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2016年 08月 30日

秋へ

三つ子の魂百まで、というわけではないが、トンボ心(?)が付いた頃に強烈に記憶に刻まれたトンボ
は、いつまで経っても色褪せることはない。
自分の場合は、カラスヤンマ、ミナミヤンマ、ネアカヨシヤンマ、トビイロヤンマ、そしてマルタン
ヤンマがこれに当たる。
知識や経験を重ね、「採れるトンボ」となったあとも、毎年シーズンになると、棲息地に足を向けず
にいられないのだ。


8月中旬の数日、未だ採集できていないマルタンヤンマ雄の老熟個体を見に、馴染みの谷へ通った。
天気はずっと不安定で、すっきり晴れた日は殆どない。

谷はツクツクボウシの乾いた音で満たされ、池の上をぐるぐると旋回して縄張りを張るイチモンジセ
セリ。谷の風景は秋に移り変わっていた。

そして空を見上げると、褐色のスリムなヤンマが一直線に飛び去る。

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マルタン雄は、今年も変わらずに姿を見せてくれた。

天気のコンディションが悪い日も、雨さえ降らなければこの時期のマルタンは飛ぶ。しかし、快晴微
風の日でも不活発な場合があるのが不思議だ。

太陽が西の尾根に沈む頃、頭上低くを、マルタン雄がまるで戦闘機のように飛び交う光景は、いつ見
ても全身の血液が沸騰する。
そしてこの光景を見て、心と身体が完全に秋に切り替わった。

意識は、北の大地へ、、。







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by brunneus | 2016-08-30 23:37 | 東京 | Comments(0)
2016年 08月 28日

雌の日・その2

ここ二年ほど探し求めていたオナガサナエ雌。
探し求めていたと言うより、出会いを期待していた、という程度のものだったかも知れない。採集自体
は過去に何度もしているのだが、山道の日溜まりだったり、職場の階段だったり、どれも突発的な事故
のような出会いだ。
日常生活で突発的事故を望んでも、そうそう起こるものではない。

8月中旬。
休日だが、予報はあまり芳しくない。身体が怠く、早起きも出来なかった。こんな冴えない日の午後に、
ふと思い出したのが、西多摩の川。今年の春にサナエを見に行って空振りした場所だ。もともとオナガ
サナエのポイントとして聞いていたので、行ってみる気になった。

15時半、ポイント着。薄曇りで涼しい。
川原に降り立ち見回した限りでは、オナガサナエの姿はない。やはりダメか。足元にペタペタ止まるコ
オニヤンマを蹴散らしながら歩くと、石の上にスリムなサナエの姿。オナガサナエ雄だ。
少しやる気が出てきてさらに歩き回ると、直感でいかにも雌が飛んできそうな風景に出会った。緩やか
に流れる川面。その近くにさらさらと波立つ瀬がある。
この場所に腰を据えることに決め、靴のままじゃぶじゃぶと入水。

16時24分。
一向にオナガサナエが来ないので、場所を間違えたか、と荷物を持って移動しようとした時、上流から
中型のトンボが物凄い速さで飛来し、緩い水面をぐるぐる旋回しはじめた。雌!!
旋回の範囲が段々狭くなるのを待ち、ネットを水面に叩きつける。水中で輝く緑の複眼!

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オナガサナエ 左:雄 右:雌

この後は、17時半までの間に5回雌が飛来。どの雌も、上流から物凄い速度で一旦下流へ飛び去り、再
び戻ってきて緩流部、もしくは瀬の部分でホバリング、というパターンだった。その動きはアオサナエ
の産卵を思い出させる。

終わってみれば、時間も場所も、行動も教科書通り。今日のオナガサナエは、実に分かりやすく振舞っ
てくれた。

オナガサナエを待つ間、対岸の暗がりを時々、せかせかとトンボが通りすぎるのが見えていた。試しに
ネットに入れてみると、出てきたのはこのトンボ。

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コシボソヤンマ 左:雄 右:雌

全くの偶然だが、産卵場所を求めて飛んできた雌も手にすることができた。
コシボソヤンマは、かつては都内では希なヤンマであると思い込んでいたが、実際にはオナガサナエと
同所的に広く見られるようだ。


冴えない日でも、想いもよらずに充実した時間がやってくることがある。
オナガサナエ雌の呪縛から解き放たれた、最高の休日。






  

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by brunneus | 2016-08-28 17:31 | Comments(0)
2016年 08月 26日

雌の日

東北から関東に戻って最初のターゲットは、今年はハネビロエゾトンボにした。

ハネビロエゾは昨年、悪天の中でも充分活動していたのを見て、全天候型のトンボだということを知
った。今回も、休日悪天。怪しい空模様だが、飛んでくれていることを信じて電車に乗った。

ポイントには午前10時半に到着。到着と同時にザーっと雨が降り出す。これには参ったが、諦めず
に雨宿りしながら水面を見つめる。

しばらくすると雨は小降りになった。時を同じくして、下流方面からまず雄が通過。よい兆候だ。木
陰を出て、周囲を探索。まだぽつぽつ雨は降っているが、少ないながらも雄は活動を始めている。

10時56分。
上流側で、雄とは違う動きをする個体を発見。駆け寄ると、足元でのんびりと打水する姿。そっと網
を被せる。

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ハネビロエゾトンボ左:雄 右:雌

この日は、この個体を皮切りに10分から20分おきに産卵する雌が飛来する、近年にない当たり日
となった。雄はたまに通過する程度の少なさで、このあたりが雌が多く見られた原因だろう。雌は雄
の動きをよく見ている。

結局、この日は天候が回復することはなかったが、このポイントは本当に期待を裏切らない。
妙な開発などせずに、末永く現在の状況が存続してくれることを祈ろう。







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by brunneus | 2016-08-26 22:31 | 栃木 | Comments(0)
2016年 08月 23日

バクダッド・カフェ

8月頭の数日間は、仕事で東北地方に滞在していた。
朝から夕方まで缶詰だったので野外には出られなかったが、最終日に半日ほど時間を作って、あるトン
ボを狙って、一路北へ。

そのトンボとはキバネモリトンボ。本州では東北地方の一部にしか産地はなく、海岸沿いに広がる低湿
地帯に棲息するという。タカネトンボとごく近縁だが、今まで見たこともない種なので、どこをどんな
風に飛ぶのか皆目見当もつかない。ポイント周辺には午前中に到着した。

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地図を見ながら良さそうな場所を巡るが、とにかく暑い。人っ子一人いない、原野を切り開いた一本道
をひたすら彷徨ううちに、次第に体力を消耗してくる。
原野を流れる水路や水溜まり、空き地など、可能性がある場所はおおかた見てまわったつもりだが、つ
いにエゾトンボ型のトンボを発見することができなかった。
点在する池にもトンボは殆ど見られず。せめてオオルリボシでも、、との淡い期待も抱いていたが、時
期が早いのか、時間帯が悪いのか、一匹たりとも姿を見ることはなかった。

そんな中での僅かな成果。

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左:コフキトンボ雌(オビトンボ) 右:タイリクアカネ雄(未熟)

このコフキトンボ雌は、飛んでいる時から妙に黒く見えた、黒化傾向の個体。タイリクアカネは関東に
は分布していないアカトンボ。羽化したての未熟個体ではあるが、一応初採集。

トンボが少ないなか、唯一沢山飛んでいたのがオニヤンマ。退屈しのぎにネットに入れてみると、違和
感。その違和感の原因は、小ささだった。

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オニヤンマ雄

定規を当ててみると、80㎜ぎりぎり。関東では、こんなオニヤンマは見たことがない。ヤンマで言え
ば、コシボソヤンマと同じくらいだろうか。ためしに他の個体も手にしてみると、みな小さい。
オニヤンマは寒冷地や島嶼では小型化すると言うが、この場所は寒冷地による小型化、、ということな
のだろうか。

滅多に行かない場所なので、是非ともキバネモリトンボを手にしておきたかったのだが、残念。しかし
それよりも、道路の周りは荒れ地と森、そしてまばらな人家という、まるで「バクダッド・カフェ」の
ようなロードサイド・ランドスケープの中を歩き回った記憶が強烈に残る。日本の地方の大部分を占め
る、この徹底して無味乾燥な風景については、一度じっくりと考察してみる必要があると思う。

そして再び、灼熱の関東に戻ってゆく。







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by brunneus | 2016-08-23 23:35 | その他 | Comments(0)
2016年 08月 19日

諦め

毎年のルーティンワーク、生殖前期の若いマルタンヤンマ雄。

今年は多摩南部のポイントへ3回通ったが、目にした雄はたった1回。早々にこの場所に見切りをつ
け、7月下旬、時期としてはギリギリだが、馴染みの神奈川の谷戸へ。

気温と湿度は高く良い条件だか、マルタン雄は一度だけ、猛速で脇をすり抜けただけで終わってしま
った。
帰り道、真っ暗な路上を忙しなく往復する糸屑のような気配。小さく見えるので、早めに羽化したミ
ルンか、、とネットを振り抜くと、出てきたのはこのヤンマ。

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コシボソヤンマ雌

昨年はこれを採るのに苦労させられた。

あたりのススキ原からは、「ジャー、、」という大声。耳に両手を当てて声の主を探索すると、思いも
よらぬ場所から姿を現したのがこの個体。

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カヤキリ雌

基本的に、鳴く虫はその声(音)を頼りに探すので、必然的に行き当たるのは雄になる。雌に出会うに
は、ひたすら草むらを掻き分けるか、今回のように偶然の鉢合わせを待つしかない。
しかし良く見ると、その脇にも別の個体が。どうやらこの状況は、雄の鳴き声に誘引された雌たち、
ということらしい。


マルタンが多いはずの場所で、この成果。生殖前期のマルタン雄は、どうやら今年は諦めたほうが良
さそうだ。








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by brunneus | 2016-08-19 23:33 | 神奈川 | Comments(0)
2016年 08月 18日

ぴかぴか

南の島から戻ると、関東に夏が訪れていた。

7月中旬。6月末に不発だったネアカヨシヤンマの様子を見に、一路東へ。
現地には16時過ぎに到着。薄日が差し、息苦しいほどに蒸し暑い。薮こぎをしてネアカが飛ぶ湿地に出
ると、いつものチョウトンボの小群が出迎えてくれた。

ざっと見渡した限り、大型トンボの姿はない。ゆっくりと竿にネットを装着して、ネアカが飛ぶのを待
つ。当たり日であれば、このくらいの時間からネアカがちらほら飛び出すはずだ。

17時。何も来ない。

18時。何も来ない。

ひたすら頭上を舞うチョウトンボを眺めて過ごす。 

18時半。あたりはかなり薄暗い。さすがに飛び出さないとおかしい時間帯だが、一向にネアカは姿を現
さない。「坊主」の二文字が頭の中を駆け巡るのを必死に打ち消し、最後のあがきで隣接するポイントを
見て回る。しかしどこへ行っても閑古鳥。
不吉な二文字がむくむくと巨大化した頭を抱えながら元の場所に戻ると、林縁に群れるチョウトンボの
中に、ヤンマが一匹混じっているのに気付いた。すらりと先細りの腹部、翅の先の褐色斑。ネアカだ。

射程外なので様子を見ていると、視界の中に一匹、また一匹とネアカが増えてきた。あたりを見回すと、
いつの間にか頭上を沢山のネアカヨシヤンマが群れ飛ぶ光景が広がっていた。ここでスイッチが入る。
今日は飛ぶ高さがやや高いので、竿は常に全開。腕は疲れるが、ゆっくりと旋回してくれるので、丁寧
に狙いを定めて、ひとつひとつ取り込んでゆく。

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ネアカヨシヤンマ 左:雄 右:雌

手にした個体の半数は、上の画像のようにまだ若い状態だった。6月末に唯一見られたのが老熟した雄
だったので、去年からのテーマである未熟個体はもう無理か、、と半ば諦めていた。予想以上に未熟な
個体が残ってくれていて、一安心。

ネアカは、老熟して翅が濃い褐色に煙り、少し翅が破けているくらいの個体が趣があって良いのだが、
ぴかぴかの若い個体は、全く別のトンボのようで新鮮だ。

通いなれた場所でも、時期を少し変えるだけで別の顔を見せる。そこが昆虫採集の面白さだと思う。









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by brunneus | 2016-08-18 12:22 | 千葉 | Comments(0)
2016年 08月 16日

南ぬ島・その12

遠征についての記録はこれで最後。

南方に行く度に探している虫がふたつある。
どちらも昆虫採集の対象としての難易度は低く、素人の自分でも手が届きそうな虫として、常に頭の中
に思い描きながら行動している。

そのうちの1種。
イリオモテミナミヤンマが一向に現れないので暇を持て余していると、Kさんが「面白いカミキリがいま
したよ」と見せてくれたのは、ずっと探し求めていたカミキリだった。

いた場所を聞いて、辺りを見まわすと発生源とおぼしき木を発見。あちこちの葉に見慣れた食痕がある。
これは良い兆候だ。一枚一枚葉を確認しはじめて数分。

いた!慎重に手を伸ばす。

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イツホシシロカミキリ

ガジュマル、イヌビワなどのクワ科の木を後食する、シロカミキリの一種。他にムツホシシロ、オオシ
ロ、タカサゴシロなどの仲間がいる。

カミキリムシをよく観察すると、前脚が長く発達するグループがある。身近な所ではキボシカミキリや
ヒゲナガカミキリだが、ある時、そのフォルムの美しさに気付いた。そして図鑑を眺めると、さらにす
らりと前脚が伸びたシロカミキリという一群があるのを知った。その時以来、シロカミキリの映像が頭
から離れなくなってしまったのだ。

タカサゴシロ、オオシロは採集が難しいらしいが、イツホシ、ムツホシは南西諸島に珍しくないらしい。
これなら自分でも探せそうだ、とばかりにイヌビワやガジュマルなどを片っ端から見ていくのだが、あ
るのは食痕ばかりで、その主を目にすることは無かった。
見えていないのか、時期や環境が悪いのかは分からない。いずれにしても、遠征に行く度に自分のカミ
キリムシ探しのセンスの無さを痛感して帰ってくるのが常だった。

今回は、Kさんをきっかけに、生息する状況をしっかり確認できたので、次に繋げていきたい。


そしてもう1種。
最終日。レンタカーを返却するために車内を整理し、出発しようとした時、Kさんが「セミ!」と叫んで車
から飛び出した。見ると地面で暴れる小さな虫。あの大きさは、、、

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ツマグロゼミ

個人的に、クロイワゼミとこのセミが、国内産のセミで最も美しいと思う。
ツマグロゼミは数が少なく保護している島もあるようだが、訪れた島ではあちこちで鳴き声を聴く。内地
で言うと、クビキリギス系のジー、、という単調な音で、同所的に棲むイワサキクサゼミと紛らわしいが、
ジイ、ジイ、という間奏が入るので区別がつく。
鳴き声ははするのだが、いつも込み入った茂みの奥で鳴くので手が届かない。トンボの閑散期になると
少しだけ本気になって探すのだが、暑さに負けてすぐ退散するのがいつものパターン。
そんなセミが、まさか集落の真ん中に落ちているとは思わなかった。


2種共に、最初の発見はKさんだ。
遠征は単独で行くことが多く、それはそれで気楽で好きなのだが、こうして仲間と一緒に行動することで
目が4つに増え、普段気付かないことをお互い補完し合えるので、有意義だと思う。

また機会があれば、四つ目の遠征をやってみたい。
Kさん、長時間の運転と、様々な我が儘を聞いて下さり、ありがとうございました。










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by brunneus | 2016-08-16 12:33 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 13日

南ぬ島・その11

蒸し風呂のようなジャングルを移動するときは、不快な状態を少しでも忘れるために、足元や道脇の枝
に潜む生き物たちに目を向けるようにしている。

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マダラアシナガヤセバエ

クワズイモなど、幅が広い下草で見かけることが多い異形のハエ。目立つ前脚のぬるぬるとした不思議
な動作に見入ってしまう。八重山まで来ないと見られない種だと思っていたが、対馬からも発見された
らしい。果たして同種なのだろうか。


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ナナホシキンカメムシ

いつもは単体で出会うが、今回は小規模な集団を見つけた。薄暗い風景の中、金緑色が妖しく輝く。


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サキシマカナヘビ

八重山では普通種らしいが、見かけたのは初めてかもしれない。うまく背景に溶け込んでいるつもりだ
ろうか。


そして今回の旅で最も嬉しかった出会いの甲虫2種。

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クロカタゾウムシ

これも八重山特産種で、訪れる度に出会いを願っていた。しかし食性も習性も知らないので、出会いは
運任せだ。今回は足元のシダ植物に付くのをKさんがまず発見、そのすぐ後に自分もやはりシダ植物に
付く個体を見つけた。
飛ぶことを犠牲にしてまで身体を固くすることに特化した、その力学的フォルムは、実際に踏みつけて
試すまでもなく、充分にその硬度を視覚に訴えかける。


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ヨツモンオオアオコメツキ

これが下草に佇んでいる姿を見た時は、興奮で震えた。
大きさはヤマトタマムシ級。全身を包むメタリックな輝きは、今までのコメツキムシの概念を一瞬で崩
壊させる。
与那国には、近縁で、さらに美麗なノブオオアオコメツキという種が生息している。内地の甲虫とは全
く異質な、その熱帯の雰囲気漂う姿形は永年の憧れだ。今回手にしたのはノブオオアオではなかったが、
一歩、憧れに近付けた気がした。
ノブオオアオはカラスザンショウに付くらしいが、ヨツモンオオアオの方は、どうなのだろうか。いず
れにしても、本来の棲息ゾーンではない、林床で出会った幸運に感謝。


南方遠征は、訪れる度にこうした素晴らしい出会いや発見があるから、どうしても止められないのだ。
この状態を、世間では中毒と呼ぶ。







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by brunneus | 2016-08-13 10:14 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 10日

南ぬ島・その10

先日、ミナミベニツケガニしかいない干潟のことを書いたが、その干潟には、実は他にもカニがいた。
それがこれ。

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上:ヒメシオマネキ 下:オキナワハクセンシオマネキ

干潟に降り立った瞬間に目に飛び込んできたのが、この光景。

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個体数は多く、この場所では優占種だった。少し陸側のマングローブ林の中には、ひっそりとオキナワ
ハクセンシオマネキのコロニーが見られた。

ヒメシオマネキは初採集で、「ヒメ」という名前にそぐわず、画像のとおりオキナワハクセンより一回り
大きいので、手にしたときの重量感に感動した。鋏脚の鮮やかなオレンジ色は、亜熱帯の香りを強く放
つ。
他にルリマダラシオマネキなる、さらに極彩色のシオマネキがいて、この時も周囲をくまなく探したが、
見つけることはできなかった。

「池」とひとくちに言っても様々な環境があり、その環境に対応したトンボがいるように、「干潟」にも、
まだ自分が見えていない様々な微環境があるのだろう。
そして、干潟を知れば知るほど、そこには想像もしないカニたちの多様性が見えてくるに違いない。

沖縄のチョウ、沖縄のトンボ、沖縄のセミなど、沖縄の生き物の図鑑は数多いが、沖縄のカニ図鑑は見
たことがない。トンボよりはるかに多様性はあるはずだが、なぜ出版されないのだろうか。
オオユビアカベンケイガニ、ヒルギハシリイワガニ、ツノメチゴガニ、、興味があるカニは沢山ある。

沖縄のカニ図鑑を抱えながら、カニにターゲットを絞った南方遠征。いつかしてみたい。









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by brunneus | 2016-08-10 12:22 | 沖縄 | Comments(0)
2016年 08月 06日

南ぬ島・その9

滅多にないことだが、出張という名の監禁状態にあったので、ブログを更新できず。

既に遠い記憶となってしまったが、今回の南方遠征で第一目標のカニがいた。
それがミナミコメツキガニ。

このカニの名前は、亜熱帯の自然を紹介する本などに必ず登場するので、昔からその名前は南の世界を
を象徴する存在として、意識の中に刻み込まれていた。

このカニは内地のコメツキガニに外見は似ているが数倍大きく、ミナミコメツキガニ科という別のグル
ープに属する。それほど珍しいカニではないようで、潮が引いた干潟に群れる写真をよく見るが、遠征
時に干潟をそれとなく探してみるのだが、何の知識もないままに探しても見つかるはずもない。

今回の旅では2ヶ所の干潟を巡ったが、最初の干潟で採集できたのはミナミベニツケガニだけで、どれ
だけ歩き回っても、ミナミコメツキガニを見つけることができなかった。

2ヶ所目の干潟。

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ここも駄目なのか、、と一抹の不安を抱えながら沖へ歩き、澪筋の袂まで来た時。対岸に蠢く黒っぽい
集団が見えた。

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直感で正体を理解し、じゃぶじゃぶと温水と化した澪筋を渡り、駆け寄る。いた!

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近づくにつれ、わらわらと逃げつつも集団を構成する個体がぽつぽつと減っていく。身体を回転させな
がら、泥に潜っているようだ。しかし、潜ったあとの泥が変色しているので、とこに隠れているかは一
目瞭然。泥に指をつっこむとすぐに掘り出せた。

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1ヵ所目に訪れた干潟には全く見られなかった理由は、どこにあるのだろうか。時間や、微妙な泥質が
関係しているのだろうか。いずれにしても、干潟ならどこにでもいるわけではないようだ。

カニと言うよりロボットに近い風貌を持つ、憧れのミナミコメツキガニ。このカニとの出会いは、今回
の旅をさらに充実したものにしてくれた。












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by brunneus | 2016-08-06 15:28 | 沖縄 | Comments(0)