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トンボの日々

brunneus.exblog.jp
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2013年 10月 22日

呼び声

一日中冷たい雨が降り続いた翌日。

予報は晴れ。週間予報を見ると、次の日から再び曇りや傘マークがずらりと並ぶ。
ルリボシヤンマ雌はまだ諦めていないが、この日を逃すと後は無いと思い。今年最後のつもりで家を出
た。
しかし相変わらず産地の新規開拓はできていないので、ルリボシの出が悪い旧来の産地に頼るしかない
のが苦しい所。しかし通い続ければいずれ結果は出る、と信じてポイントへ。

午後2時過ぎに現地到着。景気の良い予報とは裏腹に、見上げる空はどんより曇り、今にも雨が降りそ
うだ。アカネがぽつぽつと摂食している以外は、トンボの姿は無い。森の梢から寂しげにアオマツムシ
の声が響く以外は物音はしない。静かだ。
「カサカサッ」という大型トンボの翅音を期待しつつ待つが、一時間経っても求める音は聞こえてこな
い。やはり今日も駄目なのだろうか。

しかしその時、ふと頭の中に、あるイメージが浮かんできた。薄暗い森の中の池岸をホバリングするヤ
ンマのシルエット。
そのイメージを反芻するうち、何かに導かれるように、自然と山の中へと足が向かっていった。
静かな森の中を登ること20分。
目の前に現れた池を覗き込むと、驚いたことに20分前にイメージしたそのままの光景がそこにあった。
足元の岸辺からすっと飛び出してホバリングする褐色のシルエット。すぐにまた足元の岸辺に着地し、
腹を小刻みに動かしながら産卵を始めた。
そしてその背後にそっとフレームを当てがい、ネットの奥にヤンマを誘導する。

ルリボシヤンマ雌:体長79mm
呼び声_a0126535_039342.jpg


ルリボシヤンマ雌目当てでは実に7回目。このポイントだけでも5回目にして、やっと手にすることが
できた。例年通りだと一回で目的を達成できるはずが、今年は実に苦労した。
北関東では多産地もあるようだが、都内周辺ではルリボシヤンマの安定した産地は少ない。やはりメイ
ンフィールドの状況次第で、その影響をもろに受けてしまう。
山沿いを広く浅く放浪するヤンマだけに、今後はその行動パターンを研究する必要があるかもしれない。

とりあえずは、ぎりぎりの所で最低限度の目標は達成できたので、心安らかにシーズン終盤を迎えられ
そうだ。

by brunneus | 2013-10-22 00:39 | 埼玉 | Comments(0)


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