トンボの日々

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2014年 11月 26日

最近、一部の研究者の間で、話題になっているトンボがある。
幸運なことに先日、関係者のご好意で、標本と図版の撮影をさせて頂く機会に恵まれた。

これがそのトンボ。

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カラカネヤンマ:標本 体長64㎜


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カラカネヤンマ:図版

標本に付されたラベルには「1878年 東京府荏原郡上目黒村」とある。時代は明治初期、現在の目
黒区北部、駒場から池尻大橋あたりで採集されたらしい。採集した本人と思われる人物が描いた、詳細
な図版が付されている。

大きさはサラサヤンマと同じくらい。形態的にはヤンマ科の一種と考えて差し支えは無いと思うのだが、
問題は現存するどのヤンマ科(どころか国産のどのトンボとも)からも、かけ離れた特徴を満載してい
ることだ。

まず翅胸が金緑色に輝くヤンマは、国内どころか海外を見渡しても見当たらない。死後変色の可能性も
なきにしもあらずだが、当時の図版でも金緑色で描かれているので、生時の色彩なのだろう。

図版には、稚拙な文字で「上目黒村 宵時ニ路上ヲ飛翔ス」と書かれていることから、どうやら朝夕の
黄昏時に活動する習性があったようだ。「路上ヲ」という言葉から、マルタンヤンマのように大空を飛
び回るのではなく、ミルンヤンマやカトリヤンマのように、地上低くをせかせかと飛ぶ習性だったのだ
ろうか。
当時の地図を調べてみると、採集地付近には旧目黒川が流れ、その周囲は田畑が広がっていた。特に目
立った池沼の記載はないが、川沿いに湿地が連続していた可能性もある。

生息環境に関する記述が無いので、このカラカネヤンマは、流水性なのか、止水性なのかも分からない。
そして困ったことに、この1匹以外、標本や記録が一切見当たらないのだ。

このヤンマが歴史上から忽然と姿を消してしまった経緯は、謎に包まれている。このトンボ以外にも、
小笠原の「マボロシオオバッタ」など、標本のみが現存し、絶滅した経緯が不明な昆虫がいくつか知ら
れている。

昆虫の世界はまだまだ奥深い、ということを、この未知のヤンマの標本を眺めながら思い知った。




//閑話休題//

来る12月1日から、グループ展に参加します。ここに紹介したカラカネヤンマを始めとして、数点の
作品を出品します。お近くにお越しの際は是非。

会場:都立総合芸術高校
〒162-0067  東京都新宿区富久町22-1
 ・東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前駅」大木戸門口 徒歩10分
 ・都営新宿線「曙橋駅」A2口 徒歩10分
展覧会 平成26年12月1日(月)~12月14日(日) 展示ホール 
      11:00~18:00(最終日は15:00まで)
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by brunneus | 2014-11-26 01:06 | つぶやき | Comments(0)
2014年 11月 13日

直翅

トンボのシーズンも終わり、すっかり気持ちがフィールドから遠のいてしまった。

恒例の今シーズンのまとめ作業に入っているのだが、その中からの副産物。今年出会った直翅たちの一
部。

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やはり今年一番の収穫は、最下段のマルモンコロギスと、左中段のヒラタツユムシだろうか。
どの種もそれぞれが個性を主張し、活動的なエネルギーに満ちたそのフォルムは素晴らしい。

屋内性ゴキブリ以外の、直翅類のファンです。
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by brunneus | 2014-11-13 00:25 | つぶやき | Comments(0)
2014年 11月 01日

ふわふわ

晩秋の風のない静かな昼下がり。
緑多い住宅地をふわふわ飛ぶのは、「雪虫」ことオオワタムシの仲間だが、もう一種、もう少し大きな
ムシがこれ。

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ミノウスバ。
半透明な翅と、もふもふとした長毛。身近に見られるガの仲間では、ひときわ目立つ異色な存在だ。地
元国立でもあちこちで姿を見かけ、目の前をゆらゆら飛ぶので手づかみできそうなのだが、いざ採ろう
とするとさっと躱されてしまう。
人通りの多い道ばたで何度か恥ずかしい空振りを経験した後、一橋大学のフェンス壁面に複数個体が止
まっているのを発見、ようやく手にすることができた。

手に取ると危険を感じ、脚も縮めて擬死体勢をとり、じっと動かなくなる。

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発見は、危険を感じるとテントウムシのような独特の香りを発すること。ミノウスバはマダラガ科であ
ることを考えると納得なのだが、ガからテントウムシの臭いがするのはちょっと面食らってしまう。


このガの発生が一段落すると、いよいよ虫たちの季節は終わりを迎える。
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by brunneus | 2014-11-01 02:15 | 東京 | Comments(0)