何度もこのブログで書いているが、リュウキュウカトリヤンマは捉えどころのないヤンマだ。
決して珍しい種というわけでは無いのだが、通いなれた山原では棲息密度が浅いせいか、何故か出会い
が少ない。トビイロヤンマを採っている最中に時おり雌が偶然ネットに入ることはあるが、山原では雄
を手にしたことすらないのだ。
今回の遠征で訪れた島は、リュウキュウカトリヤンマが多い。2日目の夕方、太陽が尾根の向こうに沈
んだ頃に、リュウキュウカトリが飛ぶ林道を訪れた。
森の奥からは気が早いセレベスコノハズクの叫び声が響く。雑多な夜の虫の音に混じって、派手にガサ
ガサと音を立てて飛び出してくるのはベンケイガニ。
自分の身体が、急速に夜の闇に包まれる軽い恐怖感を抑えながら林道を歩く。少し先の道に張り出した
枝の下を、何か糸屑のような物がいくつも舞っているのが見える。近付いても正体が判然としないが、
一瞬、空を背景にした時に、糸屑は一匹のヤンマであることに気付く。
枝の下に入ると全く手に負えなくなるので、明るい背景に飛び出した瞬間にネットを振る。
リュウキュウカトリヤンマ 左:雄 右:雌
4年前に訪れたときは、リュウキュウカトリヤンマを殆んど見ることが無かったが、今回は林道沿いの
あちこちで群飛する場所に遭遇した。
群飛するポイントは、一見すると周囲に水気のない山腹部分の林道にもあった。いったい彼等はどこか
ら飛んでくるのだろうか。未熟個体の摂食行動なら分からなくもないが、手にした個体はみな老熟して
いた。老熟後も水辺を離れて開けた空間で摂食する習性があるのだろうか。
ともかく、今回は久々に雄もしっかりと観察出来て満足。
通いなれた山原でも、じっくりとリュウキュウカトリの生態に向き合いたいが、なかなか実現しそうに
ない。
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