2017年 03月 10日

電気と蝋燭

コシアキトンボは汚れた水でも平気で繁殖する、都市環境に適応した「ド」が付く普通種だ。
社会人になったばかりの頃、職場があった神保町の近くの茶色く濁った外堀の上を、6月になると群れ
飛んでいたのを思い出す。

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図鑑の記述には、別名ロウソクトンボとかデンキトンボと言われている、とある。恐らく雄の腹部付け
根の白色部のことを差すことは推測できるが、発光する蝋燭や電気という名前には共感できなかった。
しかし、コシアキトンボが群れ飛ぶ姿を思い出すうち、すとんと合点がいく瞬間があった。

コシアキトンボは木立が豊富な池沼に棲息するが、曇りや嵐の前などの悪天候の時には、林縁に群れて
摂食飛翔することがある。
薄暗い背景を前にすると、翅や胸、腹部後半の黒色部は背景と一体化し、額と腹部付け根の白色がぽっ
と光って見えるのだ。


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薄暗い空間を浮遊する、白い光点。まさに、小さな電灯がふわふわと飛んでいるようだ。

今では白い背景の図鑑的なイメージにすっかり慣れてしまっているが、考えてみれば図鑑が普及してい
なかった時代、人々が生き物を認識するのは自然の風景の中だったはずだ。名前も、その風景を元に付
けられたものも多いだろう。ロウソク、デンキもそのひとつ。

図鑑やデジタル、標本箱の中だけでなく、自然の風景の中に存在する生き物を、もっとしっかりと味わ
おうと思う。

デンキトンボ万歳!







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by brunneus | 2017-03-10 14:58 | つぶやき | Comments(2)
Commented by Mくん at 2017-03-16 21:04 x
どーもです。
なつかしぃーーーー。
俺のガキの頃もデンキトンボって呼んで採ってましたよ。
池の奥の暗がりで、腰の白いのだけウロウロしてて、”デンキ”ってピッタリ。
春っぽくなってきましたね。
Commented by brunneus at 2017-03-17 20:07
Mくんさん
Mくんさんの地元でも「デンキトンボ」でしたかー。僕の子供時代はトンボと言えば、秋に移動中のアキアカネくらいしか記憶にないです。
殆どのトンボは図鑑での知識しかないので、当然「デンキ」も実感できず。
幼少期の自然度の差を見せつけられます(笑)

昨日、越冬中明けのアカタテハが元気に飛んでました。本格的な春は秒読みですね!


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