トンボの日々

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2017年 10月 18日

大秘密時代

ほとぼりが冷めたので、そろそろアップ。
全国的な流行に乗って、実は10月11日に都内でスナアカネを採集していた。神奈川まで入っている
ので、都内でも見つかるはずだ、と踏んでいたのだ。

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一か八かの探索だったが、運が味方をしてくれたようだ。

















なんてことを、いけしゃあしゃあと書きたいものだ。
もちろんこの画像はスナアカネなんかではなく、ナツアカネ雄の画像をちょこっといじっただけ。

ネット上で「スナアカネ」と検索すれば沢山の画像が出てくるが、当然地名は書かれていない。スナア
カネは恐らく神奈川以北にも入っているだろう。そして既に撮影、採集している人もいるのだろう。し
かし、それをリアルタイムにブログやSNSに出す人はいない。あるいは、出すとしても検索キーワード
に引っかからないような、巧妙な方法で出す。誰もが情報拡散を恐れている時代なのだ。
大切な情報は、信用のおける、ごく身近な人間にしか伝えない。メールやLINEなどの個人的なツール、
もしくは直接会って伝える。

オープンなオンライン空間の、「事実を伝達する」という役割は、既に終わったのかもしれない。
貧しい自分自身の生活と頭の中を「インスタ映え」のする写真で覆い隠す若者たちのように、フィクシ
ョンの世界がどんどん増殖してゆく。本当のことは、オンライン空間では言わない。皮肉なことに、イ
ンターネットが身近になればなるほどそこには虚構が広がり、逆に事実やリアルさを求める人々は、
秘密に溢れたオンライン空間から離れてゆくのかもしれない。

自分にとってブログを読む楽しさは、他人の体験や頭の中をこっそり覗き見しているような感覚にある。
このブログを始めた当初も、他人が偶然このブログを発見した時に、そのような気持ちになってもらえ
るような、非常に個人的なものにするつもりだった。しかし時代がそうはさせてくれない。
結局、始めた頃とはまったく別のものになってしまったわけだが、、。
さて、どうしようか。










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by brunneus | 2017-10-18 00:43 | つぶやき | Comments(0)
2017年 10月 09日

マダラヤンマ考

マダラヤンマは、一般的には海岸近くの抽水植物が繁茂した開放的な池沼に棲息する、とされている。
言わば「低地のヤンマ」で、北関東以北の産地は概ねこの条件に合致すると思う。震災で被災した東北
の太平洋岸地域に雨水が溜まり、そこへガマなどの抽水植物が侵入、数年でマダラヤンマ天国が出現し
た事実は有名だ。

そこでこのペア。

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恐らく、国内のマダラヤンマの産地で最も標高が高い地域で得た個体。
マダラヤンマは、不思議なことに中部地方では内陸部の山岳地域に分布している。中部地方に限って言
えば、「山地のヤンマ」ということになる。
この二面性がマダラヤンマを魅力的にしているのだが、なぜこのような分布上の矛盾が起きるのだろう
か。
ヒントになったのは、中部地方のいきつけの場所。上のペアを得た場所でもある。
このポイントは開放的な池が点在するオオルリボシヤンマが多い環境だ。しかし訪れるたびにマダラヤ
ンマが飛ぶのを見、一度だけだが雌の産卵も確認している。初めて見た時は、全くの想定外で何かの間
違いかとも思ったが、どうやらそうではないようだ。

ちなみに環境はこんな感じ。

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マダラヤンマは移動性が強い種なので、ふらっと本来の生息地ではない場所に現れることはあるが、気
になったのは雌の産卵。マダラヤンマの雌は、生きた植物には産卵せず、水面に浮いたり斜めに傾いた
枯死部分に産卵する。雌は、こうした充分に水に浸かって軟らかくなった枯死組織を好むのだろう。
もしかしたら軟らかい枯死植物があれば、「繁茂する抽水植物群落」は必要ないのではないか?

移動力が強いことと、軟らかい枯死組織を好むこと。そこで妄想してみる。

マダラヤンマは、かつて日本が寒冷だった頃、各地に広く分布していた。
持ち前の移動力を駆使し、低地から山地まで、我が世を謳歌していた時代があった。しかし温暖化が始
まり、ギンヤンマなど競合種が侵入して分布域が狭まったが、まだ戦前までは都内などにも生息地があ
った。その後、平地にある池や湿地が徹底的に潰され消滅。結果的に、未だ灌漑用に活かされている溜
め池が多く点在する中部地方の山岳地帯に生き残った、、。

思いつきをコラージュしただけだが、こんなふうに、ロマンのある戯れ言をこねくり回すのが好きだ。

そんなマダラヤンマのシーズンも、もうすぐ終わる。





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by brunneus | 2017-10-09 22:02 | つぶやき | Comments(0)
2017年 09月 17日

呪われた木曜日

マダラヤンマの季節。
今年も、虎視眈々と決行するチャンスを窺っていた。
休みの日と晴天予報がまんまと一致した日。早朝に家を出る直前に念のため再度予報を見て、晴れマー
クがずらりと並んでいるのを確認してから電車に飛び乗った。
そして、現地で待っていたのはこんな空。

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これは何かの間違いだろうか。それでも来てしまったからには、やるしかない。竿を出して、入水する
のを待っていたかのように、さーっと雨が降り出す。
午後になり、ようやく太陽が顔を出すが、今度は西から強烈な風が吹き出し、いっこうに止む気配がな
い。例えて言うなら、80キロ程のスピードを出した車から顔を出した時に額を打つ風が、常に吹いて
いる状態。この風で、辛うじて飛んでいたオオルリボシもどこかへ行ってしまった。
夕方になると風は止んだが一気に気温が下がり、ヤンマどころかアカトンボも姿をみせず、最後は突如
発達して接近してきた雷雲に巻かれ、豪雨で強制終了。

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トンボがいない水面をひたすら眺め続けた一日。
今年は休みの木曜日が定期的に悪天になる循環が続いていたが、この期に及んで再び悪天。しかも予報
で晴天が確約されていたはずなのだ。呪われた木曜日と言うほかない。

当然ながらマダラヤンマも少なく、一日通して目撃したのは雄は4匹ほど。辛うじて雌を一匹手にでき
たのは不幸中の幸い、というか奇跡に近いのかもしれない。

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そろそろ厄払いに行くべきだろうか。







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by brunneus | 2017-09-17 13:39 | つぶやき | Comments(0)
2017年 06月 25日

パール

春から初夏にかけては白い花が目立つ季節だが、そんな花をよく見ると小さな甲虫が集っている。
その甲虫が白っぽければ迷わず手に取り、裏返してみる。

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久々に登場のアシナガコガネ。
どこにでもいる普通種のようだが、なぜか自宅近くでは目にしたことがない。
なんと言ってもこの小さなコガネムシの魅力は、腹側。真珠色の光沢を帯びた鱗粉をまとい、なんとも
美しい。

トンボの不調が続くなか、例年になく雑多な昆虫に目を向ける機会が多くなった。その中には新しい発
見もあるので、トンボ不調もまんざらでもないな、と前向きに捉えるようにしている。


さて南方遠征。
ここで一気に不調を吹き飛ばせるのか、あるいはさらなる不調が待ち構えているのか、、。







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by brunneus | 2017-06-25 12:56 | つぶやき | Comments(0)
2017年 06月 07日

よるのスケッチ

春のサナエの姿を見ないまま、ついに関東が梅雨入りしてしまった。

採集にも行けないので、文章によるスケッチを垂れ流してみる。
ネットの世界では、他人の採集ブログの文体をコピーして喜んでいる物好きもいるようだが、自分に
とって文章を書くという行為は、完全なるストレス解消だ。
思い浮かんだ様々な心象を、スケッチブックにクロッキーするように、書きなぐる。

例えばこんなふうに。


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微かに潮騒が聴こえる、こじんまりとした部屋。窓の外からはホオグロヤモリの控えめな鳴き声。
天井では古いエアコンが静かに唸る。隣の家から聴こえるテレビの音と、開け放しの薄いカーテン越
しのオジイの禿げ頭。海からの風でフクギの葉がかさかさと鳴る。

「わたし、この街から出たことがないの」

目の前で泡盛のグラスを揺らす赤い口紅の女が言った。

「でも沖縄にはいつか行ってみたいな」

女が次の言葉を探す間、僕の意識は気怠い夜のやんばるにあった。

シャワーを浴びた髪がまだ乾かないまま、宿の玄関を出ると、もったりとした亜熱帯の風が全身に絡
み付く。自販機のモーター音。スナックから響く、調子っぱずれの沖縄民謡。
街を外れると、そこにあるのは圧倒的な闇。そこにじっと佇むと、自分という存在にだんだん自信が
持てなくなる。闇との境界線が曖昧になり、溶けてなくなりそうになった時、轟音と共に、出し抜け
に車の暴力的なライトが目の前に現れ、我に返る。

「もう夜の仕事は辞めて、まともな所で働こうと思うんです」

さっきまでヒラヤチーが並んでいた皿に、箸の先で意味のない図形を描きながら女は言う。

「まともな時間に起きて、まともな人たちと仕事をして、まともな時間に寝る。そういう生活に戻り
たいの」

それは結構。おおいに結構。反対する理由はどこにもない。こうして、僕が属する世界は少しずつま
ともになって行くのだろうか。もしかしたら目の前にいる女と逢うのは今日が最後になるのかもしれ
ない。その時、ふとそんな予感がした。

暗闇を抜けて、潮騒の方へ歩き出す。
目の前にぼうっと浮かびあがる防波堤の上に登り、仰向けに寝転ぶ。頭上には夥しい数の星が、まる
で両手一杯の砂粒を思い切りぶちまけたように散らばっている。そんな星々を眺めながら、東京のこ
とを考える。東京の郊外の、線路沿いの小さな沖縄料理屋のことを考える。古ぼけたテーブルの向か
いに座る、赤い口紅の女のことを考える。

千五百キロの距離を経て、東京と沖縄の意識が交差し、ひとつに混じり合う。
赤い口紅の女の向こうから、夜のやんばるの潮騒が聴こえてくる。








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by brunneus | 2017-06-07 21:00 | つぶやき | Comments(0)
2017年 05月 30日

イメージ

雑木林が萌え、伸びきった葉が鮮やかさを失いつつあるこの時期。アオヤンマも老熟期に差し掛かろう
としている。

アオヤンマは、「全身鮮やかな緑色のヤンマ」と形容されることが多いが、雄に関しては「緑色と水色の
ツートンカラー」と表現したほうが良いかもしれない。

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成熟度で比較してみると、上の黄緑色の未熟、真ん中の半成熟、下の老熟と、成熟が進むにつれて腹部
の青みが増してゆくのがわかる。個人的には、腹部が青い老熟個体が一番美しいと思う。
イメージというのは面白いもので、アオヤンマに対して「全身緑色のヤンマ」というステレオタイプのフ
レーズしか頭に無かった頃は、老熟雄を手にしても腹部の青色が目に入っていなかった。しかし一度気
付いてしまうと、今度は腹部にばかり目が行ってしまう。

難しいことだが、図鑑的なイメージを取り払った後に改めて眺めてみると、自然は新鮮な驚きに満ちて
いるに違いない。







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by brunneus | 2017-05-30 14:40 | つぶやき | Comments(0)
2017年 04月 13日

斜め目線

トンボは、上面性と側面性を併せ持つ昆虫だ。
近年の図鑑では、スペースの都合からか側面のみの扱いが多い。しかし上面側にも特徴を備えたもの
も多いので、どちらを取るかは悩ましい所。そこで「斜め」はどうだろうか?

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こうして見ると、胸部や腹部の斑紋の繋がりがよく分かるし、なんといっても立体感がある。
翅の形にパースが付いて歪んでしまうので、全体像としては使えないのだが、補助的には、こういう
斜めからのものもあって良いのでは、と思う。

やっと春らしい気候になってきたが、恐らくムカシトンボが飛ぶのはもう少し先になってしまうだろ
う。昨年は4月14日に最初の個体を手にしている。
さて、今年最初のムカシトンボを手にするのは、いつのことになるのだろう。







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by brunneus | 2017-04-13 22:50 | つぶやき | Comments(0)
2017年 04月 05日

渋色と首切•2017

昨年国立界隈で採集したシブイロカヤキリとクビキリギスを標本に。

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やはり褐色系の直翅は、雑な処理でもリアルな色が残るので楽だ。
数日前までの、季節を逆行したような寒い日々からやっと抜け出せたが、それが原因かは分からないが、
まだ今年はクビキリギスの声を聞いていない。
昨年はシブイロカヤキリの声もあちこちで聞かれたが、はたして今年はどうだろうか。

3月中旬に四国でタベサナエが羽化したという。関東のムカシトンボも来週には飛び出すだろう。いや、
今年は桜が遅れているので、その次の週か、、。
今年はスギカミキリを手にしないまま、トンボシーズンに突入するかもしれない。





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by brunneus | 2017-04-05 01:06 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 30日

マルタンのヤゴ

昨年の晩夏に採卵したマルタンヤンマのヤゴが、終令になった。

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根気がない人間にとっては、ヤゴ採集は苦痛だ。クロスジギンヤンマなど限られた狭い水域に棲む種は
まだ良いのだが、マルタンヤンマ、ネアカヨシヤンマなど込み入った抽水植物の根際に潜むタイプは、
いつ終わるとも知れないマラソンを延々と続けるようで、想像しただけでも息切れがしてくる。

マルタンヤンマの雄は成熟度で色彩が大きく変わるので是非未熟個体を手にしたいところだが、目下の
ところではヤゴを羽化させて得るしかない。 
運よく終令まで成長してくれたこの個体。ものすごい食欲で栄養を蓄積中だが、このまま無事に羽化し
てくれることを祈るばかりだ。(しかし性別判定は雌の可能性大、、、)









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by brunneus | 2017-03-30 19:02 | つぶやき | Comments(0)
2017年 03月 27日

夢の渚

メガネサナエ属の珍種、オオサカサナエ。

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確か2009年頃に、たまたま関西へ出かけた際に無理矢理時間を作って手にしたものだ。メガネサナ
エは沢山いたが、オオサカサナエはこの個体たった1匹しか見かけず。

撮影方法を変えてからはオオサカサナエの時期に関西に行けずじまいなのだが、オオサカサナエだけの
ために行くにはかなり勇気がいる、、などと思っているうちに、月日が過ぎてしまった。

ぼんやりとどこまでも霞む白い岸辺に、ぽつんと佇むアオサギ。黒々とした松林。波打ち際にきらきら
輝く稚鮎の群れ。そして足元を掠めるトンボの気配。
オオサカサナエが飛ぶ岸辺は、夢の中ような風景だった。

夢の渚を、今年は訪れてみたい。







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by brunneus | 2017-03-27 23:47 | つぶやき | Comments(0)