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2013年 05月 29日

シュールな光景

日々トンボを追いかけていると、シュールな光景に出会うことがある。

例えば往来の激しい国立駅前のベンチにちょこんと止まるオナガサナエ。
または一橋大学脇の路面を低空で飛び去るコヤマトンボ。
または東青梅駅前のスーパーのレジの下をホバリングするカトリヤンマ。
または沖縄本島北部の白い砂浜を舞うカラスヤンマ。

「え?なんでここにいるの?」と聞いてみたくなるような、周りの風景とミスマッチな光景に出くわす
ことが、時々あるのだ。

先日のムカシヤンマのポイントからの帰り道。
南側に開けた斜面の坂道を下っているとき、すぐ先の車道上を、大型の黄色いトンボが舞っているのが
目に飛び込んできた。すわ「キイロヤマか?」と思ってしまうほどの鮮やかな黄色。しかしここは東京
の西部。キイロヤマトンボなど、とうの昔に絶滅しているはずだ。

猛スピードで行き交う車の隙をついてフレームを手に持ち、さっと振る。ネットの中にいたのは、キイ
ロヤマならぬ、オオヤマトンボの未熟雌だった。

オオヤマトンボ雌:体長80mm
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採集した場所は、何の変哲もない中途半端な郊外の排気ガスにまみれた道路だ。付近に水気など一切な
い。ましてやオオヤマトンボが棲むような開放的な池は見当たらない。そんな場所で、思いもよらない
トンボを見てしまうと、何か夢を見ているような不思議な気持ちになってしまう。

何はともあれ、オオヤマトンボはまだ未撮影。さらに雌ともなると出会うチャンスも少なそうなので、
突然の出会いに感謝し、得した気分で現場を後にした。

これからどんなシュールな光景に遭遇できるか、楽しみだ。
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by brunneus | 2013-05-29 03:47 | 東京 | Comments(2)
2013年 05月 28日

初夏の瑠璃

用事があり駅前まで行くついでにふと思い立ち、近所のレッドロビンの植栽へ。

今年もそろそろシーズンに入ったはずだ。
不審者に間違われないように何喰わぬ顔で植栽に近づき、屈んだ瞬間に姿を見つけた。

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他には、、。と見回すと、そこにも、あそこにも、という感じで沢山の個体を確認。中には植栽の上を
元気に飛び回る個体も。

ルリカミキリ:体長13mm
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住宅地に初夏を告げる小さな瑠璃色の宝石。
今年も通勤時の密やかな楽しみの季節が、またやってきた。今シーズンは気になる他の場所の植栽も気
をつけて見てみたい。
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by brunneus | 2013-05-28 01:02 | 東京 | Comments(3)
2013年 05月 25日

いつもの顔ぶれ

トンボの舞台は、丘陵地の谷津に移り変わっている。

昨日。前夜は飲み会だったので辛かったが、この日を外すとチャンスはない。ぼうっとした頭で
都内西部の谷津へ。
雑木林はすっかり濃い緑に包まれ、睡眠不足の身体には、ギラギラした初夏の直射日光は堪える。

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快晴無風。林の中からはガビチョウの声が静かに響く。日の当たる場所に立ち、目的のトンボの
羽音に耳を澄ます。

ほどなく背後から「ブルルルル、、、、」と一年振りの懐かしい音。音が頭の上あたりで止んだ。
そっとカメラを出し、頭上に掲げて見当を付け、シャッターを押してみる。

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この個体を皮切りに、この日は短時間で数多くのムカシヤンマを見ることができた。

左/ムカシヤンマ雄:体長75mm 右/ムカシヤンマ雌:体長73mm
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手にした個体はみな身体はしっかりしており、成熟したて、という感じ。まさに旬だ。
いつもの場所でいつもの顔ぶれ。またひとつ季節が前に進んだ。
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by brunneus | 2013-05-25 15:26 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 23日

相性

ここ一週間、あれやこれやでトンボを手にしていない。
そろそろトンボを見たい欲求が高まってきたので、仕事後に再び短い竿をリュックに忍ばせて、お手軽
ポイントへ。狙いは先日見逃してしまったクロスジギンヤンマ雌。

しかし運が悪いことに、ポイント到着手前から俄に暗雲が頭上を覆い始め、現地に到着するやいなや、
大粒の雨が降り出してきてしまった。おまけに雷まで鳴り出した。

しかし焦らない。
この感じだと雷雲はすぐに去るだろうし、経験上、不穏な天気の時ほどヤンマの雌の産卵活動が活発化
するからだ。雨が当たらないベンチに寝転がって、止み間をのんびり待つ。

雨の音が止んだ。
さっそく竿を手に池を覗くと、何やら小振りのトンボが水面上を忙しそうに徘徊している。あれは雄で
はない。繁茂する藻に止まり、落ち着く瞬間を待ってネットを上からかぶせる。


クロスジギンヤンマ雌:体長70mm
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雌を手にするのは実に3年振りだ。
ヤンマの中でも普通種の部類に入るクロスジギンヤンマだが、雌にはあまり縁がない。そもそも狙って
いない、というのもあるが、それにしても雄に比べて極端に遭遇率が低い。たぶん相性が悪いのだ。
撮影を新方式にしてからは、撮影用に確保したいのでそれとなく気をつけて見てはいたが、やはり確実
に採るには、しっかり目的を持って狙った方が良いようだ。

存分に撮影できて、密かな懸案がまたひとつクリアできた。
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by brunneus | 2013-05-23 01:33 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 22日

横綱

数日前の夜、仕事帰りに大学通りを歩いていると、その日の営業が終わった店のシャッターの前に、動
く物を発見した。真っ黒なので、オオキイロコガネではないことは確かだ。かと言ってゴキブリのよう
に俊敏でもない。

のそのそ歩くその姿を見て、ある虫を思い浮かべた。一瞬躊躇したが、鞄から適当なケースを出し、収
納を試みる。ケースを当てがい、そっと中に入るのを誘導するが失敗。地面から嗅いだことがない臭い
が立ちのぼってきた。


ヨコヅナツチカメムシ:体長17mm
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カメムシには落果から吸汁する地上徘徊性の「ツチカメムシ」というグループがいて、ヨコヅナツチカ
メムシもその一員なのだが、異なるのはその大きさ。大抵のツチカメムシはせいぜい5mmから8mm
程度だが、「横綱」の名の通り、群を抜いて巨大だ。大型昆虫に目がない自分にとっては魅力的なカメ
ムシだ。

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カメムシでこれくらいの大きさになるのは、ヨコヅナサシガメと、キンカメムシの仲間くらいだろう。
調べてみると、かつては都内では記録が少なく稀な種だったらしいが、近年発見例が増えているらしい。
アオギリの樹下で発見されることが多いらしいが、アオギリ自体よく分からないので、彼がどこからや
ってきたのは謎だ。
今までにも一度、青梅に住んでいた頃に偶然近くの灯火で採集したことがあるが、いつ、どこで、どん
なふうに生活しているのだろう。

青梅で捕まえたときは臭いに警戒したが、無臭だった。しかし今回は、家に持ち帰ってケースを開けた
とたんに強烈な香りが漂ってくる。なんというか、いわゆるカメムシ臭ではなく、すえたナッツの臭い
というか、、。なんとも独特で、カメムシからこんな臭いがするとは思ってもみなかった。

パクチーのように、人によっては良い匂いに感じるかもしれないが、個人的にはちょっときつい。
すえたナッツの臭いに包まれながら展足すると思うと、げんなりする。
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by brunneus | 2013-05-22 12:44 | 東京 | Comments(2)
2013年 05月 18日

下流と上流

先日の続き。

ムカシトンボのポイントを後に川を下ると、日の当たる中流域で、川面を翻る褐色の翅がちらりと見え
た。さっそく河原に降りて行方を追うと、少し先の草に止まる大きなシルエットが目に入った。

ミヤマカワトンボ雌:体長70mm
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前回来た時は姿を見なかったトンボだ。久々に手を取ると、その巨大さが新鮮。
より色彩が美しい雄を探して川面を眺めていると、さっきまでは気付かなかったが、小さなトンボが高
速で水面上を飛び回っている。よく目を凝らさないと見えないほどに敏速だ。
おもむろに石に止まったので、そっと近づき網を被せる。

ダビドサナエ雄:体長45mm
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気をつけてみると、結構たくさん飛んでいる。他の種が混じっていないかいくつか採集したが、みなダ
ビドサナエだった。
夕方に俊敏に飛び回るサナエトンボといえばアオサナエが思い浮かぶが、ダビドサナエも同じような習
性があるのを初めて知った。

ダビドサナエ属(Davidius属)の2種、クロサナエとダビドサナエは同じような環境に棲んでいる
が、図鑑によればクロサナエは上流、ダビドサナエは下流に生息域が偏るという。今回はムカシトンボ
のポイントでクロサナエ、中流域でダビドサナエを見ているので、まさに図鑑通り、というところか。


爽やかな春の渓流採集はひとまず終了。
ドロドロの湿地で、蚊の猛攻撃に耐えながらトンボを待つ季節が、もうすぐやってくる。
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by brunneus | 2013-05-18 14:48 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 15日

ムカシトンボ終了

前日は天気で大外しの一日だったが、この日は朝から絶好のトンボ日和。

仕事が早めに終わる日なので、朝は短竿をリュックに忍ばせて家を出た。
考えてみれば職場が八王子なので、ムカシトンボのポイントには一投足で行けることに気付いたのだ。

急いで職場を出て、ポイントに着いたのが午後2時半。既に周囲は日陰で、流れには薄暗ささえ漂う。
こころなしか、前回来た時よりも渓流を包む緑が濃くなったように感じる。
雄が飛ぶコース上に佇むこと数分。下流の方から小さな影が上下に揺れながら接近してきた。ムカシ!
いつでも振れる体勢に身構えると、トンボはついっと足元の石に止まってしまった。「???」

よく見ると、サナエトンボだった。そっと網を被せる。

クロサナエ雄:体長48mm
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成熟した雄の個体を見るのは初めてかもしれない。
しげしげと眺めていると、また下流の石にトンボが舞い降りた。近づくとクロサナエ。
以降、30分ほど、何頭ものクロサナエの雄たちが入れ替わり立ち代わり森の上から舞い降りてきて、
岸辺の石に止まったかと思うと、再びふわっと舞い上がる行動を見せていた。
クロサナエの縄張り行動がこんなに独特だったとは知らなかった。

やがてやや大きめのトンボが下流から接近してきた。直線的な飛び方。これはムカシトンボの雄だ。
ムカシトンボ雄は、忘れた頃にぽつぽつと飛んでくる。

16時。
もう周囲はかなり薄暗い。そろそろ帰ろうかと思っていると、下流から真っ直ぐに何かが飛んでくる
気配を感じた。薄暗いので姿が捉えられない。コースを読んでここぞというところでストロークする
と、手応えがあった。

ムカシトンボ雌
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ようやく探し求めていた雌が採れた。
翅がボロボロの老熟個体。満身創痍という感じがして、なんだか凄みがある。
未熟時と違い、ぼってりと膨らんだ腹部。ムカシトンボはいつも連休までしか採らないので、5月中
旬の老熟個体というのは初めて見たかもしれない。

念願の成熟以降のステージの雌が採れたので、これで今年のムカシトンボはもう思い残すことはない。
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by brunneus | 2013-05-15 13:18 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 14日

黒化

昨日。
「良く晴れて暑い」の予報を見て、どんよりした空を眺めて半信半疑ながら、今年最後のムカシトンボ
を見に、青梅へ。

例に漏れず多大な犠牲を払って早起きし、ポイントに到着したのが10時半。しかし空は一向に明るく
なる気配はない。川面からは肌寒い風が吹き抜ける。飛ぶ物体はといえば、数匹のカゲロウとガガンボ
のみ。虚しい時間が過ぎてゆく。

結局、昨日はいくら待っても天候は好天せず、ただサワガニと戯れて終わった採集行だった。



ここ数日はトンボを手にしていないので、少し前の採集行から。
最近、ムカシトンボは半成熟個体の摂食パターンでしか採集していなかったので、久々に雄のパトロー
ルが見たくなり、午後から八王子の渓流へ。ここは古くから知られたポイントで、流域が短く、ポイン
トを絞りやすい。
ここぞという場所に陣取り、待つことしばし。下流から黒いシルエットがぐんぐん近づいてくる。目の
前を通過した瞬間に一振り。

ムカシトンボ雄
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さすがは成熟個体。ネットの中で力強く暴れている。
あわよくば雌の産卵も期待したが、そう上手くはいかないようだ。雄も後が続かなかった。


ところで最近ムカシトンボに関して気付いたことがある。
図鑑やウェブで見る個体と、近年採集した個体の雰囲気がどうも違って見えるのが気になっていた。
自分で採集した個体は妙に黄色っぽく、写真に撮られた個体は黒っぽいのだ。何故か?

今回採集した個体を見て、それが解決した。

ムカシトンボ雄腹部/上:半成熟個体 下:成熟個体
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若い個体は腹部の黄斑が多く、成熟するにつれ黄斑が縮小し、黒化してゆくのだ。
近年は半成熟個体しか採っていなかったので、妙に黄色っぽいと感じていたのだろう。

成熟過程での黒化現象はヤンマ科やトンボ科、エゾトンボ科で広く見られる現象で、それ自体は以前
から知っていたのだが、ムカシトンボに関しては意識して成熟度合いを見たことがなかった。何故な
ら、黒化が見られる種は、雌雄と未熟成熟で色彩が大きく変化するグループに多いからだ。
ムカシトンボは雌雄同色で、成熟後の色彩の変化は無いだろう、と思い込んでいた。

こういう小さな発見が毎年あるから、やめられないのかもしれない。
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by brunneus | 2013-05-14 01:20 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 12日

エナガの死

雨の土曜日の昼間。

外が何やら騒がしいので窓から覗いてみると、向いの電線に小鳥が5〜6羽鳴き交わしながら群れてい
る。特徴的な「ジュルリ」という節が入る声。そして丸い身体から突き出た長い尾。間違いようもない、
エナガの群れだ。

一橋大学の構内で冬によく見かけるのだが、こんな季節まで残っているとは、、。てっきり春になると
山へ帰るのかと思っていた。大学から離れた住宅地の真ん中に出没するのも意外だ。
群れは家の周囲を行きつ戻りつしながら、やがて遠ざかっていった。

夜。仕事から帰って何気なくベランダを見ると、一羽の鳥が落ちていた。
拾い上げると、昼間見たエナガだった。

間近で見る機会もないので、観察してみる。

全身
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頭部
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目の上に赤いラインが入っている。幼鳥なのだろうか。大きさはスズメを少し小さくしたくらい。
全身は柔らかな羽毛で覆われているが、脚の指先はさすがに頑丈に出来ている。
頭部から出血していたので、恐らく窓ガラスに勢いよく衝突してしまったのだろう。野外での経験がまだ
少ない幼鳥が、親鳥を追って慌てて飛び出したところに、窓ガラスがあった、という想像をしてみる。

観察した後はどうするかしばし困ったが、近くの土に埋めた。
春に巣立った幼鳥の何割かは、こうした不慮の事故で命を落とすのだろう。
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by brunneus | 2013-05-12 23:31 | 東京 | Comments(0)
2013年 05月 10日

カワトンボ三型

カワトンボを再評価すると言っても、その複雑な多型出現の法則を理解する気は起きない。

下の画像は同じ流れの狭い範囲で見られた3つの個体なのだが、全部ニホンカワトンボなのだろうか。
自信がいまひとつない。
採集した地域は、どうもアサヒナカワとニホンカワの混生地らしいのだ。

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左上の個体はおそらく確実にニホンカワだが、その右の個体は翅の不透明部分が縮小していて、こう
いう個体はアサヒナカワにも見られるという。縁紋の長さも識別ポイントになるというが、よく分か
らない。

あとは胸高に対して頭部の幅などいくつかの違いはあるらしいのだが、こういう差異は多数の個体を
見比べなければ、実感として把握できないと思う。

こうして今年も、カワトンボのもやもやは消えぬまま、シーズンが過ぎてゆく。
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by brunneus | 2013-05-10 14:51 | 東京 | Comments(2)