トンボの日々

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2017年 06月 25日

パール

春から初夏にかけては白い花が目立つ季節だが、そんな花をよく見ると小さな甲虫が集っている。
その甲虫が白っぽければ迷わず手に取り、裏返してみる。

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久々に登場のアシナガコガネ。
どこにでもいる普通種のようだが、なぜか自宅近くでは目にしたことがない。
なんと言ってもこの小さなコガネムシの魅力は、腹側。真珠色の光沢を帯びた鱗粉をまとい、なんとも
美しい。

トンボの不調が続くなか、例年になく雑多な昆虫に目を向ける機会が多くなった。その中には新しい発
見もあるので、トンボ不調もまんざらでもないな、と前向きに捉えるようにしている。


さて南方遠征。
ここで一気に不調を吹き飛ばせるのか、あるいはさらなる不調が待ち構えているのか、、。







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by brunneus | 2017-06-25 12:56 | つぶやき | Comments(0)
2017年 06月 07日

よるのスケッチ

春のサナエの姿を見ないまま、ついに関東が梅雨入りしてしまった。

採集にも行けないので、文章によるスケッチを垂れ流してみる。
ネットの世界では、他人の採集ブログの文体をコピーして喜んでいる物好きもいるようだが、自分に
とって文章を書くという行為は、完全なるストレス解消だ。
思い浮かんだ様々な心象を、スケッチブックにクロッキーするように、書きなぐる。

例えばこんなふうに。


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微かに潮騒が聴こえる、こじんまりとした部屋。窓の外からはホオグロヤモリの控えめな鳴き声。
天井では古いエアコンが静かに唸る。隣の家から聴こえるテレビの音と、開け放しの薄いカーテン越
しのオジイの禿げ頭。海からの風でフクギの葉がかさかさと鳴る。

「わたし、この街から出たことがないの」

目の前で泡盛のグラスを揺らす赤い口紅の女が言った。

「でも沖縄にはいつか行ってみたいな」

女が次の言葉を探す間、僕の意識は気怠い夜のやんばるにあった。

シャワーを浴びた髪がまだ乾かないまま、宿の玄関を出ると、もったりとした亜熱帯の風が全身に絡
み付く。自販機のモーター音。スナックから響く、調子っぱずれの沖縄民謡。
街を外れると、そこにあるのは圧倒的な闇。そこにじっと佇むと、自分という存在にだんだん自信が
持てなくなる。闇との境界線が曖昧になり、溶けてなくなりそうになった時、轟音と共に、出し抜け
に車の暴力的なライトが目の前に現れ、我に返る。

「もう夜の仕事は辞めて、まともな所で働こうと思うんです」

さっきまでヒラヤチーが並んでいた皿に、箸の先で意味のない図形を描きながら女は言う。

「まともな時間に起きて、まともな人たちと仕事をして、まともな時間に寝る。そういう生活に戻り
たいの」

それは結構。おおいに結構。反対する理由はどこにもない。こうして、僕が属する世界は少しずつま
ともになって行くのだろうか。もしかしたら目の前にいる女と逢うのは今日が最後になるのかもしれ
ない。その時、ふとそんな予感がした。

暗闇を抜けて、潮騒の方へ歩き出す。
目の前にぼうっと浮かびあがる防波堤の上に登り、仰向けに寝転ぶ。頭上には夥しい数の星が、まる
で両手一杯の砂粒を思い切りぶちまけたように散らばっている。そんな星々を眺めながら、東京のこ
とを考える。東京の郊外の、線路沿いの小さな沖縄料理屋のことを考える。古ぼけたテーブルの向か
いに座る、赤い口紅の女のことを考える。

千五百キロの距離を経て、東京と沖縄の意識が交差し、ひとつに混じり合う。
赤い口紅の女の向こうから、夜のやんばるの潮騒が聴こえてくる。








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by brunneus | 2017-06-07 21:00 | つぶやき | Comments(0)
2017年 05月 30日

イメージ

雑木林が萌え、伸びきった葉が鮮やかさを失いつつあるこの時期。アオヤンマも老熟期に差し掛かろう
としている。

アオヤンマは、「全身鮮やかな緑色のヤンマ」と形容されることが多いが、雄に関しては「緑色と水色の
ツートンカラー」と表現したほうが良いかもしれない。

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成熟度で比較してみると、上の黄緑色の未熟、真ん中の半成熟、下の老熟と、成熟が進むにつれて腹部
の青みが増してゆくのがわかる。個人的には、腹部が青い老熟個体が一番美しいと思う。
イメージというのは面白いもので、アオヤンマに対して「全身緑色のヤンマ」というステレオタイプのフ
レーズしか頭に無かった頃は、老熟雄を手にしても腹部の青色が目に入っていなかった。しかし一度気
付いてしまうと、今度は腹部にばかり目が行ってしまう。

難しいことだが、図鑑的なイメージを取り払った後に改めて眺めてみると、自然は新鮮な驚きに満ちて
いるに違いない。







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by brunneus | 2017-05-30 14:40 | つぶやき | Comments(0)
2017年 04月 13日

斜め目線

トンボは、上面性と側面性を併せ持つ昆虫だ。
近年の図鑑では、スペースの都合からか側面のみの扱いが多い。しかし上面側にも特徴を備えたもの
も多いので、どちらを取るかは悩ましい所。そこで「斜め」はどうだろうか?

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こうして見ると、胸部や腹部の斑紋の繋がりがよく分かるし、なんといっても立体感がある。
翅の形にパースが付いて歪んでしまうので、全体像としては使えないのだが、補助的には、こういう
斜めからのものもあって良いのでは、と思う。

やっと春らしい気候になってきたが、恐らくムカシトンボが飛ぶのはもう少し先になってしまうだろ
う。昨年は4月14日に最初の個体を手にしている。
さて、今年最初のムカシトンボを手にするのは、いつのことになるのだろう。







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by brunneus | 2017-04-13 22:50 | つぶやき | Comments(0)
2017年 04月 05日

渋色と首切•2017

昨年国立界隈で採集したシブイロカヤキリとクビキリギスを標本に。

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やはり褐色系の直翅は、雑な処理でもリアルな色が残るので楽だ。
数日前までの、季節を逆行したような寒い日々からやっと抜け出せたが、それが原因かは分からないが、
まだ今年はクビキリギスの声を聞いていない。
昨年はシブイロカヤキリの声もあちこちで聞かれたが、はたして今年はどうだろうか。

3月中旬に四国でタベサナエが羽化したという。関東のムカシトンボも来週には飛び出すだろう。いや、
今年は桜が遅れているので、その次の週か、、。
今年はスギカミキリを手にしないまま、トンボシーズンに突入するかもしれない。





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by brunneus | 2017-04-05 01:06 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 30日

マルタンのヤゴ

昨年の晩夏に採卵したマルタンヤンマのヤゴが、終令になった。

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根気がない人間にとっては、ヤゴ採集は苦痛だ。クロスジギンヤンマなど限られた狭い水域に棲む種は
まだ良いのだが、マルタンヤンマ、ネアカヨシヤンマなど込み入った抽水植物の根際に潜むタイプは、
いつ終わるとも知れないマラソンを延々と続けるようで、想像しただけでも息切れがしてくる。

マルタンヤンマの雄は成熟度で色彩が大きく変わるので是非未熟個体を手にしたいところだが、目下の
ところではヤゴを羽化させて得るしかない。 
運よく終令まで成長してくれたこの個体。ものすごい食欲で栄養を蓄積中だが、このまま無事に羽化し
てくれることを祈るばかりだ。(しかし性別判定は雌の可能性大、、、)









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by brunneus | 2017-03-30 19:02 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 27日

夢の渚

メガネサナエ属の珍種、オオサカサナエ。

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確か2009年頃に、たまたま関西へ出かけた際に無理矢理時間を作って手にしたものだ。メガネサナ
エは沢山いたが、オオサカサナエはこの個体たった1匹しか見かけず。

撮影方法を変えてからはオオサカサナエの時期に関西に行けずじまいなのだが、オオサカサナエだけの
ために行くにはかなり勇気がいる、、などと思っているうちに、月日が過ぎてしまった。

ぼんやりとどこまでも霞む白い岸辺に、ぽつんと佇むアオサギ。黒々とした松林。波打ち際にきらきら
輝く稚鮎の群れ。そして足元を掠めるトンボの気配。
オオサカサナエが飛ぶ岸辺は、夢の中ような風景だった。

夢の渚を、今年は訪れてみたい。







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by brunneus | 2017-03-27 23:47 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 12日

天の邪鬼

ずいぶん前、初夏の山原でのこと。
朝からスコールに降られてトンボは壊滅状態。することもないので、たまたま目に付いた路傍の朽ち木
を引っくり返してみると、小さなクワガタの雌が出てきた。なんだコクワガタか、、と捨てようとした
が、あまりに成果が無い日だったので、一応持ち帰ることにした。

それ以来、このクワガタのことは忘却の彼方へ消え去っていたのだが、つい先日、雑虫が入ったケース
をほじくり返していて再会した。
山原で採れたからリュウキュウコクワガタということになるのか、、と一応調べてみると、これが面白
い。

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まず、「コクワガタ」と名前が付くが内地の普通種コクワガタとは全く別種。むしろヒメオオクワガタに
近縁、ということらしい。言われてみれば、スリムな胴体と長い脚はヒメオオクワガタ的に見えなくも
ない。
そして奄美以南に3亜種分布していて、どの亜種も採集難易度がそこそこ高く、なかでも八重山亜種は、
国内産クワガタの最難関種であるという。

コクワガタと言えば、森で見つけても触りもしない空気のような存在のクワガタで、リュウキュウコク
ワガタもその一派、という認識だっただけに、この事実は軽い衝撃だ。

リュウキュウコクワガタは、コクワガタではない。

コクワガタを含む所謂ドルクス属は、絢爛豪華なオオクワガタやヒラタクワガタを含むが、調べてみる
と、ヤマトサビクワガタなどの小型のグループが面白い。雄の大顎の発達が悪く、一見すると雄雌区別
がつかない種はなおのこと面白い。他の属ではルリクワガタ、チビクワガタ、マダラクワガタ、マメク
ワガタなど、「クワガタなのにクワガタらしくない」という天の邪鬼的な要素に惹かれるのかもしれない。

次回はリュウキュウコクワガタの、クワガタらしくない雄と対面してみたい。





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by brunneus | 2017-03-12 12:49 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 10日

電気と蝋燭

コシアキトンボは汚れた水でも平気で繁殖する、都市環境に適応した「ド」が付く普通種だ。
社会人になったばかりの頃、職場があった神保町の近くの茶色く濁った外堀の上を、6月になると群れ
飛んでいたのを思い出す。

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図鑑の記述には、別名ロウソクトンボとかデンキトンボと言われている、とある。恐らく雄の腹部付け
根の白色部のことを差すことは推測できるが、発光する蝋燭や電気という名前には共感できなかった。
しかし、コシアキトンボが群れ飛ぶ姿を思い出すうち、すとんと合点がいく瞬間があった。

コシアキトンボは木立が豊富な池沼に棲息するが、曇りや嵐の前などの悪天候の時には、林縁に群れて
摂食飛翔することがある。
薄暗い背景を前にすると、翅や胸、腹部後半の黒色部は背景と一体化し、額と腹部付け根の白色がぽっ
と光って見えるのだ。


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薄暗い空間を浮遊する、白い光点。まさに、小さな電灯がふわふわと飛んでいるようだ。

今では白い背景の図鑑的なイメージにすっかり慣れてしまっているが、考えてみれば図鑑が普及してい
なかった時代、人々が生き物を認識するのは自然の風景の中だったはずだ。名前も、その風景を元に付
けられたものも多いだろう。ロウソク、デンキもそのひとつ。

図鑑やデジタル、標本箱の中だけでなく、自然の風景の中に存在する生き物を、もっとしっかりと味わ
おうと思う。

デンキトンボ万歳!







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by brunneus | 2017-03-10 14:58 | つぶやき | Comments(2)
2017年 03月 07日

大山二態

オオヤマトンボは、北は北海道、南は八重山まで分布するポピュラーなトンボだ。
トンボを始めた頃は行く先々で見かけるので、極普通種という印象だったが、近年あまりその姿を見か
けなくなったのは気のせいだろうか。  

昨年の南方遠征では多くの個体を見た。偶然雌も手にできたので、内地産と比べてみる。

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左:八重山産 右:山梨産

こうして見ると、八重山産の雌は黄色斑の発達が顕著で、どこかキイロヤマトンボを彷彿とさせる。
「南下するにつれて淡色部が拡大する」という傾向は、他にオニヤンマやヤブヤンマ、オオシオカラトン
ボ、トンボ以外ではナガサキアゲハが有名だが、種を越えたこの変化は、何か共通の秘密が隠されてい
るような気がしてならない。

南国に住む人間が明るく派手な色を好む傾向がある、ということと強引に結びつけ、人間の人種という
概念を昆虫に当てはめてみたり。
妄想は果てしなく続く。








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by brunneus | 2017-03-07 21:57 | つぶやき | Comments(0)