トンボの日々

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2015年 08月 26日

高原の虫

先日の長野遠征。

トンボ以外で出会った虫たち。


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エゾゼミ雌

夏の高原のカラマツの梢から降ってくる、野太い軋むような声。木の高い部分で鳴くので、声はすれど
なかなか手に取ることができない。鳴いている個体が止まる木を蹴ると落下するというが、何度試して
も落ちてきたことがない。
指をくわえて梢を見上げるよりも、何かの拍子に道端に落ちている個体を拾う方が効率がいいかも知れ
ない。

今までの経験では、真っ昼間よりも、朝や霧雨などの低温時に落下個体を見る機会が多い気がする。
毎年、高原に行く度に探すのだが、タイミングが悪いのか、ここ数年は古い死骸を見るのみだった。


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ホソクビツユムシ雄

路傍の樹上から突然響く、尻上がりのユーモラスな声の正体。この虫も樹上性なのでなかなか採集する
機会がない。高原では時々声を聴くが、主はいつも遥か頭上。どうやって採ればいいのか見当もつかな
かった。
今回は、たまたま道沿いの低木で鳴いている個体を手にすることができた。短胴と長い脚は、ツユムシ
というよりクモを彷彿とさせる。



日向にある花をスイーピングしたときに、ネットに紛れ込んでいた小さな直翅。

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ムサシセモンササキリモドキ雌

この種をはじめとするササキリモドキ類はどれも樹上性で、移動力に乏しいせいか、地域ごとの種分化
が著しいミステリアスなグループだ。
都内の山ではセスジササキリモドキとヒメツユムシがお馴染みだが、遠方でもし見かけたら採集すると
決めていた。
図鑑によると、ムサシセモンは関東地方から中国地方、九州に広く分布するらしい。冷温帯落葉樹林に
生息する、とあるので、長野の高原ならではの種といえるかも知れない。

高原の昆虫には、特別な思い入れがある。
幼い頃、よく避暑に八ヶ岳山麓を家族で訪れていた。そこで目にする虫たちは、新宿育ちにとって何も
かも新鮮で、ダイナミックな山岳風景と共に、子供心を鷲掴みにしたのだった。

冷たい山風と、スケールの大きな自然。
手にした虫たちを眺めながら、幼い頃の記憶を反芻する。
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by brunneus | 2015-08-26 14:47 | 長野 | Comments(2)
2015年 08月 23日

晩夏の長野

先日。
おなじみ同好Aさんと、長野の湿原へ行ってきた。狙いのトンボは設定はしてあるが、時期的にはもう
遅い、ということなので、あまり期待はせずに高層湿原のトンボを楽しむつもりで現地へ。

ポイントはこういう環境。

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トンボ好きからすると、涎が出るほど良い環境だ。
しかし天気がいまひとつなせいか、トンボの飛びは鈍い。それでもいくつかの成果はあった。

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ルリボシヤンマ雌

昨年、都内周辺であれだけ探しても出会わなかったルリボシ雌が、足元から次々に飛び出す。本場の底
力を実感。

少ないながらも、お決まりのこのトンボも。

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オオルリボシヤンマ雄

不思議なことに、オオルリボシ雌の産卵が殆ど見られなかった。環境的にはルリボシヤンマの環境では
あるが、経験的にはこういう湿地でもオオルリボシは産卵に来るのだが、、。
両種共に、雄の縄張りも不活発だったので、日が悪かった、ということなのかもしれない。

その後に移動したメガネサナエのポイントは、あまり芳しくない状態。ここはまた訪れる必要がありそ
うだ。

カラマツの爽やかな香りと、その梢から降るエゾゼミの幾重にも重なる声。久々に爽やかな山の空気を
満喫できて充実。
今回も、Aさんの長時間の運転に感謝!
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by brunneus | 2015-08-23 22:29 | 長野 | Comments(4)
2015年 08月 22日

裏側

昆虫図鑑では表側(背面側)からの写真が殆どなので、背面側のイメージがそのままその昆虫のイメー
ジとなる。
しかし実際に虫手に取って裏返してみると、思いも寄らぬ色彩にはっとすることも多い。

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やはりこういう発見は、実際に採集し、手に取らなければ分からない。
肉眼で追えない素早い動きを写し止めるのは、写真ならでは。いっぽうで、この画像のように、手に取
って裏返してみて初めて気付くことは、採集でなければ成し得ないことだろう。

お互いの良い部分を認めつつ、フィールドワークを楽しみたい。
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by brunneus | 2015-08-22 11:23 | つぶやき | Comments(0)
2015年 08月 19日

突然

コシボソヤンマの雌。
2年前に埼玉で偶然手にしてから、その後の出会いが無かった。神奈川の馴染みの多産地では、未熟期
の摂食飛翔では雄に混じり雌も比較的簡単に得ることができるが、成熟してしまうと、産卵以外では狙
いようがない。
仲間は事も無げに雌を採集しているようだが、同じような時期や時刻に行っても、目が節穴なせいか、
雌に嫌われているせいか、成熟した雌を見たことが殆どない。

今年は新たに撮影し直したいと思っていたところ、同好のAさんより雌の詳細な情報を得ることができ
たので、休日の午後、産地を訪れてみた。

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コシボソヤンマ雌

しかしポイントでは雌どころか雄すらも殆ど見られず、あえなく時間切れ。諦めて竿を仕舞ってポイン
トを出ようとした矢先に、足元の流れで産卵している雌に出くわしたのだった。何とか目的を果たせて
一安心。

そして今回のポイントで一番驚いたのはこれ。

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コシボソを求めて歩き回っている最中に、草むらに落ちていた直翅の死骸。ただならぬ雰囲気に摘み上
げると、やはり、、。

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この「緑色の隈取り」は紛れも無いヒサゴクサキリの特徴だ。
ヒサゴクサキリはタケ類をホストとする南方系のグループで、憧れの直翅だった。鳴き声は小さく短く、
声を頼りに探すのは難しい。ヤブカの大群が潜む竹林の中を、ヒサゴクサキリを求めて歩き回ることを
考えただけでも目眩がする。
そんなわけで、出会いは諦めていたのだ。

関東地方では稀種とされていて、神奈川県の記録も少ないようだが、近年発見例が増えているらしい。
死骸とはいえ、まさか身近なポイントで出会えるとは思ってもみなかった。

出会いはいつも突然。これだからフィールドワークは面白い。
コシボソヤンマ雌の情報を提供していただいたAさん、ありがとうございました。
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by brunneus | 2015-08-19 02:26 | 神奈川 | Comments(2)
2015年 08月 17日

透明

先日の千葉のネアカヨシの採集品をチェックしていたところ、翅が透明でやや新鮮味が残る個体が混
じっていた。


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老熟して渋みが増したネアカが好みなのだが、こうして見ると、成熟したての色鮮やかな個体も魅力
がある。その色彩に、まだ苦労を知らない満ち溢れた自信のようなものを感じる。

ネアカは発生末期。この時期は、どの個体も翅が褐色に煙り、所々破れ、蜘蛛の巣まみれになってい
ることだろう。
夏が足早に過ぎ去ろうとしている。
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by brunneus | 2015-08-17 11:55 | 千葉 | Comments(0)
2015年 08月 10日

今年も老熟

千葉の湿地の季節。

夏の千葉といえばネアカヨシヤンマ、と決まっているが、今年は翅が透明な新鮮な個体を狙っていた。
新鮮な個体を狙うには、遅くとも7月中旬がタイムリミットだ。しかしあっと言う間に月日は流れ、
8月になりようやく千葉に行く時間が取れた。

16時前に最寄り駅に到着。
ロータリーで客待ちをしているタクシーに乗ると、「いつもんとこ?」「はい」阿吽の呼吸。
陽が傾いているとはいえ、炎天下のアスファルトを40分間歩き続けられる自信がないのだ。車内で
取り留めのない会話をしたあと、いつもの場所で降ろしてもらう。今回も切りが良い数字でメーター
を切ってくれた。

薮をかき分け、ポイントに入ると、いつもいるチョウトンボがいない。天気は良いが、少し涼しい気
がする。一抹の不安がよぎるが、来てしまったからにはひたすらネアカの出現を待つしかない。

大当たりの日は、この時間から上空を通過する個体が見られるものだが、頭上にはギンヤンマがひと
つ。不安は大きくなる。

18時10分。
ようやくネアカが一匹飛び出した。しかし後が続かない。

18時20分。
再び登場。頭上を旋回するシルエット目がけて竿を突き出していると、背後からも別の個体が抜ける。
そちらに気を取られていると、頭の上すれすれを、また新たな個体が通過、、、。
気付くと頭上あちこちをネアカヨシヤンマが飛び回っている。ぐるぐると旋回するシルエットに翻弄
されるお祭り状態がしばし続くが、10分ほどすると、突然いなくなってしまった。

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手にした個体は、案の定翅が濃く煙った老熟個体。

この時期のネアカは、数の多少はあるにせよ、外したことは一度もない。
今年も、千葉の湿地はしっかりと期待に応えてくれた。
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by brunneus | 2015-08-10 00:53 | 千葉 | Comments(2)
2015年 08月 06日

役者

先日の神奈川のマルタンポイント。

ポイントに着く手前を流れる小川を覗き込むと、水面上をせわしなく往復するシルエット。ネットで一
振りすると、出て来たのは見慣れた顔。

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コシボソヤンマ雄

ここはこのヤンマの多産地なのだが、不思議なことに雌にはなかなか出会わない。生態を熟知していな
いということもあるが、そもそもあまり関心がないのだ。

マルタンが終わったあと、帰り道のススキの群落からは「ジャー!」という品が無い大声。薄明かりを
頼りに声の主を探す。

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いた。
ススキの葉をそっと脇に寄せ、ネットで一気に掬い取る。

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カヤキリ雄

見慣れたクビキリギスとは比べ物にならない重量感。体長ではクツワムシやショウリョウバッタには敵
わないが、関東周辺では最大級の直翅だと思う。
ちょっとした植え込みにもいるクビキリギスに比べ、ススキなどの背の高い草がまとまって生えた環境
にしか見られない。うかつに掴むと大きく鋭い大アゴで全力で噛み付いてくるので、いつも取り押さえ
るときは真剣勝負だ。その獰猛さと重量感、顔つきは、どことなくホオジロザメのような大型のサメ類
を連想させる。

コシボソヤンマとカヤキリ。
今年も神奈川のマルタンポイントの主役たちが見られて満足!
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by brunneus | 2015-08-06 01:08 | 神奈川 | Comments(2)
2015年 08月 04日

ようやく

二日前。

湘南に所用の帰り、通い慣れたマルタンヤンマのポイントに寄った。
到着は16時。ヒグラシのコーラスと、強烈な西日を全身に浴びながら、目に付いたトンボを採りなが
らポイントへ。

18時。
マルタンが飛ぶ良い時間帯のはずだが、マルタンはおろか、ヤンマが全く飛ばない。

18時20分。
このまま今日も鳴かず飛ばずで終わるのか、、という気持ちが大きくなってきたが、数十m先に、さっ
と動く影が見えた。すぐに影は視界から消えたが、今までの経験からコースを読み、次に姿を現す空間
に目を凝らす。直後、予想通りの空間に青黒いシルエットが飛び出した瞬間にネットを振る。
「かさっ」
快音。

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今年はマルタン雄に振られ続けていたが、やっと手にすることができた。
この日は、チャンスはたったこの一回。成熟前期が終わりかけギリギリで、幸運にも手にできてほっと
している。

自分の中の季節の歯車が、ようやくひとつ回った。
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by brunneus | 2015-08-04 01:51 | 神奈川 | Comments(0)