カテゴリ:東京( 142 )


2017年 04月 26日

テネラル

昨日。

昨年の晩夏に雌から採卵し、孵化したマルタンヤンマの幼虫が羽化。

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確か8月下旬頃に採集した雌だったと記憶しているので、幼虫期間が大体9ヶ月。自然の状態より若干
早い。雄の淡い期待もあり、敢えてきちんと確認しなかったのだが、予想通り雌の羽化となった。

それにしても、マルタンヤンマの未熟個体を見るのは本当に久しぶりだ。雌の成熟度による体色変化は
雄ほどではないが、透明な翅、明るい色調の胴体、灰色の複眼など、未熟期にしか見られない色彩が新
鮮。こうして見ると、トビイロヤンマの未熟個体を彷彿とさせ、やはり近い仲間なのだなあ、と実感。

都内近郊ではマルタンの未熟個体が飛ぶポイントを把握していないが、この雌を見て、今年は探してみ
たくなった。








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by brunneus | 2017-04-26 23:10 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 23日

雌モード

トンボは毎年同じ時期、同じ場所に姿を現すが、その行動パターンは様々な条件によって、微妙に変化
する。

先日訪れたムカシトンボの産地は、成熟前の摂食個体が飛ぶ場所なのだが、通常は広い空間をゆっくり
と旋回するパターンが多い。しかし、先日訪れた時は広い空間を飛ぶ個体は殆どなく、脇を流れる渓流
の上を往復する個体が多かった。渓流の上をスウォーミングする小虫が多かったので、それがムカシト
ンボの行動に影響を与えたのだろう。

その他では、採集した個体が雌ばかりだったことが印象的。雄も少しは混じっていたが、今までの経験
上、ここは雄の方が多い場所だ。これは、時期的なものなのか、天候的なものなのかは分からない。

このポイントに通って10年ちかくになるが、まだまだ分からないことだらけで、それがまた面白い。

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さて、次はどこに行こうか。









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by brunneus | 2017-04-23 00:45 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 20日

2017開幕

都内では4月15日前後から、ようやくウェブ上でちらほらムカシトンボの羽化情報が見られ始めた。
すぐにでもフィールドに出かけたい衝動に駆られるが、活動する個体が増えるのを待つために数日我
慢。そして高温晴天の日、仕事前の数時間を使って、一年振りのポイントへと足を運んだ。

山はまだ浅い緑色にうっすらと染まり、所々にヤマザクラのピンク色が眩しい。道中の渓流沿いから
はミソサザイの張りのある元気な声。耳を澄ますと、その奥からヤブサメのか細くも脳天に突き刺さ
る声が響く。頭上からは、ヒガラ、キビタキの艶やかな囀。何もかもが、一年前と同じだ。

そしてポイント。空間を飛ぶ雑多な小虫を眺めていると、出し抜けに半透明の棒状物体が、翅をキラ
キラと輝かせながら視界を横切る。一年振りの再会。

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ムカシトンボ。
記録を読み返すと、今年は昨年よりも5日遅い採集ということになる。
狂気の季節の幕開けだ。






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by brunneus | 2017-04-20 01:24 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 16日

使者

最高気温26度。半年振りの、身体にまとわりつく生暖かい空気に戸惑う。数日続いた強風で桜の花び
らは一気に散り、待ちわびていたかのように、その下から青々とした若葉が顔を出している。駅前広場
を飛び交うツバメ。いつの間にかイロハモミジの葉が全開になり、小さな赤い花を咲かせている。
街の風景が、劇的に変わった。

そろそろかな、と二日ほど前から帰宅途中の路上に目を凝らすようにしていたのだが、ついに今日、そ
れを見つけた。

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国立の春の終わりを告げる使者、オオキイロコガネ。

ここ数年、徐々に数を減らしてきているように感じるが、個体数が減っているのではなく、もしかした
ら街灯のLED化が原因なのではないか、と疑っている。
今日得た個体は恐らく雄。脚が身体に対してアンバランスに長いので、個人的に甲虫界のチンパンジー、
と呼んでいる。

春の終わり、夜が楽しい季節がやってきた。







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by brunneus | 2017-04-16 23:26 | 東京 | Comments(0)
2017年 02月 09日

真冬のタマムシ

八王子の職場で、真冬に時々出くわす甲虫がいる。

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ウバタマムシ。
敷地内にクロマツの植栽があるのだが、おそらく暖かな日差しに誘われてそこから越冬個体が飛び出し
たのだろう。飛び出したはいいが、寒さに進退窮まってしまったのだろうか、見かける個体はいつも歩
道上でじっと動かない。
普段は無惨に踏みつぶされた状態のものが多いのだが、昨日拾った個体は幸運にも無傷だった。
この時期見かける昆虫は微小な双翅類ばかりなので、手に取ったウバタマムシは巨大な虫に感じてしま
う。

国立駅前通りにもアカマツが植栽されていて、その付近でもウバタマムシを何回か拾ったことがある。
家の近所でヤマトタマムシが飛んでいるのを目撃したこともある。
大型タマムシ類は里山の昆虫というイメージがあるが、意外に身近な場所にもひっそり暮らしているも
のだ。職場や国立でウバタマムシの発生木を探し当ててみたいが、不審者扱いされてしまうのは確実な
ので、なかなか難しい。

次にこの虫に出会えるのはいつだろうか。







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by brunneus | 2017-02-09 00:51 | 東京 | Comments(0)
2017年 01月 04日

越年•その2

今日の昼間、近所の歩道を歩いていて突然視界に飛び込んで来たもの。

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オオカマキリ雌

拾い上げてみると、まだ変色は始まっておらず、身体の各部は瑞々しく軟らかい。目立つ歩道で死んで
いたにも関わらず、カラスや猫に持ち去られていない。
以上のことから、絶命したのは今日の朝か午前中と見ていいだろう。暖かな陽光に活動を開始したもの
の、エネルギー不足で歩道に落下したのだろうか。

オオカマキリは通常は8月下旬から9月にかけて羽化し、このあたりでは概ね12月上旬までには姿を
消す。中には、少数ながらこのように年を越す個体もいるのかもしれないが、実際に目にすると、何だ
か不思議な気持ちになる。頭の中から虫に関する意識がすっかり消え失せた所に、突然目の前に現れた
からだろう。初詣に訪れた神社のツバキの木に、アブラゼミの抜け殻を見つけた時の気持ちに似ている。

大雪の日もあった今年の厳しい冬を、このオオカマキリはどう耐え抜いてきたのだろうか。
あれこれと想像してみよう。






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by brunneus | 2017-01-04 20:42 | 東京 | Comments(0)
2016年 12月 31日

越年

新しい年を迎えようとしているが、9月に職場で拾ったトゲナナフシがまだ生きている。

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餌は近所で摘んできたヤツデの葉っぱのみ。1枚の葉っぱを概ね3週間ほどで喰うが、食べる量に比べ
て糞の多さに閉口。ずぼらな性格なので掃除が苦痛だ。しかし、葉の縁から円弧を描くように食べるさ
まを眺めるのは楽しい。
トゲナナフシはほぼ雌の単為生殖らしいが、尻から出て来るのは糞ばかりで卵が出て来ない。食べ物が
影響しているのだろうか。

冷え込んだ日には毛布に包んで保温するようにしているが、これが正しいのか分からない。しかしまだ
まだ元気なので、無事年を越せそうだ。
昆虫の飼育はあまりやらないのだが、成虫飼育で年を越すのは初めての経験。調べてみると飼育下で半
年ほど生きる個体もあるようなので、このトゲナナフシがどこまで頑張れるのか、見届けてみたい。









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by brunneus | 2016-12-31 20:09 | 東京 | Comments(4)
2016年 12月 15日

冬が来る

9月上旬に都内で採集したハヤシノウマオイ。
思い立って飼育に挑戦していたのだが、昨日、ついに力尽きた。

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飼育期間はおよそ3ヶ月半。直翅類は飼育下では短命だと思っていたが、予想外にタフだった。
肉食であることを踏まえ、当初はシラスを与えていたのだがすぐに食べなくなり、その後は他の魚肉、
豚肉片からヨーグルト、プリンと手を変え品を変え与えてみたが、飽きが早いものの概ねどんな種類
の蛋白質でも良く食べた。
10月初旬頃までは暗くなると良く鳴いていたが、やがて鳴かなくなった。鳴かなくなってからも食
欲は旺盛で、後半はもっぱらヤゴの餌である生きたアカムシを与えていた。老熟すると選り好みしな
くなるのか、アカムシのみでも飽きもせずにモリモリ食べる。蛋白質を食べる他は、水を頻繁に飲ん
でいたのが印象的だった。

身体の各部が柔軟な直翅類は、飼育していると様々な動きを見せてくれて、飽きない。
老いたウマオイは、寝る前のひと時の癒しを与えてくれた。

野外では、すっかり生き物の気配が無くなってしまった。小さな透明ケースの中だけは、未だ緑色の
夏の残香が潮溜まりのように漂っていたが、それも昨日、静かに消えた。

そして冬がやってくる。







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by brunneus | 2016-12-15 23:40 | 東京 | Comments(0)
2016年 11月 08日

晩秋の公園

先日、仕事で多摩地域の公園を訪れる機会があった。

天気は快晴。日差しはぽかぽか暖かい。園内の地図を見ると、どうやら湿地らしきものがあるようだ。
仕事をするふりをして、しれっと湿地へ。

地図を頼りに斜面を降りると、そこにあったのは猫の額ほどの小さな湿地だった。

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小さなガマが、秋の日差しを浴びて黄金色に輝く。

そして脇の木道に目を落とすと、まず飛び込んで来たのは真っ赤なアカトンボ。

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ヒメアカネ。良く見ると、小さな湿地を沢山の雄が出入りしている。
ここは住宅地に囲まれた緑地だ。その宅地の庭のすぐ先に、ヒメアカネが群れている。ヒメアカネはひ
とけのない谷津にひっそりと暮らすアカネだと思っていたのだが、これはちょっとシュールな光景。
時間帯が悪いのか、交尾や産卵は見られなかったが、没姿にはまだまだ時間がかかりそうだ。

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日だまりの葉に佇む、シーズンは終わりかけのツユムシ雌を摘んで帰途についた。
晩秋の時期になると、トンボが活動するのは正午前後の短時間のみ。トンボの季節は風前の灯火だ。そ
の灯火に、僅かに触れることができた一日。







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by brunneus | 2016-11-08 00:43 | 東京 | Comments(0)
2016年 10月 25日

破調の美

今年最後に手にしたヤンマ2種。

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左:ルリボシヤンマ雌 右:ミルンヤンマ雄

どちらのヤンマもいかにもシーズン末期という雰囲気で、渋く擦れた良い一品だ。
様々な見方があるとは思うが、個人的にはトンボの標本は一種の工芸品として捉えている。自然物であ
るにも関わらず、工芸品というのもおかしな話ではあるが、、。
標本市場(そんなものがあるとすれば)では、翅や脚の欠損はB級品扱いになるが、そういう価値観に
は全く興味がない。学術的には必要なことなのかもしれないが、工芸品としては面白くない。

美術工芸界では「破調の美」という言葉がある。完全なもの、整ったものよりも、歪んだり崩れたりし
たものを善しとする美意識だが、老熟して擦れた標本は、まさにそれに当てはまると思う。身体の各部
の欠損や色のくすみは、そのトンボが生きて活動した過程の必然であり、その破調は、その個体の物語
を内包する。その欠損のひとつひとつが観る者の想像力を膨らませ、標本を味わい深いものにしている
のだ。
成熟したばかりの新鮮な個体が持つ美しさは、工芸品的な美を持つ老熟個体とは全くの別物だと思う。

深まる秋は、老熟したトンボが持つ深みをじっくり味わう季節。もうしばらく、その破調の美しさを楽
しめるだろう。






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by brunneus | 2016-10-25 00:20 | 東京 | Comments(0)