今日。
仕事帰りに時間が空いたので、マルタンヤンマの谷津へと気持ちが傾いたが、ぐっと堪えて川へ。
昨年からずっと探していたコオニヤンマ雌。今年の初夏に目の前で逃げられて以来、雌の姿を見ること
はなかった。季節はコオニのシーズン末期。今日を逃せばもう今年は二度とチャンスは巡って来ないだ
ろう。
雌は午後に産卵に来る、という情報を信じて、ポイントには14時に到着。台風の影響でずいぶん流れ
が変わってしまい、イメージしていた産卵場所も流出。おまけにコオニは雄ですら少なく、飛び去る2
匹を見たにすぎない。
非常に先行き不安なスタートだったが、45分後にあっけない幕切れがやってきた。
コオニヤンマ雌
手にした雌は産卵ではなく、荒れ地と化した川原の枯れたアシに止まり、時おり飛び立って小虫を食べ
ていた個体。他の個体も探したが、見たのはこの1匹だけだった。全くの偶然の出会いだ。
コオニヤンマの雌を最後に手にしたのはおそらく2002年。実に14年振りだ。中流域の最普通種と
も言えるサナエトンボだが、何故か雌には出会えない。もっとも、昨年まではノーマークだった、とい
うこともあるが、、。
探すようになってからは、トンボ仲間から「コオニ雌たくさんいたよ」とか、「採ったけどリリースし
ました」という言葉を聞く度に、この世界にはコオニヤンマ雌がいる世界といない世界の二つがあって、
自分はいない世界の住人なのだ、と悲壮感漂うことばかり考えていた。
春先のヤマサナエ雌、晩夏のオナガサナエ雌、そして今回のコオニヤンマ雌。「中流の三大普通種」の
最後の砦の雌を採集できたことで、図鑑に向けた最低限のノルマがクリアできた。
これで心置きなく、秋のトンボの世界へ羽ばたける。
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