トンボの日々

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2014年 08月 28日

晩夏の金緑色

エゾトンボ採集行のあと、次なるターゲットであるハネビロエゾトンボを狙うべく、天気予報を睨みな
がら、チャンスを伺っていた。
8月下旬のある日。まんまと休日に晴天が重なったので、早起きをして電車に飛び乗った。

ハネビロエゾのポイントは基本的に木陰なので涼しいのだが、そこまでのアプローチが灼熱地獄だ。遮
るものが無い、どこまでも続く道をひたすら日差しに耐えながら歩く。道脇の灌木で喚き立てるアブラ
ゼミがいっそう息苦しい気持ちにさせる。乾いた道を砂埃を上げて走り去るトラック。こんな地域にほ
んとうに涼やかな流水があるのか、と疑わしい気持ちになってしまう。

とはいうものの、この灼熱ゾーンは時間にすると20分程度。しかし実際に歩いている時は永遠に続く
と思われるほど、辛い。

午前10時半。ポイント着。滝のように流れる汗をぬぐいつつ、あたりを見回すと、さっそく流れの上
を飛び去る黒いシルエットを発見。周囲を歩くと、あちこちで縄張りを張る雄が見られた。今年も発生
は順調のようだ。
いくつか雄を採ったあとは、雌を迎え入れる準備。雌が産卵しそうな苔むした石の前に陣取り、やって
くる雄を追い払いながら雌を待つ。

午前10時54分。足元をホバリングする個体がいたので、またいつの間に雄が、、と追い払いがてら
ネットに入れると、違和感を感じた。よく見ると腹の先端に突起!
危うく逃がすところだった。

それ以降は、待てども雌は来ない。昼頃に同業者と思われる人物がやってきたので、ポイントを譲って
終了。
帰りはいつもチェックするカトリヤンマのポイントへ。薄暗い道沿いの竹やぶをネットで軽く叩くと、
次々にヤンマが飛び出してくる。その中から雌と思われるものをピックアップ。

午後1時半のバスに乗り、夕方前には帰宅した。


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ハネビロエゾトンボ 左/雄:体長57mm 右/雌:体長59mm

雄雌どちらもそろそろ老熟期にさしかかる頃だろうか。雄は翅が欠けた個体が多かった。
いつ見ても雌の腹端の突起(産卵弁)は異形だ。こんなに長くする必要はあるのだろうか。

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カトリヤンマ 左/雄:体長70mm 右/雌:体長72mm

この時期にカトリの雌を狙う理由は、腹端の尾毛が完全な個体がいるからだ。9月に入り、繁殖期を迎
えた雌はもれなく尾毛が欠損している。これは産卵時に尾毛が泥に擦れてしまうからだが、未熟でもな
く、成熟したての個体が多いこの時期限定のターゲットなのだ。


最後の金緑色はタカネトンボだが、ここ数日の関東は、低温で梅雨のような天気が続いている。予報に
よれば、次の晴れ間は9月。夏は尻すぼみに終わってしまったようだ。
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by brunneus | 2014-08-28 15:36 | 関東 | Comments(0)
2014年 08月 25日

普通だけど

先日のマルタンの谷津。

マルタンヤンマの飛来を待っていると、頭上に見慣れないトンボがやってきた。大きさはヤブヤンマく
らいだが、シルエットが全く違う。

運良く射程内に入ったので、一振り。ネットの中に入っていたのはこのトンボ。

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オオヤマトンボ雄:体長80mm

このトンボは本来、広々とした池や湖に棲息するのだが、時々こうして意外な場所で出くわすことがあ
る。
オオヤマトンボがいるような池は、トンボ相が貧弱な場合が多いので、進んで行こうとは思わない。そ
んな理由から、普通種であるはずのオオヤマトンボは、今まで数えるほどしか採集したことがないのだ。

トンボを始めたころはコヤマトンボと区別が全くつかなかったが、慣れてくると、斑紋のチェックポイ
ントを確認するまでもなく、その重戦車のようないかつい体格で、すぐにそれとわかる。

ヤマトンボ科きってのマッチョなキャラクターのオオヤマトンボ。今も昔もいまひとつ興味が持てない
トンボなのだが、もし仮に稀種であったなら、接し方は変わるのだろうか。
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by brunneus | 2014-08-25 17:23 | 東京 | Comments(0)
2014年 08月 24日

続・マルタンの日

一昨日。

幸運にも午後の早い時間に仕事が終わった。よく晴れて、気温も高い。
選択肢はいくつかあったが、この日は再びマルタンの谷津へ行くことにした。今回はカメラのバッテ
リーをしっかり確認し、雄の飛翔の撮影に挑戦してみようと思ったのだ。

ポイント到着が午後4時。アプローチは酷い暑さで萎えたが、日陰に位置する谷津を抜けるそよ風に
一心地つく。
前回は到着時に既に雄が飛んでいたが、今日は何もいない。どうやら気温が高すぎたようだ。草の上
に座ってのんびり待つ。
日がだいぶ傾いた頃、上空を一直線に通過するヤンマを発見。やっと飛んでくれた。

カメラを構えて臨戦態勢に入るが、何故か今日の飛翔コースは高い。持参のカメラでは厳しい距離だ。
辛うじて撮れたのはこの程度。

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ストロボの光が届かず、胴体と複眼の青色が出せなかった。
数枚撮ると我慢の限界、カメラを竿に持ち替えて頭上を飛び交う雄たち目がけて竿を振るう。

この日は雄の活動は短時間で終息してしまい、それと入れ替わるように雌が飛び始めた。前回はやや
高くを旋回する個体が多かったが、今回は地上すれすれを縦横に飛び回っている。

ふと見ると、北東方面に巨大な積乱雲。

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あの雲の下、北関東は猛烈なゲリラ豪雨に見舞われているに違いない。

トンボの出現状況は日替わりであることは分かっていながらも、淡い期待を抱いていたのだが、やは
りそう簡単に良い撮影条件にはならないものだ。

このポイントのマルタンヤンマは、昨年に引き続き豊作だ。また来年も頭上を飛び交う姿が見られる
ことを願って帰途についた。

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by brunneus | 2014-08-24 02:46 | 東京 | Comments(0)
2014年 08月 19日

マルタンの日

昨日。
近頃の採集不振の流れを変える必要があった。そんな時は、期待を裏切らないあの谷津だ。

家を出た時は晴れ上がっていたが、ポイント周辺は西の山から巨大な雲が立ち上り、薄暗い。
記録に環境写真を撮影しようとカメラを取り出したが、ここでバッテリーを入れ忘れた失態に気付く。

ふと気配を感じて見上げると、褐色の翅にスマートな腹部のヤンマ。マルタン雄だ。
じっと姿を追うと、池の上を一定の速度でゆっくりと往復している。この直線的な飛翔は、マルタン雄
の特徴だ。
竿を出すが、今日は小継竿。マルタンは一杯に伸ばした少し上を飛んでいる。こんな時は絶好の撮影チ
ャンスなのだが、つくづくバッテリーを忘れたことが悔やまれる。
雄は数十メートル先で折り返した。こちらに向かって接近する過程で、池のギンヤンマに絡まれて、コ
ースが変わった。これはチャンスだ。
竿を構えてすぐ脇を通過した瞬間に振り抜く。同時に「バキーン」という小気味良い音が谷に響き、竿
が根元から折れてしまった。
やっぱりまだ運に見放されているのか、、、とため息をつきながら、こんな時のために常備してあるガ
ムテープで応急処置。再び空を睨む。

16時40分。
池の上を飛ぶマルタン雄の数が増えた。時に三匹がもつれ合いながら、時間差で池の上を往復している。
空を背景にこちらへ向かって真っ直ぐに接近してくる姿は、着陸体勢に入った飛行機そっくりだ。
頭上を通過する瞬間に、折れた竿を気遣いながらふわっとネットで包み込む。

これ以降、ツクツクボウシの声をBGMに、ひっきりなしに飛来するマルタン雄との静かな勝負を楽しん
だ。今日は当たり日のようだ。運がついてきたらしい。

18時を過ぎると、今度は産卵を終えた雌が池の上を旋回し始める。あたりは既にかなり薄暗いが、音
もなく頭上を乱舞する姿に思わず見とれてしまう。

18時半。
未だ雌は乱舞しているが、すっかり気持ちが満たされたので、ポイントを後にした。

アオマツムシの声を聞きながら夜風に吹かれる帰り道。夏は終わりに近づいている。


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by brunneus | 2014-08-19 01:00 | 東京 | Comments(2)
2014年 08月 14日

腰細

今が旬のトンボ。

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コシボソヤンマ雄:体長78mm

トンボを始めたばかりの頃、図鑑の中でひときわ異彩を放つヤンマだった。是非手に取ってみたかったが、
「河川に棲息し、朝夕に活動する」という簡潔な説明だけでは、出会えるはずもない。
当然、都内ではとうの昔に絶滅してしまっていると思い込んでいた。
実際には、確かに都市部には見られないが、都内でも西部の山沿いの地域には産地が点在している。


よく似たミルンヤンマはごく小規模な流れにも棲息しているので、それこそ山沿いのどこにでもいるが、
このヤンマは、ある程度の流量があり、なおかつ水質が良く、岸辺に水生植物が見られる環境を選択する
ことから、ミルンヤンマよりは産地が限られる。さらに朝夕の薄暗い時間に活動するので、基本的には人
目に触れないヤンマだ。
しかし秋の老熟期には、明るい大きめの河川中流の岸辺を飛び去る姿を見かけたり、行動に変化が現れる。

産地では個体数が多く、いくつかの産地を知った現在では、出会ってもかつてほどときめかなくなってし
まったが、よく観察すると面白いヤンマだと思う。
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by brunneus | 2014-08-14 14:49 | その他 | Comments(0)
2014年 08月 09日

出来過ぎ?

今回の南方遠征は、採集成果からすれば、出来過ぎだった。
以前に書いた他に、出会えて嬉しかった虫を二つ。

初日、ミナミヤンマが一段落した所で、路上を狂ったように飛び回る中型のトンボを発見。ちょっと種
類が想像できなかったが、ネットを振ると運良く手応えがあった。

取り出したのはこのトンボ。
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リュウキュウトンボ雌

通いつめたヤンバルでは馴染みのトンボで、知識としては今回の島にも生息していることは知っていた
が、まさか初日から出会えるとは思っていなかった。
長らく南西諸島中部特産のトンボとされていたが、数年前にトカラ列島産個体群が、ミナミトンボでは
なく、リュウキュウトンボに編入されてしまった。そんな経緯もあり、個人的にもヤンバル以外の地で
このトンボを手に出来た意義は大きい。
10年前に訪れた時は気配もなかったが、個体数が増えているのだろうか。


そして二日目。ルリモントンボを探して薄暗い林道の側溝を眺めていると、この虫が登場。

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トゲナナフシ

数年前に八王子の職場で踏まれた死骸を拾って以来だ。いつかは生きた姿を見てみたい、と思っていた
が、思わぬ場所で願いが叶った。

このように、トンボ以外でも充実した遠征だったのだが、こういう時はハッピーエンドになることは少
ない。
今回も案の定、東京に戻る日に、狙いすましたかのように台風が襲来。それでも僅かな望みを持ってい
たのだが、民宿の女将さんの両手で作られた大きなバツマークで、淡い望みも打ち砕かれた。
東京行きの便が全便欠航。次の日は朝から仕事。何としても今日中に家にたどり着かなければならな
い。
情報を集めると、唯一伊丹行きのみ飛ぶようなので、最後の手段でカウンターに駆け込みチケットを購
入。伊丹からは新幹線で帰京したのだった。
安いチケットで遠征したはずが、交通費だけで当初の飛行機代の数倍の手痛い出費。

何事も、最後までは上手くいかないように出来ているようだ。
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by brunneus | 2014-08-09 12:26 | その他 | Comments(0)
2014年 08月 06日

オニヤンマについて

オニヤンマは、内地の大部分ではどこでもありふれた普通種で、野外で出会ってもまずネットを振る気
にならない。

しかし南西諸島となると話は別。数が少ないこともあるが、その斑紋の変異が独特なのだ。南方で出会
うと、思わず竿を握る手に力が入ってしまう。

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左上:関東産オニヤンマ雌 左中:奄美産オニヤンマ雌 左下:ヒロオビオニヤンマ雌
右上:関東産オニヤンマ雄 右下:奄美産オニヤンマ雄

現在の分類では北海道から沖縄本島までの個体群が「オニヤンマ」、八重山諸島の個体群は「ヒロオビ
オニヤンマ」とされている。確かにこうして見ると、画像左下のヒロオビオニヤンマ雌は翅に鮮やかな
オレンジ色の斑があり特異だ。しかしそれ以外、例えば腹部の斑紋の広がり具合を見てみると、奄美産
の雌とヒロオビオニヤンマ雌は瓜二つだ。

そして図鑑ではなかなか分かりにくい複眼の色。

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左:関東産 右:奄美産

奄美産の個体は、関東産に比べてかなり青味が強い。
種としては内地産と同一のはずの奄美産が、ここまで異なる雰囲気を持つことに違和感を持ってしまう。
種としては同一だが、亜種レベルの程度の差異はあるのではないだろうか。
亜種としての名前は「アマミオニヤンマ」、、、。妄想は膨らむ。

ごく普通種であるオニヤンマだが、DNAを中心とした「内側の差異」と、斑紋などの「外側の差異」と
のズレが面白く、そのことがいろいろなテーマを提示してくれていると思う。
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by brunneus | 2014-08-06 13:31 | その他 | Comments(0)
2014年 08月 05日

ぎりぎりセーフ

意識は関東と南方を行き来している。

昨日。
次の休みの天気が芳しくない予報なので、北関東に金緑色のトンボを狙いに行ってきた。
そのトンボの産地は、自宅から片道4時間。朝が弱い自分としては、とてもじゃないが午前中にポイン
ト着などできない。雄ははなから諦め、雌狙いと決めて、午後にポイント入りするようにしている。

ポイント到着が午後2時半。
西に傾いた太陽が強烈に身体を刺す。こんな時は、雌は風通しが良い木陰を飛ぶのだ。過去の経験から
ここぞという場所に腰を据えて、頭上に特徴的なシルエットが飛来するのを待つ。
しかしいつまで経っても姿は見えない。時刻はもう16時近い。この場所の賞味期限は過ぎてしまった
ようだ。
太陽が水平線に近づくと、雌は開放的な空間に躍り出て旋回するようになる。そんなポイントを巡るの
だが、やはり雌の姿は無し。

時刻は16時半。今日のタイムリミットは17時。このまま虚しく終わるのだろうか、、という思いを
押し殺しつつ、雌は飛ぶと信じて歩き回る。
もうひと回りしたら終わりにしよう、と湿地の脇に立つと、すぐ頭上に西日に輝く翅を発見!不安定な
飛び方だが、呼吸を整え竿を振る。快音!

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エゾトンボ雌:体長67mm

この後も連続して雌に鉢合わせ、時間ぎりぎりで駅へと急いだのだった。

いつもと違う雌の飛翔パターンに翻弄された一日だったが、真夏の金緑色1種目を無事手にすることが
でき、満足!
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by brunneus | 2014-08-05 01:40 | 関東 | Comments(0)
2014年 08月 02日

ところ変われば

再びミナミの島。
近年の南方遠征で、採り(撮り)こぼしていたトンボたち。

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左:ハネビロトンボ雄 中:コシブトトンボ雄 右:アオビタイトンボ雌

どの種も南西諸島では普通種とされるトンボで、沖縄本島でも、南部では住宅街のちょっとした公
園などにも見られるのだろう。
しかし、通いつめているヤンバルにはダム以外の池沼が乏しく、水田も少ないので止水性の種にと
っては厳しい地域だ。ヤンバルに行くと必ず訪れる海沿いの水田地帯にも見られるが、不可解なこ
とに、その水田地帯では近年その数が激減している。昨年も炎天下の中、畦の間を隈無く探しまわ
ったのだが、コシブトトンボ雌が一匹見つかったのみ。タイリクショウジョウトンボだけは相変わ
らず多いのだが、この激減、何か原因があるのだろうか。あるいは時間帯や、たまたまその日に活
性が鈍かっただけかもしれない。

そんなわけで、今回のミナミの島では、久々の面々に出会えて嬉しくなった。特にアオビタイトン
ボの雌は、5年振りだ。激減する前のヤンバルでも、雄は良く見られるものの、雌は数えるほどし
か見た記憶がない。
今回のミナミの島では、日が沈むと、池の周囲の木の枝に静止する個体がたくさん見られた。ヤン
バルでも、そういう場所を探せば見つかったのかもしれない。

同じような環境でも、そこに棲息するトンボの勢力が微妙に変化するのが、また面白い。
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by brunneus | 2014-08-02 22:21 | その他 | Comments(0)