運良く出会うと心臓は高鳴り、ついつい本気を出してしまうヤンマだ。