トンボの日々

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2016年 09月 28日

里山三種

昨日。
午前中の仕事が終わり、ふと外を見ると日差しが。まるで梅雨に逆戻りしたようなこの秋では、貴重な
晴れ間。大慌てで準備して電車に飛び乗った。

向かったのは埼玉の里山。道中はまだ日差しがあったが、ポイントに到着すると同時に真っ黒な雲が頭
上を覆い始めた。毎度のパターンなので動じることもなく、淡々とポイントを巡る。淡い期待をしてい
たタカネトンボは全く入らず、曇天でも元気に活動するはずのルリボシヤンマも、姿を見せない。

背後でぽつりと鳴くツクツクボウシの音を聴いているうちに眠くなってきた。一種の催眠効果があるの
だろうか?
眠気覚ましに細流の袂まで歩くと、薄暗い木陰を一匹のヤンマがゆらやらと舞っている。頭上の枝に止
まったところを掬うと、それは老熟したミルンヤンマ雌だった。

黄昏の谷津は、水蒸気で白く霞んでいる。
そろそろルリボシヤンマの雌が産卵に入る時間だが、これも一向に入る気配がない。谷全体にトンボの
姿が少ない気がする。よい感じの湿気だと思うのだが、、。

いよいよ雲が低く垂れ込めてきて、一雨来そうだったので、撤収。
荷物を担いで谷の出口まで来たところで、脇の水溜まりの上を灰色のヤンマが忙しなく飛んでいる。
ルリボシヤンマ雄、、。

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帰りにまともに撮影できていないミヤマアカネを摘まんで帰宅。
午後の短時間で、しかもトンボが不活発なコンディションだったが、秋の里山に相応しいトンボ3種を
手に出来て満足。

マダラヤンマだ、スナアカネだ、と騒ぐのも良いが、こういう身近な普通種を愛でる気持ちを大切にし
たい。、、ということを書いて、遠征に出られない自分を慰めている。






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by brunneus | 2016-09-28 09:28 | 埼玉 | Comments(0)
2016年 09月 25日

複眼の個性

関東南部で馴染みの薄いオオルリボシヤンマの雌は、出会うと心臓が高鳴ってしまう存在だ。
しかし多産地では、産卵時間になると、それこそ数メートル歩くごとに足元から雌が飛び出す、という
状況になり、じっくりと落ち着いて狙うことができる。

そんな場所で手にした二匹の青色型雌。

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現地で手にした時は分からなかったが、こうして並べてみると、小さな違和感に気付く。その違和感の
元は複眼だ。拡大してみる。

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カテゴリとしてはどちらも「青色型雌」ということになるが、複眼の色が左の個体は青味が強く、右の
個体は緑味が強い。

今までは腹部の色に着目しがちだったが、複眼の色彩にも個性があるらしい。通常型(緑色型)から青
色型まで、複眼の色も含めた連続的な個体変異のバリエーション、ということなのかもしれない。


関東は一週間以上低温悪天が続いている。
フィールドに出られないので、つまらない記事を書いて気を紛らわせているわけだが、次にトンボに出
会えるのはいつになるやら、、。






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by brunneus | 2016-09-25 00:08 | つぶやき | Comments(14)
2016年 09月 19日

マダラヤンマの夢

季節は中秋。場所は関東かもしれないし、甲信越、いや東北、もしかしたら北海道かも知れない。

ゆっくりとゆっくりと、一歩に神経を集中させ、ガマの密林の中を進んでいる。足を前に出すごとに、
腹のあたりから漂う胴長のゴムの匂い。頭上を延々とオオルリボシヤンマの雄が旋回している。まるで
こちらの行動を監視しているかのようだ。

少し開けた水面に出ると、決まってガマの根元からオオルリボシヤンマの雌が飛び出す。飛び出したと
ころで歩みを止め静かに注視すると、やがて雌は再びガマの根元へ降下し、産卵を開始する。


もう何周しただろうか?
水の抵抗を受けながらの足の上げ下ろしは、太股に予想外の負担をかけているらしく、筋肉が悲鳴を上
げている。

気付くと頭上のオオルリボシは姿を消し、午後の陽射しを浴びてマダラヤンマの雄が得意のホバリング
を始めた。

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西風を受けながらぴたりと空中に停止する姿に見とれていると、足元から「かさっ」という小さな音がし
て、小型のヤンマが飛び出した。オオルリボシではない。疲れは吹き飛び、小さな黄色いヤンマの動き
に全神経を集中させる。ヤンマは5mほど先のガマの根元に着地した。緊張と焦りで口の中が乾く。も
たもたしているとヤンマは密林の奥へ潜り込んでしまう。竿を全開に伸ばし、ヤンマが一瞬ホバリング
した隙に思いきり降り下ろす。ネットの中からは心地よい翅音、、。

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静かなガマの密林の中で手にした、マダラヤンマの雌。
昨年に引き続き今年も出会えた幸運。これは夢だろうか。

夢に違いない。








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by brunneus | 2016-09-19 18:08 | Comments(2)
2016年 09月 14日

9月のヤブ

9月中旬、日没時にふらりと訪れた都内の谷津の空を見上げると、腹部がすらりと長い大型のヤンマが
数匹、群れ飛んでいた。ゆったりとした飛び方は、オニヤンマとも違う。群れのなかの一匹をネットに
入れてみた。

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ヤブヤンマ雄

ヤブヤンマは初夏から盛夏が旬のヤンマだ。毎年、9月に入ると生き残りの個体が単発で飛んでいるの
を見かけることがあるが、この時期に複数の個体が飛ぶのを見るのは初めてだ。群れの中に雌の姿を探
したが、飛んでいるのは雄ばかりで、雌は見つけられなかった。
シーズン末期なのでさぞかし痛んだ個体かと思いきや、体の色はくすんでいるものの、翅の擦れたもの
が意外に少ない。オオルリボシヤンマなどはシーズン半ばから既に擦れた個体が増えるが、この差はど
こから来るのだろう。

生態を観察していると、オオルリボシは縄張り意識が強く、他の雄が侵入するとガサガサと音がするほ
どの激しい空中戦を繰り広げる。いっぽうのヤブヤンマは、水域の上を旋回はするが、雄同士が鉢合わ
せしても、ぶつかり合う場面は見たことがない。雄の縄張り意識の強さが、翅の擦れと関係しているの
かもしれない、という妄想をしてみる。


週間予報はずらりと傘マーク。
好調な結果を連発する仲間からは、今年は完全に出遅れてしまった。






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by brunneus | 2016-09-14 01:07 | 東京 | Comments(0)
2016年 09月 11日

萌え

都内のトンボ採りからの帰りに摘んだカミキリ。

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ワモンサビカミキリ。

刺激を与えると、このように短い触角をぴたりと胴体に寄せる。

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真横から見ると、カミキリらしからぬ姿。短い触角、太い足、寸胴。いわゆる萌え要素満載のカミキリ
だと思う。
小型で地味なカミキリでは、ゴマフ系にはあまり惹かれないが、サビ系は個性派揃いだ。
沖縄にはニジモンサビカミキリ、という虹型模様(七色ではない)のこれまた萌えサビ系の種が棲息す
るという。一度見てみたいものだ。

情報を集めてみると、関東では普通種らしいが、出会ったのは初めて。まあ、小さい虫なので、見落と
していることも多いのだろう。

秋は小さい虫に意識が向く季節だ。






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by brunneus | 2016-09-11 23:25 | 東京 | Comments(0)
2016年 09月 10日

二連敗

一週間前の状況が信じられなくて、再び長野へ行った。

結果は、オオルリボシヤンマの雄の個体数は増えていたが、雌が相変わらず少ない。晴天で気温も高い
状態で雌がやって来ないのは不可解だ。仮に冬に水抜きされたり、水草を抜かれたりされたとしても、
他の地域から充分な数の個体が飛来するはずで、移動するのにちょうど良い池も周囲にある。何より雄
がいつも通り飛んでいるのに、雌だけが見られない理由がわからない。産卵基質はいくらでもあるのだ。

早々にポイントを後にし、メガネサナエの川へ。ここに初めて来た時は、その個体数の多さに感激した
のだが、近年めっきり数を減らした。情報を集めてみると、近隣の川では数が減っているようなことは
無いようなので、何らかの変化があり、この川のポイント力が失われつつあるのかも知れない。また新
たな場所をさがさねばならない時期に来ている、ということだろう。この日も、散々歩いて雄がひとつ、
という状態だった。
もっとも、メガネサナエの時期はもう末期なので、少なかった理由はそのせいもあると思う。

この日採集した3種。

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上左:メガネサナエ雄 上右:ミヤマサナエ雄 下:マダラヤンマ雄

数年ぶりに、このポイントでマダラヤンマを手にできたことが、唯一の救いとなった。

長野は良い印象しかなかったのだが、こう負けが続くと、今後は足が遠のいてしまいそうだ。








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by brunneus | 2016-09-10 00:03 | 長野 | Comments(0)
2016年 09月 04日

完敗

昨日。
お馴染み同好Aさん、その息子さんのMくんと、初秋の長野へ行ってきた。
関東は悪天だが、長野は晴れとの予報を確認しての決行、現地へ着くと、目論見通りの晴天。

結果は、狙いのトンボはほぼ皆無だった。
晴天で気温も高く、環境の変化も一見すると、無い。天候関連のマイナスの要素が思い当たらない。強
いて言えば、若干風が強いくらいか。

成果は必ずある、と確信しての現地入りだったが、自然界に「確実」は無い、ということを思い知らさ
れた。

この日の採集2種。

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左:オオルリボシヤンマ雄 右:アキアカネ雌

翅斑が発達したアキアカネが今年も採れた。

トンボは不発だったが、爽やかな長野の空気を思い切り吸い込んでリフレッシュできた。
そして、自然が貧しい幼少時代を過ごした身としては、日々素晴らしい体験を積み重ねているMくんが
羨ましい。20年後には、今日という日はどんなふうにMくんの記憶に刻まれているのだろう。

現地にはもう一度行ってみるつもりだが、果たして状況は良くなっているのだろうか。










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by brunneus | 2016-09-04 23:22 | 長野 | Comments(2)
2016年 09月 02日

最後の砦

今日。
仕事帰りに時間が空いたので、マルタンヤンマの谷津へと気持ちが傾いたが、ぐっと堪えて川へ。

昨年からずっと探していたコオニヤンマ雌。今年の初夏に目の前で逃げられて以来、雌の姿を見ること
はなかった。季節はコオニのシーズン末期。今日を逃せばもう今年は二度とチャンスは巡って来ないだ
ろう。
雌は午後に産卵に来る、という情報を信じて、ポイントには14時に到着。台風の影響でずいぶん流れ
が変わってしまい、イメージしていた産卵場所も流出。おまけにコオニは雄ですら少なく、飛び去る2
匹を見たにすぎない。

非常に先行き不安なスタートだったが、45分後にあっけない幕切れがやってきた。

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コオニヤンマ雌

手にした雌は産卵ではなく、荒れ地と化した川原の枯れたアシに止まり、時おり飛び立って小虫を食べ
ていた個体。他の個体も探したが、見たのはこの1匹だけだった。全くの偶然の出会いだ。


コオニヤンマの雌を最後に手にしたのはおそらく2002年。実に14年振りだ。中流域の最普通種と
も言えるサナエトンボだが、何故か雌には出会えない。もっとも、昨年まではノーマークだった、とい
うこともあるが、、。
探すようになってからは、トンボ仲間から「コオニ雌たくさんいたよ」とか、「採ったけどリリースし
ました」という言葉を聞く度に、この世界にはコオニヤンマ雌がいる世界といない世界の二つがあって、
自分はいない世界の住人なのだ、と悲壮感漂うことばかり考えていた。

春先のヤマサナエ雌、晩夏のオナガサナエ雌、そして今回のコオニヤンマ雌。「中流の三大普通種」の
最後の砦の雌を採集できたことで、図鑑に向けた最低限のノルマがクリアできた。

これで心置きなく、秋のトンボの世界へ羽ばたける。









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by brunneus | 2016-09-02 23:15 | 東京 | Comments(2)