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トンボの日々

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2016年 08月 16日

南ぬ島・その12

遠征についての記録はこれで最後。

南方に行く度に探している虫がふたつある。
どちらも昆虫採集の対象としての難易度は低く、素人の自分でも手が届きそうな虫として、常に頭の中
に思い描きながら行動している。

そのうちの1種。
イリオモテミナミヤンマが一向に現れないので暇を持て余していると、Kさんが「面白いカミキリがいま
したよ」と見せてくれたのは、ずっと探し求めていたカミキリだった。

いた場所を聞いて、辺りを見まわすと発生源とおぼしき木を発見。あちこちの葉に見慣れた食痕がある。
これは良い兆候だ。一枚一枚葉を確認しはじめて数分。

いた!慎重に手を伸ばす。

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イツホシシロカミキリ

ガジュマル、イヌビワなどのクワ科の木を後食する、シロカミキリの一種。他にムツホシシロ、オオシ
ロ、タカサゴシロなどの仲間がいる。

カミキリムシをよく観察すると、前脚が長く発達するグループがある。身近な所ではキボシカミキリや
ヒゲナガカミキリだが、ある時、そのフォルムの美しさに気付いた。そして図鑑を眺めると、さらにす
らりと前脚が伸びたシロカミキリという一群があるのを知った。その時以来、シロカミキリの映像が頭
から離れなくなってしまったのだ。

タカサゴシロ、オオシロは採集が難しいらしいが、イツホシ、ムツホシは南西諸島に珍しくないらしい。
これなら自分でも探せそうだ、とばかりにイヌビワやガジュマルなどを片っ端から見ていくのだが、あ
るのは食痕ばかりで、その主を目にすることは無かった。
見えていないのか、時期や環境が悪いのかは分からない。いずれにしても、遠征に行く度に自分のカミ
キリムシ探しのセンスの無さを痛感して帰ってくるのが常だった。

今回は、Kさんをきっかけに、生息する状況をしっかり確認できたので、次に繋げていきたい。


そしてもう1種。
最終日。レンタカーを返却するために車内を整理し、出発しようとした時、Kさんが「セミ!」と叫んで車
から飛び出した。見ると地面で暴れる小さな虫。あの大きさは、、、

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ツマグロゼミ

個人的に、クロイワゼミとこのセミが、国内産のセミで最も美しいと思う。
ツマグロゼミは数が少なく保護している島もあるようだが、訪れた島ではあちこちで鳴き声を聴く。内地
で言うと、クビキリギス系のジー、、という単調な音で、同所的に棲むイワサキクサゼミと紛らわしいが、
ジイ、ジイ、という間奏が入るので区別がつく。
鳴き声ははするのだが、いつも込み入った茂みの奥で鳴くので手が届かない。トンボの閑散期になると
少しだけ本気になって探すのだが、暑さに負けてすぐ退散するのがいつものパターン。
そんなセミが、まさか集落の真ん中に落ちているとは思わなかった。


2種共に、最初の発見はKさんだ。
遠征は単独で行くことが多く、それはそれで気楽で好きなのだが、こうして仲間と一緒に行動することで
目が4つに増え、普段気付かないことをお互い補完し合えるので、有意義だと思う。

また機会があれば、四つ目の遠征をやってみたい。
Kさん、長時間の運転と、様々な我が儘を聞いて下さり、ありがとうございました。










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by brunneus | 2016-08-16 12:33 | 沖縄 | Comments(0)


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