カテゴリ:神奈川( 27 )


2016年 08月 19日

諦め

毎年のルーティンワーク、生殖前期の若いマルタンヤンマ雄。

今年は多摩南部のポイントへ3回通ったが、目にした雄はたった1回。早々にこの場所に見切りをつ
け、7月下旬、時期としてはギリギリだが、馴染みの神奈川の谷戸へ。

気温と湿度は高く良い条件だか、マルタン雄は一度だけ、猛速で脇をすり抜けただけで終わってしま
った。
帰り道、真っ暗な路上を忙しなく往復する糸屑のような気配。小さく見えるので、早めに羽化したミ
ルンか、、とネットを振り抜くと、出てきたのはこのヤンマ。

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コシボソヤンマ雌

昨年はこれを採るのに苦労させられた。

あたりのススキ原からは、「ジャー、、」という大声。耳に両手を当てて声の主を探索すると、思いも
よらぬ場所から姿を現したのがこの個体。

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カヤキリ雌

基本的に、鳴く虫はその声(音)を頼りに探すので、必然的に行き当たるのは雄になる。雌に出会うに
は、ひたすら草むらを掻き分けるか、今回のように偶然の鉢合わせを待つしかない。
しかし良く見ると、その脇にも別の個体が。どうやらこの状況は、雄の鳴き声に誘引された雌たち、
ということらしい。


マルタンが多いはずの場所で、この成果。生殖前期のマルタン雄は、どうやら今年は諦めたほうが良
さそうだ。








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by brunneus | 2016-08-19 23:33 | 神奈川 | Comments(0)
2016年 06月 05日

思い通りにはいかない

トンボに限らず、普通種であるにも関わらず、「探すといない」というものがある。

自分の場合は、それに当たるのがコオニヤンマ雌とヤマサナエ雌だ。
両種とも、生息地に行けば雄に出会うのは容易いが、雌にはなかなか出会わない。二年前から他のトン
ボのついでにそれとなく探しているのだが、結局姿を見ることはなかった。

そして昨日。
ついにこの2種の雌を探すためだけに、神奈川の馴染みのポイントを訪れた。夕方から仕事があるので、
午前中のみの探索。

結果は、ヤマサナエ雌はあちこちで姿を見かけたが、コオニヤンマは殆ど姿を見なかった。
ヤマサナエ雌は、都合良く産卵する個体に出会えるはずもなく、あても無く歩きまわるばかりだったが、
日当りの良い林縁に雌が集まるポイントを発見。これに味をしめて、同じような場所を巡ってみると、
行く先々で雌に出会うことができた。太陽が隠れると、今度は路上に次々に出て来て止まる、という行
動も目撃。
なんとなくヤマサナエ雌の習性が掴めた気もするが、これはこの日の気象条件下の、このポイントでの
パターンなので、全ての産地に通用するわけではないだろう。実際、他のポイントでも同じように、
雌が潜んでいそうな林縁を探索したが、姿は無しだった。

コオニヤンマが見られなかったのは謎だ。とっくに発生はしていると思うのだが、、。

苦戦予想のヤマサナエ雌はあっけなく採れ、確実と予想したコオニヤンマは外れ。
自然は思い通りには行かないのは分かっているつもりだが、この日は特にそれを痛感した。

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by brunneus | 2016-06-05 14:39 | 神奈川 | Comments(0)
2015年 08月 19日

突然

コシボソヤンマの雌。
2年前に埼玉で偶然手にしてから、その後の出会いが無かった。神奈川の馴染みの多産地では、未熟期
の摂食飛翔では雄に混じり雌も比較的簡単に得ることができるが、成熟してしまうと、産卵以外では狙
いようがない。
仲間は事も無げに雌を採集しているようだが、同じような時期や時刻に行っても、目が節穴なせいか、
雌に嫌われているせいか、成熟した雌を見たことが殆どない。

今年は新たに撮影し直したいと思っていたところ、同好のAさんより雌の詳細な情報を得ることができ
たので、休日の午後、産地を訪れてみた。

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コシボソヤンマ雌

しかしポイントでは雌どころか雄すらも殆ど見られず、あえなく時間切れ。諦めて竿を仕舞ってポイン
トを出ようとした矢先に、足元の流れで産卵している雌に出くわしたのだった。何とか目的を果たせて
一安心。

そして今回のポイントで一番驚いたのはこれ。

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コシボソを求めて歩き回っている最中に、草むらに落ちていた直翅の死骸。ただならぬ雰囲気に摘み上
げると、やはり、、。

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この「緑色の隈取り」は紛れも無いヒサゴクサキリの特徴だ。
ヒサゴクサキリはタケ類をホストとする南方系のグループで、憧れの直翅だった。鳴き声は小さく短く、
声を頼りに探すのは難しい。ヤブカの大群が潜む竹林の中を、ヒサゴクサキリを求めて歩き回ることを
考えただけでも目眩がする。
そんなわけで、出会いは諦めていたのだ。

関東地方では稀種とされていて、神奈川県の記録も少ないようだが、近年発見例が増えているらしい。
死骸とはいえ、まさか身近なポイントで出会えるとは思ってもみなかった。

出会いはいつも突然。これだからフィールドワークは面白い。
コシボソヤンマ雌の情報を提供していただいたAさん、ありがとうございました。
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by brunneus | 2015-08-19 02:26 | 神奈川 | Comments(2)
2015年 08月 06日

役者

先日の神奈川のマルタンポイント。

ポイントに着く手前を流れる小川を覗き込むと、水面上をせわしなく往復するシルエット。ネットで一
振りすると、出て来たのは見慣れた顔。

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コシボソヤンマ雄

ここはこのヤンマの多産地なのだが、不思議なことに雌にはなかなか出会わない。生態を熟知していな
いということもあるが、そもそもあまり関心がないのだ。

マルタンが終わったあと、帰り道のススキの群落からは「ジャー!」という品が無い大声。薄明かりを
頼りに声の主を探す。

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いた。
ススキの葉をそっと脇に寄せ、ネットで一気に掬い取る。

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カヤキリ雄

見慣れたクビキリギスとは比べ物にならない重量感。体長ではクツワムシやショウリョウバッタには敵
わないが、関東周辺では最大級の直翅だと思う。
ちょっとした植え込みにもいるクビキリギスに比べ、ススキなどの背の高い草がまとまって生えた環境
にしか見られない。うかつに掴むと大きく鋭い大アゴで全力で噛み付いてくるので、いつも取り押さえ
るときは真剣勝負だ。その獰猛さと重量感、顔つきは、どことなくホオジロザメのような大型のサメ類
を連想させる。

コシボソヤンマとカヤキリ。
今年も神奈川のマルタンポイントの主役たちが見られて満足!
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by brunneus | 2015-08-06 01:08 | 神奈川 | Comments(2)
2015年 08月 04日

ようやく

二日前。

湘南に所用の帰り、通い慣れたマルタンヤンマのポイントに寄った。
到着は16時。ヒグラシのコーラスと、強烈な西日を全身に浴びながら、目に付いたトンボを採りなが
らポイントへ。

18時。
マルタンが飛ぶ良い時間帯のはずだが、マルタンはおろか、ヤンマが全く飛ばない。

18時20分。
このまま今日も鳴かず飛ばずで終わるのか、、という気持ちが大きくなってきたが、数十m先に、さっ
と動く影が見えた。すぐに影は視界から消えたが、今までの経験からコースを読み、次に姿を現す空間
に目を凝らす。直後、予想通りの空間に青黒いシルエットが飛び出した瞬間にネットを振る。
「かさっ」
快音。

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今年はマルタン雄に振られ続けていたが、やっと手にすることができた。
この日は、チャンスはたったこの一回。成熟前期が終わりかけギリギリで、幸運にも手にできてほっと
している。

自分の中の季節の歯車が、ようやくひとつ回った。
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by brunneus | 2015-08-04 01:51 | 神奈川 | Comments(0)
2015年 07月 24日

初黄昏

亜熱帯から戻ると、関東は夏らしからぬ低温悪天の日々。トンボ採りには行けないが、標本撮影やデー
タ整理にはかえって都合が良い。

しかし、台風が夏を連れてやってきた。
猛暑と湿気と、強風に喘ぎながら、多摩南部の馴染みの小さな谷津へ向かう。天気は良いが、強風であ
る点はコンディションが悪い。しかし過去にも強風でヤンマは飛んだことはあるので、とにかく待って
みることにする。



・・・・・・・結果は外れ。

今期初のマルタン雄は一度も現れることなく、終了となった。
かわりに採れたのがこれらのトンボ。

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左上:ヤブヤンマ雄 右上:オニヤンマ雌 下:マルタンヤンマ雌

毎年書いているが、オニヤンマ雌はこの時期がいちばん輝いていると思う。ミナミヤンマの雌のよう
に縦に潰れた腹部、レモン色に染まる翅。そして採集欲をかき立てられる飛びっぷり。成熟してしま
うと、これらの魅力が全部消え失せてしまうのだ。

他の外道2種、ヤブヤンマとマルタン雌は既に少しくたびれている。黄昏時に採るヤブヤンマ雄は、
複眼が真っ黒なので、魅力である本来の青色に戻してから撮影。

なんとか夏前半にマルタン雄を手にしたいが、はたして、、、。
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by brunneus | 2015-07-24 08:12 | 神奈川 | Comments(0)
2014年 05月 10日

異形

先日のカニの日でのこと。

一通りの採集を終え、波打ち際で泥で汚れた長靴を洗っていると、足元をゆっくりと移動する生物が目
に入った。即座につまみ上げると、それは出会ってみたかったカニだった。
追加を狙ってさらに周辺を探索すると、再び発見。

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マメコブシガニ 左/雄 右/雌

マメコブシガニは、内湾の砂泥環境に棲息する中型のカニだ。情報としては以前から知っていたが、ど
んな環境に棲息しているのかも分からないので、出会いの期待はしていなかった。波打ち際の砂上で連
続して発見できたので、ヤマトオサガニなどと違い、陸側には進出しないのだろうか。
「長靴を洗う」という行為をしなければ見つけられなかったので、幸運としか言いようがない。

持ち帰ってじっくり観察すると、つくづく面白い形をしたカニだと思う。

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何かのマンガのキャラクターに出てきそうな顔立ちだ。どういう必要があって、こんな形に進化したの
だろう。
図鑑によると、このカニの脚は前後に動くので、カニとしては異例のことだが、横歩きではなく、前に
進むことができるという。確かに発見時も前進中の個体だった。

訪れる度に発見がある干潟。また行かなくては!!
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by brunneus | 2014-05-10 03:45 | 神奈川 | Comments(0)
2014年 05月 06日

曇った日は、、、

5月5日。
世間では「こどもの日」ということになっているらしいが、曇ったので、カニの日だ。

この日は前回の反省を踏まえ、干潮の2時間ほど前に現地到着。干潮時間が日に日に遅くなっている
のがありがたい。今回はじっくりとカニたちを観察するのが目的だ。
さっそくヤマトオサガニのポイントに踏み込むと、こんな光景が。

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視線の先はヤマトオサガニがいくつもいるが、近づくと当然素早く隠れる。

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ヤマトオサガニの巣穴は、こんな具合に泥に対して斜めに掘られている。穴の中から新鮮な泥をかき
出した痕跡があれば、主がいる証拠。
じっとしていると、あちこちの穴からカニが顔を出す。

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今日は前回よりはるかに多くのヤマトオサガニが活動していた。引き潮時に活性が高まるのだろうか。
ヤマトオサガニに満足したので、チゴガニのエリアへ。その前に寄り道すると、このカニも沢山いた。

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カクベンケイガニ。前回は1匹しか見なかったが、この日は崖の斜面に沢山付いていた。
チゴガニのエリアには、こんな穴が沢山空いている。

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おそらくチゴガニの穴。やはり近づくとさっと隠れるが、じっと我慢して待つと、そっと出てきた。

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雄の口元の鮮やかなブルーがなんとも美しい。さらに待つと、ウエービングを始める個体も。

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そして別の穴からはコメツキガニが。

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コメツキガニは砂地に紛れた色をしているので見つけにくいうえに、チゴガニよりも神経質なので近
付き難い。ディスプレイをするコメツキガニは見当たらなかったが、果たしてどうやって雌に対して
コミュニケーションをとるのだろう。

パラパラ雨が降ってきたところで撤収。
前回でおおよその生態を把握できていたからか、余裕を持ってカニを観察することができた。
この場所は気軽に行けるところがいい。これからも通うことになりそうな予感。

さて、ムカシトンボは、、、いつ行こう、、。
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by brunneus | 2014-05-06 01:23 | 神奈川 | Comments(0)
2014年 04月 29日

曇ったらカニの日

せっかくの休日だが、天気は下り坂。トンボは潔く諦める。しかしこんな日は、あれを採りに行く絶好
のチャンスだ。長靴とシャベルをいそいそと用意し、電車に飛び乗り、一路南東へ。
そして1時間後に到着したのはここ。

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そう、半年ぶりの多摩川河口。今日はカニの日なのだ。
実はずっと前から狙っていたカニがおり、今日はそのカニを採るために事前にしっかり潮位表を確認し
てきたのだった。
現場に立つと、半年前には無かった泥岸が多く露出している。雰囲気的に、軟らかい泥岸にいるのだろ
うと予測し、しばし探索。打ち捨てられたタイヤの下には馴染みの顔が。

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半年前の探索ではかなり多産することがわかり、今回も漂着ゴミをひっくり返す度にこのカニが出てき
た。しかし今日の目標ではないので、割愛。

しばらく歩くが、いっこうにそれらしきカニが見つからないので、少し下流側に移動してみる。
しばらく岸沿いに歩いた所で、ある一点に目が釘付けになった。

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いた!
さっそく慎重に近づくが、思いのほか敏感で、さっと穴に隠れてしまう。しゃがんで周囲を見渡すと、
その向こうに穴から出ている個体が。ここでシャベルの活用法を思いつく。
そっと近づき、射程に入った所でカニではなく、その下の穴にシャベルを素早く突き刺し、退路を断つ。
結果は見事成功。

この後幾度かの失敗を経て、なんとか満足のいく数が採集できた。

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ヤマトオサガニ:甲幅30mm

これが今回の目標。
河口の泥干潟と言えば、このカニだろう。トンボでいうと、平地の池のギンヤンマという所だろうか。
それくらい、棲む環境を代表するカニだと思う。
半年前は、時期の問題か、潮が満ち過ぎて泥岸が水没していたからか、このカニの姿が見られず、心残
りだったのだ。ようやく手にすることが出来て、非常に満足。

その他、偶然だがこんなカニも。

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カクベンケイガニ:甲幅25mm

このカニも河口の干潟ならではの種だが、クロベンケイガニやアシハラガニよりは見かける機会が少な
い。生活する場所が微妙に違うのだろうか。

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帰り際に、前回手に出来なかったチゴガニの雄をいくつか摘んだ。

この日の満潮は17時以降なので軽く考えていたら、みるみるうちに潮が満ちてきて、その早さに驚い
た。つい5分前にヤマトオサガニを掘り出した穴が、あっと言う間に水没してしまうのだ。
おかげで後半は、潮に追われるように、あちこち移動しながら採集させられるはめになった。
干潮時刻を過ぎた頃に現地に到着するように計画したのだが、どうやら海採集の世界では、干潮の3時
間ほど前には現地到着、というのが常識らしい。

遮る物がない干潟での採集は、直射日光に晒される晴れた日は辛いものがある。まして夏の時期は自殺
行為だ。天気に左右されない(潮には左右されるが)カニ採集は、春の曇天が一番なのだ。

次の曇天日はもっと早く現地入りし、じっくり干潟の生物を観察してみよう。
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by brunneus | 2014-04-29 23:38 | 神奈川 | Comments(0)
2013年 04月 22日

アリ?ハチ?

この土日は季節外れの低温と悪天でトンボはお預け。
せっかくいい調子で季節が進んでいたのに、ここでしばらく足踏み、といったところか。
初夏の陽気に誘われて羽化したトンボたちも、さぞかし寒さに震えていることだろう。


先日の神奈川のスギカミキリ探索の副産物。


ミカドアリバチ
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山を下る途中で足元をのこのこ歩いていたのを確保。
アリのように見えるが、毒針を持つれっきとしたハチだ。
毛むくじゃらの身体に、ワインレッドの胸部、銀色に輝く腹部の模様。
渋い魅力を静かに放つ、いい虫だ。

意外だったのは、刺されないように手に持った瞬間、「キイキイ」と鳴いたこと。
どこで発音しているのかはわからないが、アリバチが「音を出す」という発想は全く無かったので、
ちょっと面食らった。
図鑑では分からないこういう発見があるので、フィールド採集は面白い。
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by brunneus | 2013-04-22 00:04 | 神奈川 | Comments(0)