2016年 07月 20日

南ぬ島・その6

リュウキュウカトリヤンマのポイントを訪れた日。大変なトンボを採ってしまった。

リュウキュウカトリを求めて歩く、薄暗い林道。Kさんは途中で引き返し、夕闇に覆われつつある林
道を、一人先へと進む。
しばらく歩くと小さな橋が見えたので、とりあえずそこまで行って引き返そうと決めた。
橋の上に立って一息。トンボの姿もないので戻ろうと踵を返すと、すぐ脇を黒っぽいトンボが飛び去
るのが見えた。リュウキュウカトリにしては飛び方が直線的で素早い。
飛び去った方向を注視すると、出し抜けに鼻先をトンボが掠めた。あまりに薄暗いせいで、接近して
も気付けないのだ。黄色い斑紋の残像が目に焼き付く。サキシマヤンマか!?

もう一度は無いだろうな、と去った方向を眺めていると、足元を通り過ぎようとしているトンボの影
が目に入った。咄嗟にネットを振ると手応えあり。
さて、正体は、、。ガサガサと威勢の良い翅音がするネットを覗き込んで、目を疑った。


a0126535_2354286.jpg



サキシマヤマトンボ!!
今回の旅で、というか南方遠征では全く目標に入っていないトンボ。イリオモテミナミヤンマやヒナ
ヤマトンボは採る方法は知っているし、ある程度の知見もある。しかしサキシマヤマトンボは、いつ、
どこで、どう採って良いのか皆目検討も付かないトンボなのだ。情報があまりに少ない。こんなトン
ボなので、最初から目標のリストには入れられるわけがない。
誰かさんが採集禁止にしてしまった島でなく、別の島で、それも7月という時期外れに手に出来ると
は思ってもみなかった。

よく観察してみると、独特な雰囲気のトンボだ。
大きさはエゾトンボよりは大きく、ヒナヤマトンボよりは小さい。ヤマトンボ科にも、エゾトンボ科
にも、同じくらいの大きさの種は思い当たらない。強いていえば、サラサヤンマくらいだろうか。
複眼の強い光沢も目を引く。これも近い仲間には見られない、彩度の高いパーマネントグリーンだ。
そして最も特徴的なのは、雫のような腹部の黄斑と、スリムさと頑丈さを併せ持つ体型。

かつてはヤマトンボ科、もしくはエゾトンボ科に含められていたようだが、サキシマヤマトンボはど
ちらのグループにも属さず、「ミナミヤマトンボ科」と呼ぶに相応しい、強い個性がある。

失敗も多い南方遠征だが、回数を重ねていれば、このように素晴らしい体験もできる、ということだ
ろう。
イリオモテミナミヤンマ雌が見られかったことや、ヒナヤマトンボの唯一のチャンスを外したことな
ど吹っ飛ぶくらい、嬉しい出会いだった。









.
[PR]

by brunneus | 2016-07-20 00:18 | 沖縄 | Comments(0)


<< 南ぬ島・その7      南ぬ島・その5 >>