トンボの日々

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2014年 07月 30日

黄昏2014

南方から帰ってくると、関東はいつの間にか夏になっている。

毎年7月の採集回数が少ないのは、南方の余韻で放心状態になってしまうからだ。今年も、その放心か
らやっと目が覚めて、気付けば7月末。今年こそは新鮮な黄昏ヤンマを、と狙っていたのだが、既に老
熟期。

まず向かったのは馴染みのマルタンヤンマの産地だが、マルタンの数は少なく、沢山いるはずのコシボ
ソヤンマを全く見ず、というまさかのオチだった。
別の日、千葉のネアカヨシヤンマは、まずまず飛び、久々の頭上群飛を楽しむことができた。しかしこ
の日は何故か高い所ばかり飛び、数の割には採集数は少ない。

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左:マルタンヤンマ雄 右:ネアカヨシヤンマ雄

何はともあれ、この2種のヤンマを見て、やっと夏を実感することができた。
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by brunneus | 2014-07-30 23:37 | 関東 | Comments(0)
2014年 07月 30日

お知らせ

ミナミの話はちょっと中断。お知らせです。

トンボや虫を採っているだけではなくて、実は昆虫の絵も描いています。
縁があり、グループ展に参加させていただいています。
「進化しすぎた昆虫たち」をテーマとして、手描きの小品を二点ほど出品しています。

作品名は、
「decorations 2014 アデイロハナカマキリ」
「decorations 2014 アデイロユミアシカミキリ」
です。

お近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。

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ビリケンギャラリー
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by brunneus | 2014-07-30 00:31 | つぶやき | Comments(0)
2014年 07月 28日

出会いたかった!・その3

ミナミの島二日目。
マルモンコロギスとの出会いの興奮も覚めやらぬまま、夕方の林道を下っていた。
感覚が鋭敏になっていたのだろうか、再び気になる気配が視野の隅に見えた気がした。近づいてみて、
「あっ」と声を上げてしまった。

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ヒラタツユムシ!

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その名の通りキリギリスの仲間なのだが、成虫が木の葉に擬態した昆虫として有名で、熱帯地方を中
心に繁栄しているグループだ。別名「クサキリモドキ」とも言うが、個人的にはヒラタツユムシの方
が生態をよく表した名として気に入っている。

ヒラタツユムシは沖縄通いを始めた頃からの憧れの虫で、当初はヤンバルにしかいないと思っていた
のだが、図鑑によると、奄美諸島以南の大きな島々に点々と分布しているらしい。
「出会うとしたらヤンバル」と漠然と思っていたので、幼虫ではあるものの、別の島で突然目の前に
出現した瞬間は、幻でも見ているのかと思ったほどだ。

ヒラタツユムシは、平時はこのように頭をぴったりとくっつけている。

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この姿は、全くキリギリスらしくない。そして活動時、頭を上げるとキリギリスらしい形になる。

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樹上性のキリギリス類は、縦に扁平なフォルムをしているのがルールだ。しかしこんなふうに、ルー
ルを無視して横に平たくなった、ひねくれ者がいるから自然は面白い。

ツノメガニ、マルモンコロギス、そしてヒラタツユムシ。この3種の生き物が、完全にミナミヤンマ
を凌駕してしまった。まったく出来過ぎだ。
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by brunneus | 2014-07-28 00:17 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 26日

南の香り

ミナミの島で密かに期待していたこのトンボ。

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ヒメミルンヤンマ(左:雄 右:雌 どちらも体長67㎜前後)

10年前に訪れた時にも採集していたが、数はそれほど多くはなかった記憶がある。今回は、黄昏時に
なるとどこからともなく現れ、路上をせわしなく旋回しながら摂食する個体があちこちで見られた。そ
の行動は内地のミルンヤンマそのものだが、手に取ってみると、随分小振りで、黒っぽく見える。

念のため、内地産ミルンヤンマ(左の個体)との比較を。
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そしてヒメミルンヤンマの証は、この黒い顔面。

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ヒメミルンヤンマは、発見当初はミルンヤンマの亜種として扱われていたが、後にPlanaeschna naica
として独立種に格上げされた。これで晴れてこの地域固有種という誇らしい地位を手に入れたわけだが、
2012年に再びミルンヤンマの亜種に降格されてしまった。

分類学のトレンドを身をもって体現しているようなヤンマだが、そんなことには関係なく、その細身で
黒っぽい身体には、熱帯へと連なるPlanaeschna 類の南方系の香りを強く感じる。

北と南が混ざり合う、独特の昆虫相が見られるこの地域、つくづく面白い。
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by brunneus | 2014-07-26 14:50 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 22日

どこにでも

今回訪れた島は山がちで水田も少なく、止水域に乏しい環境だった。
しかし、そんな島にも良く見られるトンボがこれ。

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オオメトンボ雄:体長48㎜前後(右/やや未熟 左/老熟個体)

純然たる南方系のトンボで、アジア太平洋地域を広く分布域としている。たまたま未熟気味の個体が採
れたので並べてみたが、やはり老熟して翅が煙り、翅端に褐色斑が出た個体が恰好良い。老熟個体は、
なんというか、直火で焦がしを入れたような、渋い体色をしている。まさに暗闇で活動するのにはうっ
てつけの色だ。

オオメトンボとの初めての出会いは15年ほど前、慶良間は渡嘉敷島でのことだが、黄昏時に道路脇の
小さな貯水升の上を俊敏に旋回している個体だった。イトトンボならいざ知らす、内地ではこんなに小
さな水溜まりで縄張りを張るトンボを見たことがなかったので、驚いた記憶がある。

オオメトンボは、このようなミクロな環境でも世代交代できる所が、強みなのだと思う。
まとまった止水域が無い島でも、庭先のちょっとした池や、コンクリートの貯水槽なら事欠かない。そ
んな僅かな水域を求めて縦横無尽に移動できる積極性が、このトンボの分布を押し広げているのだろう。

止水性トンボが乏しい中で、亜熱帯の定番のトンボに無事出会えたことに安心する。
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by brunneus | 2014-07-22 11:49 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 18日

出会いたかった!・その2

ミナミの島二日目。
朝から強風でミナミヤンマも飛ばず、とぼとぼと林道を下っていた時のこと。

ふと、道脇に突き出た木の葉が気になった。何か不自然なものを感じたのだ。

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確認すべく近寄ってみると、明らかに何者かによって折り重ねられた葉がある。その隙間を除き込んで
息を呑んだ。

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コロギスだ!
ミナミの島には、普通のコロギスは棲息していないはず。ということは、長年探し求めていた、あれに
間違いない。慎重に捕獲を試みる。
振動に意外に敏感で、素早く逃げようとする所を取り押さえる。

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マルモンコロギス(左/雄 右/雌) 体長:40㎜前後

南西諸島にはこのマルモンコロギスの他に、ヒノマルコロギス、ニセヒノマルコロギスという赤い色を
した大型コロギスが棲息している。数年前、インターネットで初めてその存在を知って以来、その南国
情緒豊かな圧倒的な存在感に一目惚れしてしまったのだ。
しかし採集に関する情報は少なく、夜間の森の中や、街灯に偶然飛来したものが採られているにすぎな
い。これは運しかないな、、、と出会いは諦めていた。

しかし、今回は画像の広葉樹の枝から、3匹まとめて採集できた。
生態の一端が垣間見えた気がしたので、滞在中は道沿いの広葉樹を確認しながら歩いたのだが、追加は
得られなかった。好む樹種が限定されるのだろうか?

南方系大型コロギスの特徴は、何といっても額にある日の丸模様。

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外敵を威嚇するためにあるのだろうか。黒い大アゴも強力で、指先を口元に持っていく気にはとてもな
れない。採集時も、大きく首を回して何度も噛み付こうとしていた。

今回の旅の目標はミナミヤンマだが、マルモンコロギスとの出会いの嬉しさは、もしかしたらミナミヤ
ンマを上回るかもしれない。

苦労して遥々遠征した甲斐があった!
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by brunneus | 2014-07-18 02:46 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 16日

出会いたかった!

今回の旅で、トンボ以外にも楽しみにしていたものがある。

それはこれ。

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ツノメガニ。国内のスナガニの仲間では最も大きくなる種で、脚を広げると優に手の平からはみ出る。
鮮やかな体色と装飾的なフォルム。砂浜の貴公子のような存在だ。

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見る角度によって、雰囲気が大きく変わるのが面白い。そしてなんといっても名前の由来の眼の上の突
起。

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同時に、突起が短い個体も採れた。

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まだ若い個体なのだろうか。

ツノメガニは熱帯から亜熱帯地域の外洋に面した砂浜に棲息し、南方に出かける度に探してみるのだが、
なかなか出会いがなかった。時期的なものなのか、環境的なものなのかは分からない。今回もあまり期
待していなかったのだが、思いがけず宿の近くの砂浜で夜に複数の個体が見られた。

漆黒の砂浜を懐中電灯で照らすと、ぼうっとこのカニが浮かび上がる。この時に慌てて近づくと、目に
も止まらぬ早さで波打ち際へと走り去ってしまう。刺激しないようにそっと近づき、最後は鷲掴みに。
ツノメガニを求めて夜の砂浜を歩き回るのは、何とも言えないスリルと興奮がある。

今回、捕まえ方のコツが分かったので、また南方へ行く機会があれば、是非また狙ってみたい。
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by brunneus | 2014-07-16 00:54 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 14日

烏と南

種としてのミナミヤンマの分布は、四国は徳島から九州中南部、トカラ、奄美諸島を経て沖縄本島に達
し、ここでカラスヤンマと名前を変えて、さらに海を隔てて慶良間は渡嘉敷島で終わる。

黒潮に沿った、この長大な分布域の中で、雌の翅の斑紋が地域によって変化するのは有名だ。地域ごと
に変化する、ということは、地域内では逆に変化に乏しい、ということになる。

今回の島での変化はだいたいこんな感じ。

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真ん中の個体が典型的なパターンで、その右はやや翅前縁の黒帯が細い。逆に左の個体は、かなり褐色
斑が発達し、まるで沖縄のカラスヤンマを彷彿とさせる。こういう個体を見ると、やはりミナミヤンマ
とカラスヤンマには連続した繋がりを感じてしまう。

雌の翅の多様性が最も顕著なのは沖縄本島個体群であるカラスヤンマだが、その理由は、同所的に同属
のオキナワミナミヤンマが棲息しているためだという。確かにそれ以外の地域では、同属の2種が混棲
している場所はない。
しかし、翅が透明なオキナワミナミヤンマと区別するだけなら、全体が黒褐色のパターン一つだけあれ
ば良いわけで、果たして多様性が必要だろうか?

ここからは妄想だが、沖縄本島の多様性は、ミナミヤンマタイプから完全な黒褐色タイプへの、移行の
途中の状態なのではないだろうか。ということは、今後何万年かすると、沖縄本島の個体は全て黒褐色
のみということになる。
いや、その頃には温暖化が進んで、台湾のミナミヤンマが北上し、さらに複雑な多化現象が生じている
かもしれない、、、。

好き勝手な妄想を自由に垂れ流せるのも、昆虫趣味の楽しみのひとつだと思う。
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by brunneus | 2014-07-14 23:27 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 12日

ミナミの島

ミナミの島に行ってきた。

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今年の南方遠征は十年振りの場所。
二年前にはイリオモテ、そして昨年のオキナワミナミ。とりあえずの成果は出て、この二箇所はもう満
足していた。残る選択肢はミナミの産地だが、ちょうど十年前に訪れた時は、島の大きさと自然の奥深
さに圧倒され、これは一人では来られないなあ、と思い知った記憶がある。
唯一の足である公共交通機関であるバスも走ってはいるが、便数が少なく、現地での行動には使えない。

レンタカーを使えない身としては、イリオモテと同じくらい敷居が高い島なのだ。
しかし選択肢は他に無い。トンボ仲間のお知り合いの方から情報を教えて頂いたり、事前に現地の民宿
と車の交渉したりして準備を重ね、なんとか採集行を現実のものにすることができた。

そして当日。
初日からトラブルの連続で絶望したが、予定よりかなり遅れて夕方にポイント到着。西日を浴びて頭上
を悠々と旋回するミナミヤンマを見た時は、感激のあまり山中で一人、声を上げてしまった。

その光景は、自分にとって、全ての不安と苦労を一瞬にして吹き飛ばすだけの威力がある。
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by brunneus | 2014-07-12 12:50 | その他 | Comments(0)
2014年 07月 02日

やっと青ヤンマ

ここ数年、アオヤンマはトラフトンボの時期に未熟な個体をふたつみっつ採って満足していたのだが、
腹部が青く成熟した雄のまともな標本写真が無いことに、ある日ふと気付いた。

アオヤンマの多産地といえばお馴染みの千葉のポイントだが、片道3時間半は気軽に行ける距離ではな
い。こんな時は都内東部の産地、、といきたい所だが、先日のポイント壊滅で、頼みの綱が無くなって
しまった。
そこで情報収集すると、どうやら埼玉の低地に広く点々と分布していることがわかった。アオヤンマは
海沿いのヤンマ、という概念があるが、考えてみれば埼玉県は奥深くまで海から続く低湿地が広がって
いるので、アオヤンマがいても不思議ではない。

地図と情報を吟味し、ある一点に絞り込んだ。
そこは地図で見る限り、決して自然豊かとは言えない場所だったが、自宅からそれほど遠くはないので、
外したとしても精神的ダメージは少ないだろう。
結果は、目的を達成するまで二日を要してしまったが、なんとかアオヤンマ雄を採集できた。
二日共に仕事前の昼前後のみの短時間の探索で、一日目は曇りがちの天気で活性が低く、まぐれで雌が
一匹得られただけ。予報に反して日差しが多かった二日目は、複数の個体がアシ原上空を旋回する光景
を見ることができた。ここは晴れれば採りやすい場所かもしれない。


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アオヤンマ雄 体長72mm


未熟個体は全身黄緑色だが、成熟すると腹部側面が画像のように水色になる。まさに「青ヤンマ」だ。
8月のネアカヨシのポイントで見られる個体はどれも老熟して、身体のあちこちに染みが出来て、せっ
かくの若草色が台無し。染みが無い、6月の時期が一番美しい状態だと思う。

そしてもうひとつ、成熟個体の特徴は複眼。

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アオヤンマ属に特徴の、なんとも言えない、見る者の心を惑わす不思議な模様。未熟個体のぼやけた色
を見慣れた目には新鮮に映る。

自宅からポイントまで、駅からのアプローチを含めても1時間半弱。気軽に行けるアオヤンマの産地を
知れたことは収穫だ。
アオヤンマ以外にも色々いそうなので、時間ができたらまた訪れてみたい。
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by brunneus | 2014-07-02 01:08 | 埼玉 | Comments(0)