トンボの日々

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カテゴリ:沖縄( 94 )


2016年 08月 16日

南ぬ島・その12

遠征についての記録はこれで最後。

南方に行く度に探している虫がふたつある。
どちらも昆虫採集の対象としての難易度は低く、素人の自分でも手が届きそうな虫として、常に頭の中
に思い描きながら行動している。

そのうちの1種。
イリオモテミナミヤンマが一向に現れないので暇を持て余していると、Kさんが「面白いカミキリがいま
したよ」と見せてくれたのは、ずっと探し求めていたカミキリだった。

いた場所を聞いて、辺りを見まわすと発生源とおぼしき木を発見。あちこちの葉に見慣れた食痕がある。
これは良い兆候だ。一枚一枚葉を確認しはじめて数分。

いた!慎重に手を伸ばす。

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イツホシシロカミキリ

ガジュマル、イヌビワなどのクワ科の木を後食する、シロカミキリの一種。他にムツホシシロ、オオシ
ロ、タカサゴシロなどの仲間がいる。

カミキリムシをよく観察すると、前脚が長く発達するグループがある。身近な所ではキボシカミキリや
ヒゲナガカミキリだが、ある時、そのフォルムの美しさに気付いた。そして図鑑を眺めると、さらにす
らりと前脚が伸びたシロカミキリという一群があるのを知った。その時以来、シロカミキリの映像が頭
から離れなくなってしまったのだ。

タカサゴシロ、オオシロは採集が難しいらしいが、イツホシ、ムツホシは南西諸島に珍しくないらしい。
これなら自分でも探せそうだ、とばかりにイヌビワやガジュマルなどを片っ端から見ていくのだが、あ
るのは食痕ばかりで、その主を目にすることは無かった。
見えていないのか、時期や環境が悪いのかは分からない。いずれにしても、遠征に行く度に自分のカミ
キリムシ探しのセンスの無さを痛感して帰ってくるのが常だった。

今回は、Kさんをきっかけに、生息する状況をしっかり確認できたので、次に繋げていきたい。


そしてもう1種。
最終日。レンタカーを返却するために車内を整理し、出発しようとした時、Kさんが「セミ!」と叫んで車
から飛び出した。見ると地面で暴れる小さな虫。あの大きさは、、、

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ツマグロゼミ

個人的に、クロイワゼミとこのセミが、国内産のセミで最も美しいと思う。
ツマグロゼミは数が少なく保護している島もあるようだが、訪れた島ではあちこちで鳴き声を聴く。内地
で言うと、クビキリギス系のジー、、という単調な音で、同所的に棲むイワサキクサゼミと紛らわしいが、
ジイ、ジイ、という間奏が入るので区別がつく。
鳴き声ははするのだが、いつも込み入った茂みの奥で鳴くので手が届かない。トンボの閑散期になると
少しだけ本気になって探すのだが、暑さに負けてすぐ退散するのがいつものパターン。
そんなセミが、まさか集落の真ん中に落ちているとは思わなかった。


2種共に、最初の発見はKさんだ。
遠征は単独で行くことが多く、それはそれで気楽で好きなのだが、こうして仲間と一緒に行動することで
目が4つに増え、普段気付かないことをお互い補完し合えるので、有意義だと思う。

また機会があれば、四つ目の遠征をやってみたい。
Kさん、長時間の運転と、様々な我が儘を聞いて下さり、ありがとうございました。










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by brunneus | 2016-08-16 12:33 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 13日

南ぬ島・その11

蒸し風呂のようなジャングルを移動するときは、不快な状態を少しでも忘れるために、足元や道脇の枝
に潜む生き物たちに目を向けるようにしている。

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マダラアシナガヤセバエ

クワズイモなど、幅が広い下草で見かけることが多い異形のハエ。目立つ前脚のぬるぬるとした不思議
な動作に見入ってしまう。八重山まで来ないと見られない種だと思っていたが、対馬からも発見された
らしい。果たして同種なのだろうか。


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ナナホシキンカメムシ

いつもは単体で出会うが、今回は小規模な集団を見つけた。薄暗い風景の中、金緑色が妖しく輝く。


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サキシマカナヘビ

八重山では普通種らしいが、見かけたのは初めてかもしれない。うまく背景に溶け込んでいるつもりだ
ろうか。


そして今回の旅で最も嬉しかった出会いの甲虫2種。

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クロカタゾウムシ

これも八重山特産種で、訪れる度に出会いを願っていた。しかし食性も習性も知らないので、出会いは
運任せだ。今回は足元のシダ植物に付くのをKさんがまず発見、そのすぐ後に自分もやはりシダ植物に
付く個体を見つけた。
飛ぶことを犠牲にしてまで身体を固くすることに特化した、その力学的フォルムは、実際に踏みつけて
試すまでもなく、充分にその硬度を視覚に訴えかける。


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ヨツモンオオアオコメツキ

これが下草に佇んでいる姿を見た時は、興奮で震えた。
大きさはヤマトタマムシ級。全身を包むメタリックな輝きは、今までのコメツキムシの概念を一瞬で崩
壊させる。
与那国には、近縁で、さらに美麗なノブオオアオコメツキという種が生息している。内地の甲虫とは全
く異質な、その熱帯の雰囲気漂う姿形は永年の憧れだ。今回手にしたのはノブオオアオではなかったが、
一歩、憧れに近付けた気がした。
ノブオオアオはカラスザンショウに付くらしいが、ヨツモンオオアオの方は、どうなのだろうか。いず
れにしても、本来の棲息ゾーンではない、林床で出会った幸運に感謝。


南方遠征は、訪れる度にこうした素晴らしい出会いや発見があるから、どうしても止められないのだ。
この状態を、世間では中毒と呼ぶ。







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by brunneus | 2016-08-13 10:14 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 10日

南ぬ島・その10

先日、ミナミベニツケガニしかいない干潟のことを書いたが、その干潟には、実は他にもカニがいた。
それがこれ。

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上:ヒメシオマネキ 下:オキナワハクセンシオマネキ

干潟に降り立った瞬間に目に飛び込んできたのが、この光景。

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個体数は多く、この場所では優占種だった。少し陸側のマングローブ林の中には、ひっそりとオキナワ
ハクセンシオマネキのコロニーが見られた。

ヒメシオマネキは初採集で、「ヒメ」という名前にそぐわず、画像のとおりオキナワハクセンより一回り
大きいので、手にしたときの重量感に感動した。鋏脚の鮮やかなオレンジ色は、亜熱帯の香りを強く放
つ。
他にルリマダラシオマネキなる、さらに極彩色のシオマネキがいて、この時も周囲をくまなく探したが、
見つけることはできなかった。

「池」とひとくちに言っても様々な環境があり、その環境に対応したトンボがいるように、「干潟」にも、
まだ自分が見えていない様々な微環境があるのだろう。
そして、干潟を知れば知るほど、そこには想像もしないカニたちの多様性が見えてくるに違いない。

沖縄のチョウ、沖縄のトンボ、沖縄のセミなど、沖縄の生き物の図鑑は数多いが、沖縄のカニ図鑑は見
たことがない。トンボよりはるかに多様性はあるはずだが、なぜ出版されないのだろうか。
オオユビアカベンケイガニ、ヒルギハシリイワガニ、ツノメチゴガニ、、興味があるカニは沢山ある。

沖縄のカニ図鑑を抱えながら、カニにターゲットを絞った南方遠征。いつかしてみたい。









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by brunneus | 2016-08-10 12:22 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 06日

南ぬ島・その9

滅多にないことだが、出張という名の監禁状態にあったので、ブログを更新できず。

既に遠い記憶となってしまったが、今回の南方遠征で第一目標のカニがいた。
それがミナミコメツキガニ。

このカニの名前は、亜熱帯の自然を紹介する本などに必ず登場するので、昔からその名前は南の世界を
を象徴する存在として、意識の中に刻み込まれていた。

このカニは内地のコメツキガニに外見は似ているが数倍大きく、ミナミコメツキガニ科という別のグル
ープに属する。それほど珍しいカニではないようで、潮が引いた干潟に群れる写真をよく見るが、遠征
時に干潟をそれとなく探してみるのだが、何の知識もないままに探しても見つかるはずもない。

今回の旅では2ヶ所の干潟を巡ったが、最初の干潟で採集できたのはミナミベニツケガニだけで、どれ
だけ歩き回っても、ミナミコメツキガニを見つけることができなかった。

2ヶ所目の干潟。

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ここも駄目なのか、、と一抹の不安を抱えながら沖へ歩き、澪筋の袂まで来た時。対岸に蠢く黒っぽい
集団が見えた。

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直感で正体を理解し、じゃぶじゃぶと温水と化した澪筋を渡り、駆け寄る。いた!

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近づくにつれ、わらわらと逃げつつも集団を構成する個体がぽつぽつと減っていく。身体を回転させな
がら、泥に潜っているようだ。しかし、潜ったあとの泥が変色しているので、とこに隠れているかは一
目瞭然。泥に指をつっこむとすぐに掘り出せた。

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1ヵ所目に訪れた干潟には全く見られなかった理由は、どこにあるのだろうか。時間や、微妙な泥質が
関係しているのだろうか。いずれにしても、干潟ならどこにでもいるわけではないようだ。

カニと言うよりロボットに近い風貌を持つ、憧れのミナミコメツキガニ。このカニとの出会いは、今回
の旅をさらに充実したものにしてくれた。












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by brunneus | 2016-08-06 15:28 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 07月 27日

南ぬ島・その8

「ワタリガニ科」
第4歩脚の先端が平たいオール状になり、この脚を駆使して、カニでありながら水中を飛ぶように泳ぐ
ことができるグループ。

自分の中でこのワタリガニ科は、カニの中でも特別な存在だ。しかし海辺に出かける度に探してみても、
生態も知らずに闇雲に石や泥を引っ掻き回すだけでは出会えるはずもない。


遠征二日目。
イリオモテミナミヤンマの気配すらないので、ちょうど潮目のよい時間に海岸へ降りてみた。

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満潮時はあたり一面海の底なのだが、良い感じに干潟が露出している。
今回の旅の、トンボ以外で一番の目的であるミナミコメツキガニを探して、沖へ。遮る物がない灼熱の
世界、と思いきや、海からの風のせいか、湿度が低いせいか、あまり暑さが苦にならない。

干潟に残る澪筋にじゃぶじゃぶと足を踏み入れる。真夏の太陽光に暖められた海水は、風呂の湯のよう
に熱い。
足元から逃げる半透明の小魚に混じって、黒っぽい物がもの凄い早さで水底を滑り、落ち葉の下に隠れ
た。何の生物か見当もつかない。そっと落ち葉をめくると、そこにあったのは、憧れだったカニの姿。


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上:ミナミベニツケガニ 下:ヒメガザミ

よく探すと、澪筋の中に、複数の個体が見つかった。別の場所では、ヒメガザミの姿も。

ミナミベニツケガニは、図鑑には「干潟に棲息」という情報しか書いていないことが多いが、澪筋のな
かを探すと、効率よく見つかることが分かった。しかしどの個体も甲幅5㎝以下で、大型個体は見つか
らない。成熟した個体は、また別の環境を住処としているのだろう。

それにしても、このカニは動きが素早いことこの上ない。
発見されると目にも止まらぬ早さで水底を滑り、物陰に隠れる。物をどかすと泥が舞い上がって、姿を
見失う。手近な所に隠れる物が無い場合は、素早く泥に潜って身を隠す。この隠れ身の素早さで、採り
逃がしたものも多い。

首尾よく発見した時も、容赦ない鋏攻撃を仕掛けてくるので掴む時は注意が必要だ。一度、隙を突かれ
てしこたま挟まれて出血。傷口が小さくても深いらしく、なかなか痛みが引かなかった。

トンボが不調でも、こういう楽しみがあるのが南方遠征の醍醐味だ。










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by brunneus | 2016-07-27 00:32 | 沖縄 | Comments(2)
2016年 07月 23日

南ぬ島・その7

南のトンボ2種。

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左:ミナミトンボ雄 右:アメイロトンボ雄

ミナミトンボは、国内では宮崎県、トカラ列島、そして八重山に分布。しかし宮崎では近年見られず、
トカラのものはどうもリュウキュウトンボらしい、と言われており、事実上八重山限定の種になりそう
だ。アメイロトンボは基本的には南西諸島が分布域だが、放浪癖があり、九州や四国で毎年記録されて
いる。
(7/24追記 ミナミトンボは種子島にも生息しているらしいので、八重山限定ではないことになる)
どちらの種も低地の湿地に生息するが、廻り合わせが悪いのか、遠征先ではなかなか出会わない。

ミナミトンボは今回訪れた島では少なくないらしいが、7月はどうも端境期にあたるらしく、まとまっ
た数を見たためしがない。今回も、早朝に川面の上空をせかせか旋回する未熟雄と、夕方に湿地に飛来
した成熟雄を見たにすぎない。

アメイロトンボは、かつては夕方に山原の水田地帯に行けば必ず見られたが、ここ数年は全く姿を見せ
ない。手にするのは、実に4年ぶり。しかしアメイロトンボも今回は端境期に当たったらしく、数も少
なく、未熟な個体が目立った。

南の薫り漂うこの2種のトンボ。一度で良いので、湿地の上を沢山の個体が飛び交う光景を見てみたい。









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by brunneus | 2016-07-23 18:14 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 07月 20日

南ぬ島・その6

リュウキュウカトリヤンマのポイントを訪れた日。大変なトンボを採ってしまった。

リュウキュウカトリを求めて歩く、薄暗い林道。Kさんは途中で引き返し、夕闇に覆われつつある林
道を、一人先へと進む。
しばらく歩くと小さな橋が見えたので、とりあえずそこまで行って引き返そうと決めた。
橋の上に立って一息。トンボの姿もないので戻ろうと踵を返すと、すぐ脇を黒っぽいトンボが飛び去
るのが見えた。リュウキュウカトリにしては飛び方が直線的で素早い。
飛び去った方向を注視すると、出し抜けに鼻先をトンボが掠めた。あまりに薄暗いせいで、接近して
も気付けないのだ。黄色い斑紋の残像が目に焼き付く。サキシマヤンマか!?

もう一度は無いだろうな、と去った方向を眺めていると、足元を通り過ぎようとしているトンボの影
が目に入った。咄嗟にネットを振ると手応えあり。
さて、正体は、、。ガサガサと威勢の良い翅音がするネットを覗き込んで、目を疑った。


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サキシマヤマトンボ!!
今回の旅で、というか南方遠征では全く目標に入っていないトンボ。イリオモテミナミヤンマやヒナ
ヤマトンボは採る方法は知っているし、ある程度の知見もある。しかしサキシマヤマトンボは、いつ、
どこで、どう採って良いのか皆目検討も付かないトンボなのだ。情報があまりに少ない。こんなトン
ボなので、最初から目標のリストには入れられるわけがない。
誰かさんが採集禁止にしてしまった島でなく、別の島で、それも7月という時期外れに手に出来ると
は思ってもみなかった。

よく観察してみると、独特な雰囲気のトンボだ。
大きさはエゾトンボよりは大きく、ヒナヤマトンボよりは小さい。ヤマトンボ科にも、エゾトンボ科
にも、同じくらいの大きさの種は思い当たらない。強いていえば、サラサヤンマくらいだろうか。
複眼の強い光沢も目を引く。これも近い仲間には見られない、彩度の高いパーマネントグリーンだ。
そして最も特徴的なのは、雫のような腹部の黄斑と、スリムさと頑丈さを併せ持つ体型。

かつてはヤマトンボ科、もしくはエゾトンボ科に含められていたようだが、サキシマヤマトンボはど
ちらのグループにも属さず、「ミナミヤマトンボ科」と呼ぶに相応しい、強い個性がある。

失敗も多い南方遠征だが、回数を重ねていれば、このように素晴らしい体験もできる、ということだ
ろう。
イリオモテミナミヤンマ雌が見られかったことや、ヒナヤマトンボの唯一のチャンスを外したことな
ど吹っ飛ぶくらい、嬉しい出会いだった。









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by brunneus | 2016-07-20 00:18 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 07月 16日

南ぬ島・その5

何度もこのブログで書いているが、リュウキュウカトリヤンマは捉えどころのないヤンマだ。

決して珍しい種というわけでは無いのだが、通いなれた山原では棲息密度が浅いせいか、何故か出会い
が少ない。トビイロヤンマを採っている最中に時おり雌が偶然ネットに入ることはあるが、山原では雄
を手にしたことすらないのだ。

今回の遠征で訪れた島は、リュウキュウカトリヤンマが多い。2日目の夕方、太陽が尾根の向こうに沈
んだ頃に、リュウキュウカトリが飛ぶ林道を訪れた。

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森の奥からは気が早いセレベスコノハズクの叫び声が響く。雑多な夜の虫の音に混じって、派手にガサ
ガサと音を立てて飛び出してくるのはベンケイガニ。
自分の身体が、急速に夜の闇に包まれる軽い恐怖感を抑えながら林道を歩く。少し先の道に張り出した
枝の下を、何か糸屑のような物がいくつも舞っているのが見える。近付いても正体が判然としないが、
一瞬、空を背景にした時に、糸屑は一匹のヤンマであることに気付く。

枝の下に入ると全く手に負えなくなるので、明るい背景に飛び出した瞬間にネットを振る。

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リュウキュウカトリヤンマ 左:雄 右:雌

4年前に訪れたときは、リュウキュウカトリヤンマを殆んど見ることが無かったが、今回は林道沿いの
あちこちで群飛する場所に遭遇した。
群飛するポイントは、一見すると周囲に水気のない山腹部分の林道にもあった。いったい彼等はどこか
ら飛んでくるのだろうか。未熟個体の摂食行動なら分からなくもないが、手にした個体はみな老熟して
いた。老熟後も水辺を離れて開けた空間で摂食する習性があるのだろうか。

ともかく、今回は久々に雄もしっかりと観察出来て満足。 
通いなれた山原でも、じっくりとリュウキュウカトリの生態に向き合いたいが、なかなか実現しそうに
ない。








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by brunneus | 2016-07-16 14:10 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 07月 14日

南ぬ島・その4

Kさんと現地でのスケジュールを打ち合わせる中で「ウミアカトンボ」という名前が挙がった。

ウミアカトンボ。
図鑑による知識では、移動性が強いウスバキトンボのような種類で、姿形もウスバキトンボに似ている。
国内で定着しているのは大東諸島で、時おり、分布域を遠く離れた場所にふらりと現れ、話題になるこ
ともある。もちろん、手にしたことも見たこともないトンボなので、自分にとって遠い存在だ。

こんな掴み所のないトンボが、いま自分達が立つ島にいるという話は、俄には信じがたい。

2日目。
島に渡った午後、Kさんにウミアカトンボのポイントに案内してもらう。場所は海沿いの水田地帯。
車がポイントに入るなり、「いた!」とKさん。Kさんが指差す先を見ると、水田の岸辺に生えた雑草の
先端にちょこんと赤く小さなトンボが止まっている。あれがウミアカトンボ、、。

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追加を探して畦道を歩くと、再び発見。ソロソロと竿を伸ばすが、途中で感づかれて飛び去ってしまっ
た。さらにその先にも発見。今度はさらに慎重に、、。また飛ばれる。
その後も何度となく同じことを繰り返し、まるで真っ昼間のアオサナエのように敏感なウミアカトンボ
に大苦戦。遮るものがない水田地帯だが、海からの風が常に吹いているので、それほど暑くないのが救
いだ。

気持ちが萎えてきた頃に、ようやくネットに入れることができた。

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ウミアカトンボ 左:雄 右:雌

手にして見ると、予想外にボリュームがある。大きさの感覚はベニトンボくらいだろうか。身体に対し
て頭部が異様に大きいアンバランスさも、ボリューム感に一役買っているのだろう。ウスバキトンボと
大差ないというこれまでの印象は、大きく覆された。見れば見るほどおかしなトンボだ。

余裕が出てきた所で、竿をカメラに持ち替えて接近。

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カメラだと警戒心が薄れるのか、簡単に近寄れる。

その後も観察を続けたが、この水田地帯には数はそこそこいて、交尾や産卵も見られた。定着している
のだろうか。

ウミアカトンボは、昨年あたりから沖縄本島でも記録が散見され始めたようだ。
元々移動性が強い種類だけに、この状況は、アオビタイトンボやベニトンボのような大北進の前触れな
のかも知れない。

それはさておき、初採集による新鮮な驚きは、久々だ。今回は初採集が他にも沢山あり、それが旅に充
実した彩りを添えてくれた。
この驚きと発見があるから、南方遠征は楽しいのだ。











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by brunneus | 2016-07-14 17:05 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 07月 13日

南ぬ島・その3

二日目。
Kさんを秘密の池に案内した。

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ここはかつて、ホソアカトンボがひっそりと佇む静かな場所で、狂気じみた日差しから逃れるのに丁度
良い、お気に入りの場所だった。しかし入り口から池を覗いて仰天。
まず目に飛び込んできたのは、日向を乱舞する赤紫色。強烈な午後の光に怪しく翅を輝かせ、水面上を
縦横無尽に飛び交っている。アカスジベッコウトンボ、、、。

四年前に訪れた時、思いがけず2匹のアカスジベッコウトンボを見かけて驚喜した記憶があるが、その
時とあまりにかけ離れた目の前の光景に、目眩がする。元の住人であるホソアカトンボを探してみると、
池の隅の方にちょこんと1匹。完全に池の主がアカスジベッコウトンボに取って代わられたようだ。

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アカスジベッコウトンボ 左上:通常型雄 右上:つまぐろ型?雄 下:雄型?雌

しかし、数が多いことが幸いし、前回は手に出来なかった雌を採集することができた。雌には翅の色が
薄い異色型とも言えるタイプと、雄同様の雄型と言えるタイプが存在するらしいが、今回手に出来たの
は雄型のようだ。
よく見ると、雄も翅の先端が透明なタイプと、小さな斑点が出るつまぐろ型のようなタイプがあるよう
だ。


さらにこの日は、Kさん既知の、密林の中のホソアカトンボの池へ。

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風の通らないジャングルの中は、蒸し風呂だ。湿気と植物の香りに咽びつつ歩く。ホソアカトンボが群
れ飛ぶ姿を想像しながら辿り着いた場所には池は無く、かつて池であったであろう、湿った土がこびり
ついた窪地があるだけだった。当然ホソアカトンボの姿は無い。
Kさんが、しきりに上を眺めている。その視線の先、細い枝先にはスリムな中型トンボのシルエット。
ホソアカトンボだ。

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右:ホソアカトンボ雄 左:同雌

むせ返るジャングルの小道を歩きながら、頭上を注視すると、所々で同じように止まるホソアカトン
ボが目に入った。雨が降り、窪地に水が溜まるのを樹上でじっと待っているのだろうか。


爆発的に増えたアカスジベッコウトンボと、消えた密林の池と、小道のホソアカトンボ。
訪れる度に刻一刻と環境は姿を変え、「前と同じ」は無い。だからこそ遠征は難しいし、楽しいのだ。










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by brunneus | 2016-07-13 01:25 | 沖縄 | Comments(0)