トンボの日々

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2013年 09月 29日

目黒のマダラ

マダラヤンマ雄:体長60mm
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マダラヤンマは、ある程度の水深があり、マコモ、ガマなどの背の高い水生植物が繁茂する開けた池沼
に棲息する。風景としては、ちょうどベッコウトンボやアオヤンマが見られるような環境に多いようだ。

北海道から北関東にかけては平地に産地があるが、中部地方の太平洋岸には産地はなく、長野県の南部
が分布南限になっているという。日本海側では平野部にも産地があるらしい。

こういった分布をするのも、マダラヤンマがもともと寒冷な気候を好むからだろう。
しかし文献の名前は忘れたが、戦前の、現在の目黒区の記録を見た記憶がある。もっとも、昆虫の同定
知識が今ほど正確ではなかった当時のことなので、誤同定の可能性もある。
だが、この記録が本物だとしたら、温暖な関東南部にも棲息していた可能性もある。戦前の東京湾岸は
あちこちに低湿地が広がり、マダラヤンマの棲息に適した環境が広がっていた。
湿地沿いに北関東から南下した個体群があったとしたら、なんだかロマンを感じる。

目黒の水辺を飛び交うマダラヤンマを、想像してみる。
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by brunneus | 2013-09-29 08:42 | その他 | Comments(0)
2013年 09月 28日

ド老熟

オオルリボシヤンマの新鮮な成虫、というのを随分見ていない気がする。
旬の時期(8月上旬から中旬)はマルタンヤンマにかまけているので、産地に行く機会が無いのだ。

9月も中旬を過ぎ、マルタンが終わる頃には既にどの個体も翅は煤け、老熟した状態になってしまって
いる。
この個体も先日のメガネサナエの帰りに立ち寄ったポイントで得た個体。

オオルリボシヤンマ雄:体長80mm
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翅が渋く煙っているが、老熟個体の常として、腹部の青色斑が色褪せてしまっている。
ネアカヨシヤンマは煤けたぐらいが丁度いい、と以前書いたが、オオルリボシはやはり新鮮な個体が一
番だ。
とはいうものの、来年もまた同じことの繰り返しだと思うのだが、、。
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by brunneus | 2013-09-28 11:44 | 長野 | Comments(0)
2013年 09月 26日

最難関

「関東周辺で一番採るのが難しいトンボは?」
と聞かれれば、トンボ屋ならまず「マダラヤンマ雌!」と答えるだろう。

採るのが難しい原因は色々あるだろうが、個人的には、やはり環境の広さに対して個体密度が低いこ
とが大きいのではないかと思う。

広大な湿地の中を、いつ現れるとも知れない一頭の雌を求めて一日中歩き回る。他地方の多産地なら
ともかく、関東ではこういった苦行のような採集スタイルしか方法がないのだ。
仲間内でも、シーズンになれば「今年は誰が採った、誰が採れなかった」という話題で持ち切りにな
る。狙っても採れないのがマダラヤンマの雌だ。


そして数日前。久々にマダラヤンマの雌を手にすることができた。


マダラヤンマ雌:体長65mm
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前回マダラヤンマの雌を手にしたのはいつだろう。
記録を遡ってみると、2007年だった。実に6年振り、ということになる。始めのうちはそれなり
に期待して産地へ赴いたものだが、あまりに成果が出ないと次第に諦めが入ってきて、ここ数年はお
世辞にも真面目に狙った、という状態ではなかった。

しかし出会いというのは突然やってくるもの。
6年振りに手にした雌を眺めながら、真面目でも不真面目でも、「行かなければ採れない」という鉄
則をひしひしと噛み締める。
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by brunneus | 2013-09-26 01:23 | その他 | Comments(2)
2013年 09月 25日

採りもらし

「オオヤマ、ウチワの雄を採りもらしたなー!」
と騒いでいたら、用事のついでに、と気鋭のハンターKくんが地元で採ってきてくれた。
ありがたい。

上/オオヤマトンボ雄:体長80mm 下/ウチワヤンマ雄;体長78mm
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この2種の旬は7月なので、まさか9月下旬に手に入るとは思ってもみなかった。
共に普通種のトンボ故に、優先順位がどうしても低くなってしまい、毎年手が付かないのだ。

両種とも雌は採集しているので、これで雌雄の写真が揃って一安心。
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by brunneus | 2013-09-25 14:15 | 東京 | Comments(0)
2013年 09月 23日

ちょっと好き

この時期、森に囲まれた池の周辺でよく見られるアカネ。

ネキトンボ雄:体長43mm
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同じような環境にはマユタテアカネが見られることが多いが、ネキトンボは決してマユタテアカネのよ
うに低い場所に止まることはなく、岸辺の樹木の枝とか、看板とか、池が見渡せる高い位置に止まる。

昆虫行動学的に書くなら、ひとつの水域をマユタテアカネと立体的に使い分けている、ということだろ
うか。

時おりさっと水面に降りて来て俊敏に巡回、ホバリングを交えて力強く飛び、またさっと舞い上がって
いく。その飛翔はパワフルで、弱々しく水面を飛び回るマユタテアカネとは対照的だ。
そんな行動を観察していると、ネキトンボにはどこか気高い気品のようなものを感じる。

どれも同じように見えるアカネ類は個人的にはあまり興味が持てないグループだが、ネキトンボはちょ
っとだけ好きなトンボだ。
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by brunneus | 2013-09-23 16:44 | 東京 | Comments(0)
2013年 09月 21日

拒絶

9月中旬。

ようやく休日と好天が合致したので、シーズン末期ではあるが、長野のメガネサナエを見に行った。
せっかくだから、と今回も事前に他のポイントにも目星をつけて巡ることにする。

この日はメガネサナエポイントに行く前に途中下車、エゾゼミがいそうなカラマツ林を歩き回ったが、
声はするものの、地面に朽ちた死骸がいくつか見られるだけで、生きた個体を手にすることは叶わな
かった。遥か昔、晩夏の八ヶ岳の高原で、あちこちの路上にエゾゼミが落ちていたのを記憶していて、
今年は何回かそういった個体を狙って高原地帯に赴いたが、姿は見られずじまいだった。
ここまで成果がないと、あの記憶は果たして事実であったのか、ということさえ曖昧になってくる。

気を取り直して次はマダラヤンマのポイント。
ある方から目撃ポイントを教えて頂き、期待に胸を膨らませて行ってみたが、良さそうな環境ではあ
ったが飛んでいるのはギンヤンマのみ。恐らく気温が高すぎるのだろう。

そして頼みの綱のメガネサナエポイントは、今年は数が少ない。おまけに疲労で集中力が途切れがち
で、思うように竿を操れない。こんな状況では雌も望むべくもなく、早々に切り上げる。
諦めの良すぎる所が、我ながら欠点だと思う。

太陽は西に傾いているが、最後だけでも景気よく終わらせよう、と昨年見つけたオオルリボシヤンマ
のポイントへ。
ポイントには日没ぎりぎりに到着。縄張り飛翔は終わっているが、黄昏摂食活動はこれから始まるは
ずだ。待つことしばし。池の奥の暗がりで白っぽいヤンマが忙しなく飛び交いはじめた。オオルリボ
シだ。狭い範囲に2頭いるが、薄暗い上に滅茶苦茶に飛び回るので大苦戦。ようやく一頭をネットに
収めるとタイムアップ。冷たい風が吹き抜ける田園風景の中を、駅へと急いだ。

今年の山梨、長野遠征は軒並み成果が出ない。行くタイミングを外している、というのもあるかも知
れないが、ポイントから拒絶されている気がしてならない。


メガネサナエ雄:体長63mm
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ミヤマサナエ雄:体長50mm
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by brunneus | 2013-09-21 14:25 | 長野 | Comments(0)
2013年 09月 15日

パーフェクト

トンボに限らず、昆虫採集全般に言えることかもしれないが、一日の中に複数のポイントを詰め込む
欲張ったキャラバン方式の採集行は、パーフェクトな結果になることは少ないと思う。

9月上旬。
休みと天気のタイミングが悪く、夏のトンボが思うようにクリアできていなかった。
この日の天気は上々で、この日を逃すとチャンスは無い、とばかりに普段はやらないキャラバン採集
を敢行した。

まずはタカネトンボ雌。
ここはポイントに辿り着くまでに山登り(と言っても30分程だが、、)をしなければいけないので、
あまり気が進まないのだが、金緑色系の仕上げとしてのタカネは、自分の中での季節を前に進める上
で大切な存在だ。
この日は気が向いて、タカネポイントに行く前に、近くの河原でサナエを見てみることにした。
この河原は以前からサナエトンボの環境としては良好だと思っていたのだが、何度か探索に訪れた結
果は芳しくなかった。しかし仲間の情報で、このポイントのサナエは朝方に出る、ということを聞い
ていたので、その確認の意味もあった。
ミヤマサナエも出るという話もあったが、ミヤマはあまり期待せず、未撮影のオナガサナエでも摘ん
で引き上げよう、くらいの軽い気持ちで河原へ向かう。

河原へ降りるとさっそく朝日の当たる岸辺にサナエが倒立しているのが目に入った。どうせオナガ、、
と近づくと、やや小型で腹端がなんとなく丸い。ミヤマサナエ雄!
あわててネットを準備していると、今度は足元の岸辺を忙しなく往復しているトンボ。これはサナエ
の産卵!即座に水面にネットを振り下ろす。そしてネットの中から出てきたサナエは、なんとミヤマ
サナエ雌!ミヤマサナエは長野をはじめ埼玉でも度々見かけるが、雌についてはずっと縁がなかった
のだ。まさか到着早々長年の懸案だったミヤマサナエ雌を手にできるとは思ってもみなかった。
その後ミヤマサナエ雄と、オナガサナエ雄を採った所でタイムリミット。急いでタカネポイントへ。

タカネトンボは例年よりは少なかったが、雌は一度だけ産卵に訪れ、無事ネットイン。
目的はクリアできたのだが、休憩がてら岸辺に佇んでいると、突然頭上から大型のヤンマが急降下し
てきた。色は赤茶。この環境でこの配色はルリボシヤンマ系の雌!とネットを構えると、ざぶっと水
浴びしたあと、幸運なことにふらふらと射程距離に近づいてきた。すかさずスイングすると快音。
ネットの中で暴れていたのは、ルリボシとは似ても似つかぬコシボソヤンマの雌だった。コシボソ雌
は、これから移動して八王子で狙おうとしていたヤンマだ。午前中の時点で早くも今日の目標はクリ
アしてしまった。

タカネポイントにいる理由も無くなったので、足取りも軽く下山。麓の駅前のコーヒー屋でしばし涼
んだあと、残りのコシボソ雄を採るべく八王子へ向かう。
ポイントにはまだ川面に残照がある時間に到着。さっそく木陰に飛ぶヤンマの影を探すが、ここで目
の前の葉にふわっと小型のサナエトンボが止まるのが見えた。この時期の小型サナエは非常に怪しい!
動揺が伝わったのか、この個体は採り逃がしてしまったが、すぐ近くで別の個体が飛び立った。頭上
の葉に止まるのをしっかり確認してから振り抜く。オジロサナエを想像して取り出してみると、手の
中には想像をはるかに超えるヒメサナエの雌がいた。
ヒメサナエは今シーズンの目標としていた種だったが、仲間にポイントまで丁寧に教えてもらいなが
ら、結局採集しに行くチャンスがなかったのだ。こんな身近な川にも棲息していたのはまさに灯台下
暗し。気軽に行ける場所なので、来年は本腰を入れて調査しに来てみよう。
日没後は予定通りコシボソヤンマが飛び始め、無事雄を確保。帰りがけに川面の上を縦横に飛び交う
マルタンヤンマを眺めて帰途についた。

短時間でさっと目的を達成し、次へ向かう。しかも目標以上の成果を手にできる。
滅多にないことだが、こういうキャラバンは本当に気持ちが良い。


上段左:ミヤマサナエ雌 中:オナガサナエ雄 右:タカネトンボ雌
下段左:コシボソヤンマ雌 右:ヒメサナエ雌
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by brunneus | 2013-09-15 03:18 | 埼玉 | Comments(4)
2013年 09月 11日

取り柄がない

様々な生き物に関して、好きだの嫌いだのと言うのは、所詮人間の勝手であり、自然界からして見れ
ば、それ自体になんら意味はない。

であるので、我々人間が「好きだ」というのも勝手だし、「嫌い」「興味がない」というのも勝手だ。
「嫌い」「興味がない」と名指しされてしまった生き物に対して、「カワイソウ」という感情を抱く
のも、これまた人間の勝手。


アジアイトトンボ(上/雄 下/雌):体長28mm内外
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国内で記録されている200余のトンボの中で、これほど軽視されている種はいるだろうか?
・「亜細亜糸蜻蛉」という漠然とした名前。
・コフキヒメイトトンボほど微小でもなく、ルリイトトンボほど美麗でもない。
・やたらと数が多い。
その要素のどれをとっても、話題性、惹かれるものが無いのだ。

どの世界にも好事家という人種は存在するものだが、「アジアイトトンボが好きです!」という人は、
果たしているのだろうか?
もしいたら、その人にアジアイトトンボの魅力というものを、おおいに語って頂きたいものだ。


ここの所の天候不順で、いまだにマダラヤンマはおろか、メガネサナエにも行けていない。
そんなストレスを、アジアイトトンボにぶつけてみる。
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by brunneus | 2013-09-11 01:39 | つぶやき | Comments(0)
2013年 09月 09日

愛情が持てないオニヤンマのために一文を試みる

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トンボに興味を持ち始めた15年前は、あなたは憧れの存在でした。
あなたの「日本一」大きな堂々たる身体を図鑑で見かけるたびに、溜め息をつく日々でした。

15年前の夏。
山梨の田舎道で道路に横たわっていたあなたを見つけた時、背中に電流が走るのを感じました。
そっと拾い上げたあなたにもう息は無く、身体は半分蟻に喰われていましたが、眼の輝きは生前と何
ら変わりなく、緑色、橙色と変幻自在に移りかわるあなたの眼をいつまでも眺めていました。
トンボにのめり込むきっかけの一つが、この時のあなたであったことは間違いありません。

月日は流れ、他のトンボとの出会いも日を追うごとに増えていく中、いつしかあなたの存在は私の中
で霞んでいきました。

何故なら、
何処へ行ってもあなたに出会ってしまうからです。素晴らしい風景の中、あなたはまるでこの風景は
自分の物だと言わんばかりに傍若無人に飛び回ります。
出会いたかったトンボがいても、あなたは面白半分に脅かして追い出してしまいます。
はっきり言わせてもらうと、あなた、邪魔なんです。

15年前憧れたあなたの身体も、いま見てみれば、
ただ図体が大きいだけで、単純な黄色と黒の反復模様は、何の造形的な工夫もありません。顔もよく
見ると何だか大作りで、精悍さがない。

今はもう、あなたに逢いたいとは思えません。
いや、むしろ私の前からいなくなって欲しい、とさえ思っているのです。

ごめんなさい。
これは私のまったくの自分勝手で、あなたに罪は無いのは分かっているんです。あなたの方こそ、こ
んな私は願い下げですよね。

でも、そんなあなたが元気に飛び回る季節も、もう終わりが近付いていることを考えると、何故だか
寂しさを感じてしまうのです。ほんとうに勝手ですよね。


散々酷い言葉を並べてきましたが、15年経った今でも、あなたが輝いて見える時があります。
それは7月中旬。
瑞々しい空気に満たされた谷津の上空を悠々と旋回している姿。水中生活を終え、大空へと飛び出し
たばかりのあなたは本当に眩しく輝いています。

また来年、初夏の陽射しをいっぱいに浴びて飛び回る姿を、また見せて下さいね。
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by brunneus | 2013-09-09 23:21 | つぶやき | Comments(0)
2013年 09月 07日

昼夜両用

先日のマルタンヤンマの谷津。
マルタンヤンマが飛び交う中、薄暗い池の上を飛ぶスマートなヤンマを見つけた。あのフラフラとした
飛び方は心当たりがある。さっとネットを振る。
ネットの中にいたのは、案の定、久しぶりに見るヤンマだった。

ヤブヤンマ雄:体長80mm
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ヤブヤンマはどちらかと言うと夏前半のヤンマで、フィールドでは8月一杯で姿を見かけなくなること
が多く、9月にこのヤンマが採れたことは数える程しかない。しかも今回採れた個体は、シーズン終盤
にも関わらず、翅の煙りも殆ど見られない完品だ。羽化するタイミングを逃して出遅れた個体なのだろ
う。

ところでヤブヤンマは黄昏時に採ることが多いのだが、この時間帯に手にする個体は大抵複眼が黒く染
まっている(下の写真左側)。これは薄暗い環境でも僅かな光を効率的に拾うための変化で、通常は下
の写真右側のように、目の醒めるような空色をしている。

ヤブヤンマ雄頭部:左/黄昏時 右/通常の状態
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いわば昼夜両用の便利な複眼で、他にカトリヤンマ、コシボソヤンマにもこの変化が起こる。しかしこ
こで不思議なのは、同じように黄昏活動性があるネアカヨシヤンマ、マルタンヤンマ、トビイロヤンマ、
トンボ科ではオオメトンボなどには、複眼の時間帯による色彩変化は見られない。些細なことだが、複
眼という目立つ部分だけに、その理由が気になってしまう。

黄昏時に野外で採集したヤブヤンマ雄を自宅で撮影しようとした時、真っ黒の複眼ではどうも格好がつ
かない。そこで蛍光灯を間近で当てがってみたのだが、時間が経っても色は僅かに青みが増す程度。こ
ういう時は自然条件に頼るしかない、ということで、翌日太陽が高く昇ってから窓辺に置いてみると、
みるみるうちに空色に変化していった。

どうも局所的な光源だと、視神経が昼間であると判断しない、ということらしい。
こういう小さな発見と些細な疑問にまみれているので、生き物の観察は飽きないのかもしれない。
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by brunneus | 2013-09-07 02:03 | 東京 | Comments(0)