トンボの日々

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2009年 10月 28日

埼玉の秋・その3

今回も先日の画像から。

ルリボシヤンマ雌:体長75mm前後
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朝晩の冷え込みがきついこの時期は、もう没姿期にあると思われる。

このヤンマの雌を見るために雄のパトロールが盛んな時間にポイントでいくら待っても、
雌は一向に姿を現さない。
なぜなら雌は雄が少ない早朝や、夕方にひっそりと水辺を訪れるからだ。
周辺視野を全開にして神経を研ぎすましていても、
いつの間にか岸辺を雌がホバリングしていたりするから、油断ならない。

ヤンマ科で雌雄の体色が異なる種の多くは、雄型の雌、というものが出現する。
雄型雌の典型的な例は、
1、腹部の斑紋色が雄のパターンになる(例、通常は黄色・・・雄型は青色)
2、複眼色が雄のようになる(例、通常は黄緑色・・・雄型は青色)
3、顔面色が雄のようになる(例、通常は黄緑色・・・雄型は青白色)

ルリボシヤンマ類が最も顕著で、雄型の出現率には地域性があるとも言われている。
長野のマダラヤンマはかなりの確率で雄型の雌が見られるが、同じ地域でもオオルリボシヤンマは普通の雌が多い。
このルリボシヤンマも雄型の雌というものが存在するが、個人的な印象ではオオルリボシよりさらに稀で、
もちろんその姿は図鑑でしか見たことがない。

さらにレアなのが、クロスジギンヤンマの雄型雌。
かつては知られていなかった(と思う)が、近年、都内の特定の地域で散発的に採集されるようになり、
一部のトンボ屋の間で俄に注目を浴びている。
美麗種のマルタンヤンマも雌雄の色が全く異なるが、雄型雌は今の所、全く発見されていないのも不思議だ。
ヤブヤンマも、(真の)雄型雌は知られていない。(老熟すると雄っぽくなるが、、)

種の維持に関して、雄型雌が出現することの意味。
そんなことも考えてみる(妄想してみる)のも面白いかもしれない。
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by brunneus | 2009-10-28 14:08 | 埼玉 | Comments(7)
2009年 10月 23日

顔々

ストレスが溜まると、画像の整理と加工をする。

トンボの目玉シリーズ。

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左側の3種は簡単。
上から
マルタンヤンマ雄
オオルリボシヤンマ雄
ネアカヨシヤンマ雄

では右側の3匹は何トンボでしょう、、?
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by brunneus | 2009-10-23 03:57 | つぶやき | Comments(3)
2009年 10月 21日

埼玉の秋・その2

これも先日の画像から。

ミルンヤンマ雄:体長70mm前後
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ミルンヤンマ雌:体長68mm前後
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秋の虫の声に包まれた谷津の小流を、静かに飛びまわる。
ミルンヤンマもカトリヤンマと同様に、7月下旬には羽化しているが、
成熟してよく姿を見かけるようになるのは、秋になってから。
このヤンマも「秋のヤンマ」というイメージがある。

国内では、近い仲間にアマミヤンマ(奄美大島、徳之島に分布)、
ヒメミルンヤンマ(奄美大島、徳之島に分布)サキシマヤンマ(石垣島、西表島に分布)、
イシガキヤンマ(石垣島、西表島に分布)というヤンマが存在し、
台湾には数種類の同属の仲間が棲息する。(なぜか沖縄諸島だけが分布の空白域になっている)
このように、ミルンヤンマを含むPlanaeschna属は、むしろ熱帯や亜熱帯など暖かい地域に
多くの種が分布する、南方系のグループなのだ。
前出のカトリヤンマを含むGynacantha属も、熱帯地方を分布の中心とする、南方系のグループ。

南方起源のこの2つの種が、日本ではどちらも秋に活動のピークを迎え、
耐寒性を持つということは面白い。
普通に考えると、暖かい地方の種は気温が下がると早々と息絶えるものなのだが、、。

ちなみにカトリヤンマの方は、奄美大島以南にリュウキュウカトリヤンマ、
という近縁の別種が分布する。
リュウキュウカトリヤンマは、全身を深い褐色に染めた、独特の雰囲気を持つ。
アマミヤンマ、イシガキヤンマ、サキシマヤンマはまだ未見だが、図鑑で見ると、どれも個性的だ。

南西諸島のPlanaeschna属の出現も秋。
他のトンボのことを考えると、南方遠征はどうしても初夏ばかりになってしまうが、
個性的なこのグループ、いつかこの目で見てみたい。
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by brunneus | 2009-10-21 21:47 | 埼玉 | Comments(0)
2009年 10月 21日

北関東の小物・その2

間が空いてしまったが、10月中旬の北関東遠征の画像から。

マイコアカネ雄:体長38mm前後
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いわゆる赤とんぼの仲間だが、その中でもとりわけ小型でスリムな種。
姿形が紛らわしい種に、マユタテアカネ、ヒメアカネがいる。この3種はとても良く似たキャラクターで、
「小さな3姉妹」と勝手に呼んでいる。

その3姉妹の中でも、特に美人なのがこのマイコアカネ。
雄の額が爽やかな淡い青色に染まる。
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この青色を、京都の舞妓さんの青白いうなじに見立てて「舞妓茜」と命名された、というエピソードは有名だ。
しかし、、。青色を見て、京都の舞妓を思いつく想像力は凄い。
もしかしたら名付け親は京都の人なのかもしれないが。

このマイコアカネ、身近ではあまりお目にかかれない。
生息地は、背の高い挺水植物が繁茂した、明るく開けた池沼だからだ。
こういった良好な環境は、普段の生活圏の中ではまず無い。
そのせいか、マイコアカネは、ネアカヨシヤンマ、アオヤンマ、マダラヤンマなど、稀種的要素を持つトンボの棲息地に見られることが多い。

アカネ類は、小振りでどれも同じように見えてしまい、
個人的にはどうも興味が持てないグループなのだが、マイコアカネはちょっと別格なのだ。
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by brunneus | 2009-10-21 14:01 | 茨城 | Comments(0)
2009年 10月 19日

標本リストその②

カフェで販売している甲虫標本のリスト。
甲虫は余興で、気になったものだけを集めているので、脈略がなく、
販売数量も少ない。

・オオコフキコガネ ペア(千葉県横芝光町産)

・ホソカミキリ ペア(東京都八王子市産)

・ヤマトタマムシ(東京都武蔵村山市産)

・カミキリムシ2種(キボシカミキリ、ヨツキボシカミキリ)
(神奈川県茅ケ崎市産・茨城県瓜連町産)

・ノコギリカミキリ(東京都八王子市産)

・カナブン2種(カナブン、クロカナブン)
(東京都八王子市産・千葉県横芝光町産)

・コガネムシ科2種(アオハナムグリ、ヒメコガネ藍色型)
(東京都武蔵村山市産・東京都福生市産)

・オキナワハンミョウ2頭(沖縄県国頭村産)

他にディスプレイ用として、、
シロスジコガネ、アオカナブン、ムネアカセンチコガネ、リュウキュウツヤハナムグリ、コカブトムシ、
クマゼミ、ヨコヅナツチカメムシ、ハヤシノウマオイ、アシグロツユムシなど、、。
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by brunneus | 2009-10-19 01:30 | その他 | Comments(6)
2009年 10月 14日

カトリの秋

カトリヤンマは、浅い池や水生植物に覆われてほとんど水が無いような湿地に棲む。

無農薬の山沿いの田んぼなどは格好の生息地で、アキアカネと共に田んぼの耕作リズム
をうまく利用し、繁栄してきたトンボだ。
しかし、そんな環境など望むべくもない東京都内では、棲息は風前の灯火、といった状況。
唯一の多産地であった武蔵村山市の都立公園の田んぼ(厳重に管理されていて、「大人」の昆虫採集は禁止)
では、みたところ今年は激減している模様。今後の推移が心配だ。

そんなカトリヤンマは、7月下旬に羽化し、遅い年は、11月まで見られることがある。
他のトンボが次々に息絶える中、紅葉の谷津を元気に飛び回るタフなヤンマだ。
性的に未熟な時は鬱蒼とした森林内でひっそりと過ごすが、初秋に成熟すると一転、
明るい空間に飛び出してくる。

こんな生態から、カトリヤンマは「秋のヤンマ」というイメージがある。

10月に入ると、さすがに秋のヤンマも、だいぶくたびれてくる。特に雌は繁茂した植物の
中に潜り込んで産卵するので、翅がすり切れやすい。

下の2枚の写真。
上が8月のもの。
下が10月のもの。
同じ種とは思えない、、。

カトリヤンマ雌:茨城県産:体長70mm前後
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カトリヤンマ雌:長野県産:体長65mm前後
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しかし、このボロボロにすり切れた翅も、なんとも味わいがある。
昆虫の標本は、脚が欠けていたり、翅が破れていると、B級品と見なされ価値が急落する。
だが僕は、(自然に欠落したものであれば)欠損は否定しない。
なぜなら、それはその個体の生きてきた中での、行動の軌跡だからだ。
産卵で翅がすり切れることもある。
雄同士の闘争で翅がすり切れることもある。
あるいは、鳥に摘まれて翅が破れ、危うく逃げのびたのかもしれない。

僕のトンボ標本の制作テーマである、「物語」を感じるのだ。

写真の翅がすり切れた雌は、どんな物語を持っているのだろうか。
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by brunneus | 2009-10-14 12:11 | 関東 | Comments(0)
2009年 10月 12日

北関東の小物

先日の写真から。

コバネアオイトトンボ雄。
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一見すると、普通のアオイトトンボと瓜二つだが、
・体に対して翅が短い(気がする、、、)
・側面から見て、胸部の金緑色の部分が上に後退している
・全体に小柄
・雄は成熟しても胸部に白粉を吹かない
ことが区別点とされる。

ちょっと綺麗なイトトンボ、くらいの存在感しかないが、
これが各県のレッドデータブックに掲載されるほど、稀なトンボなのだ。
産地に行けば沢山いるのだが、その産地が少ない。
一説によると、雌の産卵管が短く弱く、あまり固い茎の植物には産卵できないのだという。
なので、産地は柔らかい組織を持った、特定の挺水植物が不可欠となる。

肉食であるトンボは草食昆虫と比べて植物との関わりは薄いが、
(そのおかげで食草などを暗記しなくて良いので楽、、)
中にはこんな例外的な存在もいるのだ。
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by brunneus | 2009-10-12 14:55 | 関東 | Comments(4)
2009年 10月 11日

おおむねゴール

4月から全力で駆け抜けて来たトンボ狂乱マラソンも、そろそろゴールに近づきつつある。

あとはクールダウン、というかチルアウト的な埼玉のルリボシヤンマ、キトンボをこなして、
晴れて今年度のトンボ行は終了となるだろう。

今日はとんキチさんと、Mくんさんと、北関東に今年最後の遠征へ行ってきた。
しかし狙いのマダラヤンマは殆ど飛ばず、コバネアオイトトンボと、アカネばかりが目についた、
静かな一日だった。

暇な時間も多かったので、トンボ以外のものばかりカメラを向けてしまう。

コブハクチョウの白キチ(勝手に命名)何でもよく食べる。
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シェパードの黒キチ(勝手に命名)誰にでもよく吠える。
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ヒトのトンキチ(三平さんでないほう)何でもよく採る
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とんキチさん、Mくんさん、ありがとうございました。
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by brunneus | 2009-10-11 00:34 | 関東 | Comments(3)
2009年 10月 08日

台風一過

さっき。

仕事場へと向かう午後2時。
台風一過の抜けるような青空と、台風が連れてきた南からの湿った暖かい空気。

寒気にじっと耐え続けたアブラゼミの生き残りがあちこちで鳴きだす。
垣根からはキンモクセイの甘い香り。空き地を漂うウスバキトンボ。
夏と秋が混在する、つかの間の奇妙な光景に街が包まれる。

そんな風景を楽しみながら駅へと向かう途中、
一橋大学のフェンスを見慣れない大きなチョウが飛び越えた。
アゲハにしては飛びかたが遅すぎる。

注視すると、青空にあさぎ色とワインレッドの斑紋が透ける。

アサギマダラ、、、。

台風は、時々思いもよらぬものを遠い所から持ってきてくれる。

ここ数日は、各地で台風によってもたらされた迷入種で、ネットの世界が賑わうことだろう。

トンボで言うと、
西南日本の太平洋沿岸地域や風の通り道である長野で、
アメイロトンボ、オオギンヤンマ、ハネビロトンボ。
日本海側でスナアカネ、タイリクアキアカネ、オナガアカネあたりだろうか。
もしかしたら九州本土でオオメトンボなんかが発見されたりして、、。
東京でも何かが入って来ていそうな気がする。

台風のあとは、少しそわそわしてしまう。
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by brunneus | 2009-10-08 14:53 | Comments(0)
2009年 10月 08日

東のナイスガイ

さらに現実逃避。

トンボ屋に、「いちばん好きなトンボは?」というベタな質問を投げかけた場合、
西日本の多くの人は「マルタンヤンマ雄」、
東日本の多くの人は「マダラヤンマ雄」
と答えるに違いない。


、、と思われるほど、このヤンマは人気が高い。

マダラヤンマ雄
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さらに、素早く飛び回る種が多いヤンマ科の中で、目の前でサービス満点でホバリングしてくれる、
というから、なおさらだ。
ナイスガイでお人好し、さらに希少性、という3拍子揃った、完璧なキャラクターのヤンマなのだ。

このヤンマは発生期が遅く、8月中旬になってやっと羽化が見られるという。
秋に見られるトンボは、夏もしくは初夏から継続して羽化したものの生き残りであることが多いが、
マダラヤンマは、晩夏に羽化し、秋に発生のピークを迎える、純然たる「秋のトンボ」だ。

秋晴れの日。秋風吹く、黄金色に輝く田園の中の池で、ひっそりと飛ぶ。
こんなとき、黄色く枯れたアシと、腹部の瑠璃色の対比がひときわ美しく映える。
毎年秋になると目に焼き付くシーンだ。

トンボシーズンの幕引きのクライマックスと言えるこのヤンマ、今年はなかなか都合がつかず、
10月に入ってから強引にチャンスを作ったが、とても数が少なく、消化不良に終わった。

あと一回の最後のチャンス。なんとか良い結果を出したい。
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by brunneus | 2009-10-08 12:14 | その他 | Comments(0)