トンボの日々

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カテゴリ:千葉( 51 )


2017年 08月 07日

安泰

ヤンマの季節。
実は6月下旬にネアカヨシヤンマを見に千葉を訪れていたのだが、ベストコンディションの天気にも関
わらずネアカを一匹も見ない、というかつて無い事態を経験している。
一抹の不安を抱えながらも、7月下旬、再度訪れてみることにした。

現地には午後遅くに到着。天気は申し分ない。
チョウトンボの群れをかいくぐって、ポイントへ。空梅雨のせいか湿地は乾燥し、スニーカーでも問題
ない状態。数が多い日には、まだ明るい時間帯から頭上を旋回するネアカを見かけるが、この日はしば
らく待ってみても何も飛ばないので、周辺を探索。

平日なので釣り人もライバルも少ないと思っていたのだが、林の中でネットを持った若者に出くわした。
しばし立ち話。どうやら彼も相当エネルギッシュに活動しているようだ。最近思うことだが、フィール
ドで出会う若者の情報収集能力と行動力には本当に脱帽する。やはり呼吸をするようにSNSを駆使する
世代は、自分とは大脳の構造が根本的に異なるのだろう。

頃合いの時間になったので、再びポイントへ。
しかし、待てど暮らせどギンヤンマ一匹飛ばない。あたりはかなり薄暗く、普通なら既に頭上がネアカ
で埋め尽くされている時間だ。嫌な予感が脳裏をよぎり、若者と顔を見合わせ苦笑い。
諦めの二文字が頭に浮かび始めた頃、ようやく待望のシルエットが視界に飛び込んで来た。竿を伸ばし
て追い回す。すると一匹、また一匹と数は増え、気付くと頭上を複数のネアカが飛び交う状態に、、。
こうなると完全にスイッチが入って、無我夢中だ。

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終わってみれば、去年なみの出具合。ここのネアカは今年も安泰のようだ。
帰り道。闇に包まれた車道で収竿作業をしていると、脇に一台の車が止まり、中から若者の人懐っこい
笑顔が覗く。駅まで送ってもらえる好意に甘えることにした。

今年のフィールドワークは全般的に負けが込んでいるが、たまにこういう良い日に巡り会えることが、
救いになる。

このまま調子が上向いてくれるといい。








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by brunneus | 2017-08-07 00:24 | 千葉 | Comments(0)
2017年 05月 18日

もやもや

春の清流で、狙いのトンボが現れない間の良き暇つぶしの相手になってくれるのが、カワトンボだ。
しかし手にしたカワトンボを眺めるとき、いつも心に浮かぶのはもやもやとした疑問。

「お前はアサヒナなのか!?ニホンなのか!?」

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これは先日の千葉で得た個体。「ネイチャーガイド 日本のトンボ」の分布図では「ニホンカワト
ンボ」の分布域のものだが、識別点で多く取り上げられている、翅胸高と頭幅の関係は、一見する
とアサヒナカワトンボに近い。採集した場所も薮に覆われた薄暗い細流で、アサヒナ的。しかし縁
紋の形状はニホンカワトンボのものに酷似している、、という具合に、判断に迷う要素が満載なの
だ。

確実なのはDNA鑑定なのだろうが、そんなものは一庶民にはおよそ不可能だ。
何年もカワトンボばかり眺めていれば、感覚的に両者の違いが識別できるようになるのだろうか?

しかし、毎年恒例の このもやもやも、サラサやサナエやムカシヤンマなどにうつつを抜かしてい
る間に、綺麗さっぱり忘れてしまうのだ。

そして一年後に、再び呟く。

「お前は誰だ!?」






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by brunneus | 2017-05-18 00:13 | 千葉 | Comments(0)
2017年 05月 16日

すっからかん

数日前。

昨年好調だった、千葉の谷津にサラサヤンマを狙いに行った。

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悪天明けの快晴。気温も高く、申し分のないトンボ日和。

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マダラアシゾウムシ。

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ジンガサハムシ。


以上。

何故トンボの写真が無いかと言えば、サラサヤンマが一匹たりとも見られなかったからだ。
関東ではとっくにサラサヤンマは羽化しているはず。そしてこの好条件。まるで狐にでも摘まれている
みたいだ。ホンサナエ、キイロサナエ、クロスジギンヤンマ、カワトンボは見られたが、サラサだけが
いない。
アプローチ往復3時間半の末の空振りは、心と身体に堪える。また出直しだ。


閑話休題。

ここ最近探し求めていた「ネイチャーガイド 日本のトンボ」の第3版を、渋谷のジュンク堂にてよう
やく発見。さっそく中身をチェックしてみると、第2版で未改善だった問題箇所がほぼ全て修正され、
いくつかのページでは標本写真が差し替えられ、さらにはアメリカギンヤンマが生体標本写真に変わっ
ていた。迷うことなく購入。
若干標本画像の色がアンダー気味なものがあることや、分布地図の版ズレが気になる部分があるが、重
版作業ででここまで修正するのは大変な労力だっただろう。
自分の中では、第3版をもってようやく「完成」の域に達したと思う。

大切に使っていこうと思う。






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by brunneus | 2017-05-16 00:35 | 千葉 | Comments(0)
2017年 04月 30日

危機

今年の春は進行が不規則で読めない。

例年であれば、千葉のトラフトンボのハイシーズンに突入する時期だが、今年はどうだろうか。苦手の
早起きを乗り越え、一路東へ。

午前9時半に現地着。天気は快晴だが、風が冷たい。照り付ける日差しと冷ややかな風は、この時期な
らではの組み合わせだ。雑木林は鮮やかに萌え、田んぼからはカエルの合唱。一年振りの風景をじっく
りと味わう。
竿を出し、いつのものコースを巡るが、トンボの姿は見られない。何か所目かで、ようやく足元から飛
び出したトラフトンボを発見。

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近づいてよく見てみると、複眼が灰色だ。しまった、、、。

やがて気温が上がると空間を飛ぶトラフトンボの姿が増え、少ないながらも雌の姿も見られたが、雌は
もれなく未熟。まだ時期が早かったのだ。

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数年振りに無斑雌に出会えたので、雌はこの個体のみ持ち帰る。雄は一部は成熟していた。
同時期に見られるサラサヤンマやアオヤンマの未熟個体は皆無。トラフトンボ以外のトンボは、今年初
めてのウスバキトンボを一匹見たにすぎない。
ここトラフトンボの産地も、昨年よりも季節の進行が遅れていたようだ。

今回、ポイントを巡るなかで、気持ちが沈む光景をいくつも見た。
まず、太陽光パネルが増えていること。そして、太陽光パネルの設置準備か、大規模にブッシュや林が
伐採されている場所がいくつもあったこと。その中にはトラフトンボが必ず摂食する長年の優良ポイン
トも含まれる。そして、サラサヤンマ、アオヤンマの未熟個体が飛び交う、大きな空き地の入り口に工
事用フェンスが建てられていたこと。

これらの環境改変が全て太陽光パネルの関連かどうかは分からないが、今までの流れを見ると、疑わざ
るを得ない。
池そのものの環境が変わらなくても、成虫が摂食する木立に囲まれた空間や休息する林が無くなってし
まえば、トンボへのダメージは少なからずあるだろう。

池の周りを太陽光パネルに埋め尽くされた風景が、ありありと瞼に浮かぶ。一年後は、もはや今回見た
風景は残っていないだろう。

トンボの楽園の危機だ。

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by brunneus | 2017-04-30 00:00 | 千葉 | Comments(0)
2016年 08月 18日

ぴかぴか

南の島から戻ると、関東に夏が訪れていた。

7月中旬。6月末に不発だったネアカヨシヤンマの様子を見に、一路東へ。
現地には16時過ぎに到着。薄日が差し、息苦しいほどに蒸し暑い。薮こぎをしてネアカが飛ぶ湿地に出
ると、いつものチョウトンボの小群が出迎えてくれた。

ざっと見渡した限り、大型トンボの姿はない。ゆっくりと竿にネットを装着して、ネアカが飛ぶのを待
つ。当たり日であれば、このくらいの時間からネアカがちらほら飛び出すはずだ。

17時。何も来ない。

18時。何も来ない。

ひたすら頭上を舞うチョウトンボを眺めて過ごす。 

18時半。あたりはかなり薄暗い。さすがに飛び出さないとおかしい時間帯だが、一向にネアカは姿を現
さない。「坊主」の二文字が頭の中を駆け巡るのを必死に打ち消し、最後のあがきで隣接するポイントを
見て回る。しかしどこへ行っても閑古鳥。
不吉な二文字がむくむくと巨大化した頭を抱えながら元の場所に戻ると、林縁に群れるチョウトンボの
中に、ヤンマが一匹混じっているのに気付いた。すらりと先細りの腹部、翅の先の褐色斑。ネアカだ。

射程外なので様子を見ていると、視界の中に一匹、また一匹とネアカが増えてきた。あたりを見回すと、
いつの間にか頭上を沢山のネアカヨシヤンマが群れ飛ぶ光景が広がっていた。ここでスイッチが入る。
今日は飛ぶ高さがやや高いので、竿は常に全開。腕は疲れるが、ゆっくりと旋回してくれるので、丁寧
に狙いを定めて、ひとつひとつ取り込んでゆく。

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ネアカヨシヤンマ 左:雄 右:雌

手にした個体の半数は、上の画像のようにまだ若い状態だった。6月末に唯一見られたのが老熟した雄
だったので、去年からのテーマである未熟個体はもう無理か、、と半ば諦めていた。予想以上に未熟な
個体が残ってくれていて、一安心。

ネアカは、老熟して翅が濃い褐色に煙り、少し翅が破けているくらいの個体が趣があって良いのだが、
ぴかぴかの若い個体は、全く別のトンボのようで新鮮だ。

通いなれた場所でも、時期を少し変えるだけで別の顔を見せる。そこが昆虫採集の面白さだと思う。









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by brunneus | 2016-08-18 12:22 | 千葉 | Comments(0)
2016年 06月 30日

6月のネアカ

梅雨の晴れ間に、ネアカヨシヤンマの産地に行ってきた。
例年はもっと遅い時期に行くのだが、今回はネアカヨシヤンマの若い個体の摂食飛翔を見るのが目的。
若いネアカは、日中に空き地などの上をゆるやかに旋回しながら摂食するという。
黄昏時の、薄暗い湿地の上を縦横に飛び交う姿しか見たことがないので、日中に飛ぶネアカというのが
どんなものなのか、興味があったのだ。

ポイントには昼過ぎに到着。
枝という枝、至る所に止まっているチョウトンボを横目に、ネアカを探す。

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草いきれにむせびながら、あちこち探索するが、いくら待ってもネアカらしき姿は見えない。
集中力が切れたので、ターゲットを変更。

岸辺の草の間を覗き込み、目的のトンボを探すが、こちらも姿が見えない。ここで深呼吸。
視点を変えるために、思い切って岸辺から入水し、息を整えてあたりを見回すと、そのトンボはすぐ目
の前の草にひっそりと止まっていた。

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オオモノサシトンボ。
今の所、産地が非常に限られる種とされているが、流行りのDNA解析の結果、モノサシトンボと同種に
されてしまいそうな立場のトンボだ。さらに見回すと、すぐ足元にも。

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未熟個体独特の、赤みがかった体色が魅力。

その後も探索すると、あちこちでかなりの数のオオモノサシトンボを見ることができた。もう一種のご
当地トンボであるオオセスジイトトンボは、雌を2個体みただけに終わった。たぶん探しかたが悪いの
だろう。

日も傾いてきたので、黄昏飛翔が見られる湿地へ移動。森の中に入ると、あちこちに鮮やかな赤色が。

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ベニイトトンボ。ここでは年々増えているらしい。

そして黄昏。
時々飛来するアオヤンマに付き合いながらネアカが飛ぶのを待つが、この日は活性が鈍いのか、不発。



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かろうじてネットに入れたネアカを手に取ると、既に翅が褐色に煙った老熟個体だった。6月でこの状
態のものがいるとは、予想外。
数が多かったアオヤンマは、まだ鮮度を保った状態だ。

オオモノサシトンボを近年姿を見ないと思ったら、どうやら時間帯が悪かったようだ。
通い慣れた場所でも、普段行かない時期、行かない時間帯に訪れると、いろいろな発見があって刺激に
なる。次は南方からの帰宅後に訪れてみよう。








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by brunneus | 2016-06-30 01:11 | 千葉 | Comments(0)
2016年 05月 20日

もう一声!

トラフトンボを採りに行くと、毎回それとなく狙うのが雌の無斑型。狙って採れるものでもないので、
いつも出会いは運任せ。無斑が採れない年も当然あり、昨年と今年は出会いはやってこなかった。

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今年採れた雌で、一番無斑に近付いた個体がこれ。かなり褐色条が薄くはなっているが、もう一声、
結節より先まで無斑部分が広がって欲しかった。

トラフトンボの雌は、何となく飛び方で雌雄の判別がつくのだが、雄かと思って気の抜けたストローク
でネットに入れると雌、、!ということもあり、特に無斑型雌はこのパターンが多い気がする。

目まぐるしい季節の移ろいに、そんなトラフトンボの記憶もだんだん薄れてきた。








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by brunneus | 2016-05-20 23:42 | 千葉 | Comments(0)
2016年 05月 10日

雌の日

先日の日曜日、お馴染み同好Aさんと、千葉の谷津へ行ってきた。

数年前に一度だけ訪れたことはあるが、その時は成果が芳しくなく、足が遠のいていたポイントだ。
同好Aさんは何度か通いポイントに精通しているので、案内して頂く形での採集行となった。

午前10時、電車を乗り過ごすという失態を犯し、予定より30分遅れでポイントに到着。
前日まで吹き荒れた風は収まり、天気は申し分ない。

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上空にはサシバが飛び、林の中からはオオタカの叫び声。自然度の豊かさは数年前と変わっていないよ
うだ。そして着くなり足元からホンサナエの雌が飛び立つ。長靴に履き替え、ここでの第一目標、サラ
サヤンマを求めて探索を開始。
しかし、いくら歩いても日向をホバリングする雄の姿は見当たらない。少し早かったのか、、、。早い
にしても、摂食個体が飛ぶはずだが、その姿もなし。途中で出会った同業のクロクロフネさんらと言葉
を交わしつつも、ひたすら歩き回る。

やがて同好Aさんが、日当りの良い草原に雄の縄張り飛翔を発見。譲っていただき、収納。しばらく木
陰で休んでいると、すぐ頭上をヤンマが忙しなく旋回しはじめた。直前に飛び去ったクロスジギンか?
目で追うと、黄色い。サラサ雌!
サラサヤンマ雌は目まぐるしく飛翔コースを変え、まるで自信が無かったが、あてずっぽうに竿を振る
と、手応えがあった。

この個体を皮切りに、昼過ぎにかけて、交尾態も含めあちこちで旋回するサラサヤンマ雌を見かけた。
一日で、こんなにサラサヤンマ雌を見たのは初めてだ。いっぽう、雄は殆ど見られなかったのが不可
解だ。単純に雄の活性が低い日だったのだろうか。それとも成熟度に関係しているのだろうか。

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サラサ、ホンサナエの他は出始めのキイロサナエが少しと、小流にアサヒナカワトンボ。これからこの
ポイントは賑やかになるのだろう。夏のトンボも面白そうな場所なので、機会があれば訪れてみたい。

同好Aさん、案内して頂きありがとうございました。









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by brunneus | 2016-05-10 15:28 | 千葉 | Comments(4)
2016年 04月 27日

滞りなく

若夏の亜熱帯から戻ると、関東の春は一気に進んでいた。

今年の春は早い。例年だとあと3日ほど待つ所なのだが、様子見も兼ねて、千葉の沼を訪れてみた。
現地着時間から逆算すると、とんでもない早起きになるのだが、まあ仕方ない。

眠い眼を擦りながらタクシーを降りると、懐かしい泥水の臭いが鼻をくすぐる。

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水面を見ても目的のトンボの姿はない。当然だ。生殖前期のこの時期は、雄は水面ではなく、周囲の空
き地を飛んで雌を待つのだ。

そのまま池を通り過ぎて、薮に囲まれた草地へ入ると、早速目の前を雄が旋回。そしてその上をふらふ
ら飛ぶのは、、、

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トラフトンボ雌。
腹部はぼってりと重く、複眼は鶯色。既に成熟している。早速周囲を探索すると、あちこちで雌に遭遇。
しかし、まとまって飛ぶ場所が今年も見当たらず、足で歩いて稼ぐ採集となった。
淡い期待を寄せていた他の役者は、はるか上空にアオヤンマ未熟雌が一頭、サラサヤンマは姿を見ずだ
った。ヤンマを見るにはほんの少し早かったのかもしれない。

今日見たトンボは、トラフトンボ以外は前述のアオヤンマ一頭とクロイトトンボ、ウスバキトンボが一
頭のみ。トンボ相が豊かな沼なのだが、毎年この時期はトラフトンボのみが突出しているのが面白い。
熾烈な種間競争を時間差で勝ち抜くための知恵なのだろうか。

何はともあれ、今年も滞りなくトラフトンボに出会えて、ほっとした。
当たり前のトンボが、当たり前のように飛ぶことの有り難さを、近年は特に痛感している。












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by brunneus | 2016-04-27 23:57 | 千葉 | Comments(0)
2015年 08月 17日

透明

先日の千葉のネアカヨシの採集品をチェックしていたところ、翅が透明でやや新鮮味が残る個体が混
じっていた。


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老熟して渋みが増したネアカが好みなのだが、こうして見ると、成熟したての色鮮やかな個体も魅力
がある。その色彩に、まだ苦労を知らない満ち溢れた自信のようなものを感じる。

ネアカは発生末期。この時期は、どの個体も翅が褐色に煙り、所々破れ、蜘蛛の巣まみれになってい
ることだろう。
夏が足早に過ぎ去ろうとしている。
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by brunneus | 2015-08-17 11:55 | 千葉 | Comments(0)