中途半端な天気、中途半端な気温。
こんな日は、中途半端な近場のポイントでお茶を濁すに限る。
頭に浮かんだのは青梅市のポイント。駅から歩いて行ける、お手軽な場所だ。
狙いはクロスジギンヤンマ。インターネットの情報だと、未だに羽化中のもの、既にパトロール、産卵
しているものと、発生段階がバラバラだ。青梅の状況は分からないが、どうせ様子見だし、あまり期待
しないで家を出た。
例に漏れず、ぐだぐだしていたらポイント着が昼過ぎ。
それほど有名な場所ではないので人は少ないだろうと踏んでいたのだが、甘かった。次から次へとやっ
てくるハイキングや散歩の人、人、人、、。殆どが子連れで、気になってトンボに集中できない。
クロスジギンヤンマは既に繁殖期に入っていて、雄が頻繁に入ってくるが、飛び方が素早く落ち着きが
ない。密かに狙っていた雌は一度だけやってきたが、何が気にくわないのか、腹の先をちょんと水面に
くっつけてすぐに飛び去ってしまった。
クロスジギンヤンマ雄:体長74mm
手にした個体は成熟したてで、一番瑞々しい時期だ。複眼のなんとも言えない青色。
普通種ではあるが、客観的にみれば、なかなか美しいヤンマだと思う。
このヤンマは畳一枚ほどの貧弱な水域でも容易に世代を繋ぐことができるため、過密に住宅がひしめき、
開放水面が少ない都市環境に適応したヤンマだ。猫の額ほどの民家の庭先の池を点々としながら生活し
ているのだろう。都内で最も繁栄しているヤンマかもしれない。
クロスジギンヤンマに限らず、普通種のトンボは都内での採集は意外に苦労する。
産地の殆どが採集禁止の公園であることもそのひとつだが、採集禁止でなくても、「人」が採集をしに
くくしているのだ。
爽やかな風が吹く、よく晴れた日曜日。家族で気持ちよく森林浴をしながら谷津を歩いていると、突然
茂みから巨大な捕虫網を持った男が飛び出してきて、家族は驚き狼狽える。これではせっかくの行楽気
分が台無しだ。
行楽している家族に罪はないのでこれは仕方の無いことだが、やはりこういう場所での採集は気が進ま
ない。その点、人が好んで行かないようなドロドロの沼地や山奥の産地は、のびのびと活動できて楽し
い。
さて。連休後半。選択肢がいよいよ少なくなり、焦ってきた。