トンボの日々

brunneus.exblog.jp
ブログトップ

<   2015年 10月 ( 6 )   > この月の画像一覧


2015年 10月 25日

翅斑型

関東周辺の普通種の中の普通種、アキアカネ。個人的には全く関心がない。アキアカネ、もしくはアキ
アカネファンの方(いるのだろうか、、)には申し訳ない?が、このトンボのために腕を振るエネルギ
ーが勿体ない、とさえ思っている。
自分でも随分酷い言いようだと思うが、所詮趣味。趣味の世界では贔屓、差別はおおいに結構。

先日、図鑑用に仕方なく網に入れていると、偶然にも面白い個体が採れた。

a0126535_0522172.jpg


アキアカネの雌は時々翅に淡い斑紋が出る個体を見かけるが、今まで手にした中では一番はっきりと斑
紋が発現した個体だ。
普通種の中でも、こうした、ちょっとした変異がある個体が採れると、少し興味が湧いてくる。野外の
どこかに、さらに斑紋が発達した個体がいるかもしれない、という妄想が膨らむのだ。

こんなふうに。

a0126535_103142.jpg


趣味と妄想の相性は抜群なのである。
[PR]

by brunneus | 2015-10-25 01:23 | つぶやき | Comments(0)
2015年 10月 20日

Sieboldiiとklossi

唐突にオニヤンマの話。

種「オニヤンマ(Anotogaster sieboldii)」は、国内では北海道から八重山まで全国に広く分布
する、とされていた。ところが近年になり、八重山産の個体群が沖縄諸島以北と切り離され、新
たな種として「ヒロオビオニヤンマ(Anotogaster klossi)」なる名前が付けられた。
「ヒロオビオニヤンマ」は、八重山を北限として、中国や東南アジアに広く分布するらしい。

オニヤンマは、内地産と南西諸島産で斑紋の変異があることが知られ、具体的には、雌の腹部の
黄色斑紋が南へ行くほど発達する。そしてヒロオビオニヤンマではさらに黄色が鮮明になり、翅
の根元に橙色の斑紋が出現する。

a0126535_0311074.jpg



そしてこの個体。

a0126535_0261759.jpg


ヴェトナム産のAnotogaster klossiとされる個体だ。
もちろん当地に行って採集してきたわけではなく、資料を元に再現したデジタルイラスト。
種としては、これも「ヒロオビオニヤンマ」ということになるのだが、とても同じ種に見え
ない。しかし、内地産のオニヤンマの斑紋変化を参考に当てはめてみると、やはりヴェトナ
ム産も、「腹部黄斑が極限まで拡大した」状態であることがわかる。
「南へ行くほど淡色部が拡大する」という傾向がAnotogaster属にはあるのだろうか。

国内の種と海外の近似種とを比較し、その共通項を見出したとき、いま住んでいる国と、そ
の外側の世界が一気に繋がる感覚に襲われる。これが知の力であると思うし、探究心の原動
力になるのだと思う。

世界は広い!
[PR]

by brunneus | 2015-10-20 00:51 | つぶやき | Comments(13)
2015年 10月 13日

最後の砦

以前にも書いたが、アカトンボ類に興味が持てない。
しかし、図鑑を作るとなるとそうも言っていられなくなってくる。野外でアカトンボに出会うと、こつ
こつと採集はしていたのだが、どうしても出会いが無い種があった。

その種は、ヒメアカネ。

近似種のマユタテアカネとの識別ポイントを把握していない所からも、いい加減さがうかがわれるのだ
が、野外で「ヒメアカネ」と思って嬉々として持ち帰った個体が小さなマユタテアカネだったこともし
ばしば。
そうこうしていうるちにシーズンも終わりに近づき、焦りも出て来る。
そこで、お馴染み同好Aさんのお力を借りて、ヒメアカネ探索に出かけたのだった。
同好Aさんの卓越した情報収集力で、多摩丘陵の中からいくつかポイントをピックアップ。あわよくば
ルリボシヤンマも、、と少々欲張ったスケジュールになった。

当日。

晴れ予報のはずが、現地到着と共に次第に雲が厚くなる。彩度を失った風景が寂しい。

a0126535_0564554.jpg


トンボの活性も鈍かったが、なんとか目的のヒメアカネを手にすることができた。
そしてターゲットをルリボシヤンマに切り替えて、さらに探索。

a0126535_0583549.jpg


相変わらずトンボは少なく、オオアオイトトンボばかりが目に付く。
ふと岸辺を見ると、こんなものも。

a0126535_0595390.jpg


モリアオガエル。あまり目にすることがないカエルだが、見つけるたびに、その重量感に驚く。トノサ
マガエルほどの大きなカエルが、草に張り付いている違和感。

あちこち探したが、結局、ルリボシヤンマは現れることはなかった。運転のお礼を伝えて、ポイント最
寄り駅で解散。


二日後。
ヒメアカネの棲息環境がなんとなく掴めたので、好天の予報を得て、通い慣れた谷津を訪れた。

a0126535_141458.jpg


この日は日照が豊かで、トンボの活性も高い。湿地に足を踏み入れると、可憐なトンボが着地した。

a0126535_152760.jpg


やはり。
帰りに寄った別の谷津でも、ヒメアカネを確認。どうやら、多摩地域の湿地を有する谷津には普遍的に
分布しているようだ。どうして今まで気がつかなかったのだろう。

a0126535_194734.jpg

左:ヒメアカネ雄 右:同雌

関東周辺のアカトンボの最後の砦、ヒメアカネを攻略でき、良い形でシーズンを終えられそうだ。
コオニヤンマとオナガサナエの雌を採りこぼしたことが心残りだが、、、。
[PR]

by brunneus | 2015-10-13 01:12 | 東京 | Comments(4)
2015年 10月 08日

もう一度

10月を過ぎる頃になると、関東南部では急激にトンボが減ってゆく。
夏に我がもの顔で谷津を飛び回っていたオニヤンマの姿は既に無く、そこにあるのは「プー・・」と寂
しげに響くケラの声と、枯れ草にぽつんと止まるくたびれたアキアカネ。ついこの間まで、夕暮れ時に
賑やかに飛んでいたヤンマたちはどこに行ったのだろう。

要は、進む季節に気持ちが置き去りにされているのだ。毎年のことではあるが、否応無しに寂しい気持
にさせられるこの季節が、どうも苦手だ。

日曜日。季節の終わりにトンボが飛び交う光景がもう一度見たくて、再び長野を訪れてみた。

a0126535_0305280.jpg

a0126535_2152561.jpg

a0126535_2161023.jpg



瑞々しい空気、頬を渡る冷たい風

頭上を飛び交うオオルリボシヤンマの雄と、足元には産卵する雌

キトンボの鮮やかなオレンジ色の残像

西日が眩しい

この日最後の太陽に輝く黄金の稲穂


三週間振りに訪れた高原の池は、今回も沢山のトンボで溢れ返っていた。
池の標高は900m。関東南部よりずっと季節の進行は早いはずだが、やはり環境のスケールが違う。
黄昏のトンボの楽園は、永遠に続くかのように賑わっていた。

a0126535_2273494.jpg


さすがにオオルリボシヤンマは擦れた個体が多かったが、まだまだ新鮮な個体も混じる。そしてキトン
ボはちょうどピークを迎えた頃合いだったようだ。

晩秋の使者、キトンボを手にしたことで、寒く長い冬を迎える心の準備が出来た。
[PR]

by brunneus | 2015-10-08 02:32 | 長野 | Comments(0)
2015年 10月 03日

青雌

先日、少し時間ができたので、埼玉のルリボシヤンマのポイントを訪れてみた。

日が傾き始めた頃。池の畔に足を踏み入れると、岸辺の草むらから「カサカサ」と翅音。
すかさずネットを被せ、取り出してみて驚いた。

a0126535_0295085.jpg


ルリボシヤンマの青色型雄!
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
       ・
嘘。
この画像は、先日の北国で採れた個体の色彩をデジタル加工したもの。
ルリボシヤンマ属の雌は、同色型(青色型)と異色型(黄色型)がもれなく見られるが、なぜかルリ
ボシヤンマは同色型の個体が極端に少ない。本州の大部分では非常に稀で、北海道や本州の寒冷地で
は発見されることが度々あるという。
種による出現頻度の差異は、考えてみるとなかなか面白いテーマだ。競合種であるオオルリボシヤン
マとの差別化を計っているのでは、、などという妄想も。

何はともあれ、いつか本物のルリボシヤンマ青色型雌を手にしてみたいものだ。
[PR]

by brunneus | 2015-10-03 01:13 | つぶやき | Comments(0)
2015年 10月 01日

朝の出会い

昨日の朝のこと。
八王子の職場の同僚が、顔を見るなりニヤニヤしながら近づいてくる。見ると、片手に何か持っている。
目の前に差し出されたのがこれ。

a0126535_0471842.jpg

ミルンヤンマ雌

なんでも、突然目の前に現れて、股ぐらを通り抜けようとした所をキャッチしたという。
ちょうど、久々にしっかりと成熟した雌の撮影をしようと思っていたところだった。この個体は老熟の
域に達しているが、煙った翅がなんとも言えない渋みを醸し出している。

八王子の職場は、市街地から離れた丘陵の一角。周囲を森に囲まれているせいで、ムネアカセンチコガ
ネを始め、シーズン中には様々な昆虫が飛び込んで来る。
あまり周囲を探索したことはないが、このヤンマが棲む小流も、きっと近くにあるのだろう。

こういう出会いが、仕事につかの間の癒しを与えてくれる。明日はどんな出会いがあるだろうか。
[PR]

by brunneus | 2015-10-01 00:53 | 東京 | Comments(0)