トンボの日々

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2013年 04月 30日

例年通り?・その2

先日のトラフトンボの産地では未熟な雌が多かったが、成熟気味の個体も少ないながら見られた。

トラフトンボ半成熟雌:体長53mm
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未熟個体と比べると腹部が太く、複眼の輝きが増しているのがわかる。

結局、今回はトラフトンボ以外の種は見ずじまいで終わるのか、、などと考えながら帰り際に覗いた
空き地に、大型のトンボが旋回していた。あれは!

空を切ったネットの中に入っていたのは、今年初めてのヤンマ。

アオヤンマ雄:体長73mm
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これでサラサヤンマも出てきてくれれば役者が勢揃いなのだが、贅沢は言うまい。
4月にこのヤンマを採ったのは初めてだ。まだ成熟前のぴかぴかの個体。羽化して4、5日という
ところか。

アオヤンマが出るのはトラフトンボが成熟してから、というイメージがあるので、やはり今年ちょ
っと早いのだろうか。
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by brunneus | 2013-04-30 01:22 | 千葉 | Comments(0)
2013年 04月 29日

例年通り?・その1

4月中旬にムカシトンボを採った。
桜の開花も早い。

以前の記事でも書いたが、この感じだと、トラフトンボは連休前には成熟しているのではないか?
それを確かめに、毎年通っている沼へ片道3時間半かけて行ってきた。

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天気は申し分ない。風が冷たいのが気になったが、全く飛ばないということはないだろう。
空からはヒバリの声。沼からわき上がる泥の匂いと、時々風に乗ってくる肥の臭い。遠くの空には
成田空港に着陸する旅客機がぽつんと浮かぶ。

今年も、1年前と変わらない風景が出迎えてくれた。

池面をパトロールする雄の姿は無い。
ならば、と周囲の空き地を巡る。さっそく一つ目の空き地の低空を旋回するシルエットを見つけた。
あの飛び方は雄だ。生殖期前半は、池を飛ばずに空き地に縄張りを張り、摂食しにやってくる雌を
待つのだろう。

上空に、雄とは明らかに違う飛び方をした個体がひとつ。
雄より滑空を交えて緩やかに飛び、時々きりもみしながら餌を追う。ミナミヤンマの雌にも似た飛
び方だ。さっそく竿を出し一振り。
ネットの中にいたのは確かに雌だが、腹部がぺしゃんこに潰れた未熟個体、、。

トラフトンボ未熟雌:体長53mm
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空き地を巡回すると、雌はぽつぽつ飛んでいるのだが、手にしてみるとどれも未熟個体ばかり。
なかにはこんな個体も。

トラフトンボ無斑型?未熟雌:体長52mm
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うーん、未熟なので無斑型かどうかの判定は微妙だ、、。

この時期でこの成熟具合は、結局、例年通りの感じだ。
先週の低温が成熟過程に影響を及ぼしたのだろうか。

採集もほどほどにし、帰路についた。
もうしばらくして生殖活動が活発になる頃、また訪れてみよう。
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by brunneus | 2013-04-29 00:49 | 千葉 | Comments(0)
2013年 04月 24日

いそうでいない

数日振りに晴れた日の午後。

自転車で駅へと向かう路上に、西日を浴びて大きな昆虫が横たわっているのが見えた。
急ブレーキをかけてよく見ると、それは大きなツチイナゴ雌だった。

ツチイナゴ雌:体長50mm
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ひなたぼっこでもしていたのだろうか。こんな道路の真ん中でじっとしていたら、車に轢かれるのは
時間の問題だ。国立に越して来てからずいぶん経つが、ツチイナゴを見たのは初めてだ。

ツチイナゴは、クビキリギスと共に、成虫で越冬する大型の直翅類の一種。
クビキリギスは、鮮やかな緑色(褐色型もいるが)と、夜になると聞こえる大きな鳴き声で存在感抜
群だが、それと対照的なこの地味な色。鳴くこともないので、普通種の割に見る機会が少ない。
見つけたのは住宅地のど真ん中だったので、近くの家の庭先で越冬していたのだろうか。

ツチイナゴは昆虫図鑑では定番だが、新宿で育った子供時代には見たこともなく、大型昆虫というこ
とも相まって、憧れのバッタだった。
トンボを採りはじめてからは、春先にポイントでよく見かけるようになったが、街中では未だに殆ど
見かけたことがない。いったい、彼等はどんな場所をホームグラウンドにしているのだろう。

身近な環境に棲む虫ほど、生態は謎に包まれていると思う。
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by brunneus | 2013-04-24 01:34 | 東京 | Comments(0)
2013年 04月 22日

アリ?ハチ?

この土日は季節外れの低温と悪天でトンボはお預け。
せっかくいい調子で季節が進んでいたのに、ここでしばらく足踏み、といったところか。
初夏の陽気に誘われて羽化したトンボたちも、さぞかし寒さに震えていることだろう。


先日の神奈川のスギカミキリ探索の副産物。


ミカドアリバチ
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山を下る途中で足元をのこのこ歩いていたのを確保。
アリのように見えるが、毒針を持つれっきとしたハチだ。
毛むくじゃらの身体に、ワインレッドの胸部、銀色に輝く腹部の模様。
渋い魅力を静かに放つ、いい虫だ。

意外だったのは、刺されないように手に持った瞬間、「キイキイ」と鳴いたこと。
どこで発音しているのかはわからないが、アリバチが「音を出す」という発想は全く無かったので、
ちょっと面食らった。
図鑑では分からないこういう発見があるので、フィールド採集は面白い。
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by brunneus | 2013-04-22 00:04 | 神奈川 | Comments(0)
2013年 04月 16日

初物・その2(シーズン開幕)

底冷えの日々が終わった二日目。

ぽっかり一日が空いた。
気温も高い。天気も良い。こんな日は、家にいるのが勿体ない。この時期考えていることは、近場での
スギカミキリ探索。時期的にはもうデッドラインだが、前日にトンボ仲間からスギカミキリ採集の情報
を得ていたので、まだ大丈夫だろうと踏んで、八王子の、とある谷間へ。

その場所にした理由は、杉林があるというのも一つだが、密かにムカシトンボへの淡い期待を抱いてい
たのだ。インターネットの情報では、都内では先週に既に羽化しているという。
一週間。低温明けの高温晴天。これはもしかしたら飛ぶかもしれない。いや、いくらなんでも時期が早
すぎる。毎年、一回目のムカシトンボ探索は失敗しているじゃないか、、。
そんな葛藤をしつつも、半年ぶりに竿とネットをリュックに忍ばせ、家を出た。

家でぐだぐだしていたせいですっかり出遅れ、最寄り駅に到着したのが10時20分。
タイミングが悪いことに、ポイントへと向かうバスが出た後だった。次のバスは1時間後。ろくに時刻
表も調べずに家を出た自分を少し恨んだ。

仕方がないのでポイントまで延々と歩く。日差しは意外に強く、歩き出すとすぐに汗が出てくる。
頭上を飛ぶクマバチの雄たちを眺めながら、駅を出発して歩くこと30分。住宅地でふと足元で動く気
配を感じると、そこに弱々しいトンボの姿があった。
今年初のトンボはダビドサナエか、、。と拾い上げると、なんとヒメクロサナエだった。

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ここは本来の生息地からかなり離れている。ヤゴが流されてきたのだろうか。
昨年も、ムカシトンボを採った日、谷間でこのトンボを見ている。これは可能性があるかもしれない。
ポイントがある谷間へ入ると、すぐに杉林が出現。一応スギカミキリの穴を探すが、皆無。しかし視界
の隅で何かが強烈な存在感を放っているのに気付いた。近づいてみる。

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それはムカシトンボの羽化失敗個体だった。よく見るとアリがたかっている。ムカシトンボを初めて採
ってから10年以上、毎年ポイントに通っているが、抜け殻さえも発見できたことはない。これは良い
兆候だ。

11時45分。ポイント到着。
視線は空間を彷徨うが、トンボらしき動きをする物体は見当たらない。
やっぱり早すぎたか、、、。木陰に腰を下ろすと、少し離れた空間を何かが横切った。直線的につーっ
と移動する、細長い物体。まさか、、。

慌てて竿を手に採り、木陰から飛び出す。物体は頭上をふわふわと飛んでいき、杉林の手前で踵を返し
て、こちらへ向かってきた。脇を通過する瞬間に、竿を振る。手応えあり!

ムカシトンボ雌
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4月中旬にムカシトンボを手にするとは思ってもみなかった。
その後は間欠的にムカシトンボが飛来し、のんびりと小虫を摂食していた。時間帯のせいか、殆どが雌
だったのが興味深い。

手にした個体は羽化したて、という感じではなく、成熟の一歩手前といったところ。来週には産卵でき
そうな状態だ。

もしかしたら来週はトラフトンボも出ているかもしれない。
こちらの予想以上に、季節は駆け足で進行している。
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by brunneus | 2013-04-16 01:06 | 東京 | Comments(3)
2013年 04月 14日

初物

仕事帰りの国立駅前。
今年の春は季節の進行が早いので、先週あたりから、夜の駅前を歩くときは地面に気をつけるように
していた。

そして今日。
ついに今年初物を発見。といっても、残念ながらジーンズ店の玄関マット上の潰れた死骸だったが。

今夜は暖かい。まだ他にいるに違いないと、目を皿のようにして歩く。
するとすぐに路上をゆっくり歩く物体を発見。背後から自転車が近づいてくる音がしたので、とっさ
にかがみ込み、手の中へ。危うく轢死体になるところだった。


オオキイロコガネ雄
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例年だと4月下旬から姿が見られるので、今年は早い出現の記録更新だ。

駅からの夜の道。
街路樹は新緑に包まれ、通りはむせ返るほどに瑞々しい空気で充満する。
そして路上を這う黄色い甲虫。

今年もまた、そういう季節が巡ってきた。
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by brunneus | 2013-04-14 23:37 | 東京 | Comments(0)
2013年 04月 12日

そろそろ南方遠征が視野に入り始めた。

亜熱帯でのスケジュールをあれこれ考えるうちに、いつしか意識はジャングルの上空を優雅に漂う、
ミナミヤンマ類へと傾く。
灼熱の地の象徴のようなこの仲間とのなれ初めは、幾度も書いているのでここでは触れない。

熱帯の地域を持たない日本だが、四国南部と九州南部以南にミナミヤンマの仲間は3種が分布する。
しかし視野を広げてみると、さらにその南、西はインドから東はボルネオまで、アジア南部に50
種近くも分布しているという。
当然、これらの地域には行ったことが無いので情報源は文献やウェブとなるのだが、いかんせんこ
の地域は昆虫の研究が遅れがちで(日本や欧米と比べると、という意味で)、欲しい情報に乏しい。
しかしそれがまた、この仲間のミステリアスな魅力に繋がっているのだと思う。

ミナミヤンマ類は雄よりも雌にその種独特の特徴が発現する。
昨年末の神奈川での展示で国外のこの仲間の標本を見て、雌の多様性に驚いたが、それを表現しよ
うにも手持ちの標本も写真もないのでもどかしかった。ウェブにはいくらかはあるが、それを無断
でここに貼付けるわけにもいかない。

そこで、仕方がないので10頭ほど描いてみた。(クリックで少し拡大)

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ここに描いたのは全て雌個体のみ。種によっては情報が乏しいので、かなり描写が怪しくなっている。

番号1:Chlorogomphus risi (タイワンミナミヤンマ/翅斑拡大型)
番号2:Chlorogomphus risi (タイワンミナミヤンマ/翅斑縮小型)
番号3:Chlorogomphus usudai
番号4:Chlorogomphus brevistigma (ヒロバヤンマ)
番号5:Chlorogomphus nakamurai
番号6:Chlorogomphus sp
番号7:Chlorogomphus papilio (タイリクアゲハヤンマ)
番号8:Chlorogomphus suzukii (ホソミオニヤンマ)
番号9:Chlorogomphus shanicus
番号10:Chlorogomphus arooni

タイワンミナミヤンマは、イリオモテミナミヤンマと近縁、
ヒロバヤンマはオキナワミナミヤンマと近縁とされているらしい。

描いてみて気付いたのだが、ミナミヤンマ科には、形態的にいくつかの傾向があると思う。

一つは番号1から4の型。国内のカラスヤンマと同じような、「典型的ミナミヤンマ」型。
翅に出る斑紋のパターンも概ね統一感がある。

もう一つは、番号5から7、そして10の「特殊」型。
C.nakamuraiは、前後の翅に、アメイロトンボのような大きな不透明の乳白色の斑紋がある。
6番の不明種は、翅の幅や腹部の幅、斑紋が、微妙にミナミヤンマらしくない。
C.papilioは、その名の通りまるでアゲハチョウに擬態しているようだ。
C.arooniは、細い翅、太い腹部と、斑紋パターンは他には見あたらない。

さらに番号8、9。
翅も無色透明。幅もごく普通で、この中では最も「ミナミヤンマらしくない」特徴を持つ。
また、腹部が異様に細長くなる傾向がある。このグループは他にも何種類かいて、雄個体は身体に対し
て不釣り合いなほど腹部が細く、長くなるのが特徴。

もっとも、何をもって「ミナミヤンマらしさ」と言うのかは、基準が曖昧だ。国と地域によっても異な
るし、また個人によっても違ってくるだろう。科の模式種を「らしさ」として捉えるとすれば、それま
でなのだが、、。
日本に住んでいる人間からすると、やはり「ミナミヤンマらしさ」の基準はカラスヤンマ(ミナミヤン
マ)やイリオモテミナミヤンマ、オキナワミナミヤンマだろう。これはあくまで感覚的なものなので、
生物学的根拠はまったく無い。

しかし感覚的であるにせよ、ひとつの「基準」から周りを見渡し、他者と基準の間のギャップを知ると
き、自然界の奥深さを垣間見た気がする。
そこに「知ること」の面白さがあるように思う。

熱帯の密林の上を舞うまだ見ぬミナミヤンマ。いつかそれを手にする夢が叶う時は来るのだろうか。
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by brunneus | 2013-04-12 01:31 | つぶやき | Comments(0)
2013年 04月 09日

やっと出会えた

関東を強風が吹き抜けた翌日。
トンボ仲間のKくんと、スギカミキリを求めて神奈川へ。

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道々、トンボやムシの話をしながら丘陵を登る。そして道の脇に小規模な杉林を発見。
早速探索を開始する。脱出穴が多数見られ、雰囲気は良い。


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そして、ようやく「教科書通り」に、樹皮をめくった中から、探し求めていた姿を発見した。


スギカミキリ雄
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最初に手にしたのが小さな雄だったのであまり感動はなかったが、その後運良く雌も発見。

幸先の良いスタートだったが、雄をもう一頭追加したあとは良い杉林自体が見つからず、
ゴール地点へと到着してしまった。

期待したほどの数は得られなかったが、今回の探索で何となく雰囲気が掴めたので、
時間があれば地元でも探してみたい。
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by brunneus | 2013-04-09 18:22 | 神奈川 | Comments(4)
2013年 04月 01日

見えない標的

午後、時間が出来たので、西多摩へ。

今年初のフィールドのターゲットは、スギカミキリ。
仲間が次々に採集するのを聞いて、いてもたってもいられなくなったのだ。
仕事帰りに気軽に寄れる場所は、、、。頭の中の引き出しをあちこち出し入れすると、
ある風景が浮かんできた。
そのポイントはトンボでは馴染みの場所だが、スギカミキリ目的では初めて。
ウェブで検索しても、記録は見当たらない。

期待はしないで、散歩がてら、くらいのつもりで長閑な風景の中を行く。

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ポイント到着。
スギはたくさんあるのだが、あまり密生したエリアは期待薄だろう。
林の外れに立つ、貧弱なスギを見ていくと、さっそく見覚えのある穴が。

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しかしよく見ると、穴の縁に苔が付着している。相当古い脱出坑だ。
しかしスギカミキリが棲息しているらしいことは分かったので、さらにあちこち見て回る。


結果。
一時間ほど歩き回ったが、何本かの穴開き物件はどれも中古。
それ以外は「健全な」スギばかりだった。

広大なエリアから条件を絞り、ルッキングで丹念に物陰に潜む目標を探す、、。
注意力散漫、集中力全く無しの自分にとって、甲虫の採集は最も苦手な分野かもしれない。

また次に期待。
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by brunneus | 2013-04-01 21:05 | 東京 | Comments(0)