トンボの日々

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2017年 08月 30日

幻日

先日、用事があって山梨に出かけた。
ただ用事を済ませて帰ってくるのもつまらないので、スケジュールにトンボ採りもねじ込む。おかげで
苦手な早起きをしなければいけなくなってしまった。

このポイントは、トンボを始めた頃にルリボシヤンマを狙ってまず訪れた場所。当時は情報に乏しく、
北方系のルリボシヤンマは関東平野では採れないと勝手に思い込んでいたのだ。幼い頃から慣れ親しん
だ地域でもあるので、沢山の思い出が詰まっている。

この日は好天予報にも関わらず、現地に着くとどんよりとした曇り。まあ山なので仕方ない。ルリボシ
ヤンマの活動には影響ないだろう。
カラマツの梢を渡る風の音。時々森の中から聴こえるヒガラの呟き。曇っているので、いつも森から響
いているコエゾゼミの声がなく、静かだ。テレピンの香りを微かに含んだ、冷たい空気を思い切り吸い
込む。

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見た所、空間を飛ぶヤンマの姿はない。
試しに竿で湿地の草を揺らしてみると、「かさっ」という乾いた音と共に黄土色のヤンマが飛び出して
きた。いかにも驚いて周囲の様子を確認している、という様のホバリング。すかさずネットを振る。
よく見ると、すぐ脇にも同じようにホバリングする黄土色、、。
しばらくすると、ルリボシヤンマ雄と思われるヤンマが忙しなく湿地を徘徊し始めた。

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このポイントには正味1時間と少ししか滞在できなかったが、目的のトンボが無事確保できて満足。

そしてこの日の帰り。
中央本線の車窓から何気なく東側を眺めていると、奥秩父の盟主たる素晴らしい山容の金峰山の左に、
虹色が。

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これは太陽アークの一種「幻日」というものだろうか。
曇りがちの日にも関わらず、思わぬ光景が見られた。「この先なにか良いことが起こりそう」などと都
合のいい期待をしてしまうのであった。









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by brunneus | 2017-08-30 11:20 | その他 | Comments(0)
2017年 08月 26日

初秋

8月に入ってから続いていた低温傾向からやっと抜け出した。
埼玉の慣れ親しんだタカネトンボのポイントが芳しくないという噂を聞いたので、その近くの別ポイン
トに行ってみた。

到着早々、雄が足元を通過。ためしに雄を排除してみると、すぐにまた別の雄が。どうやら個体数は多
いようだ。そして怪しい動きをする個体を発見。水面を不規則に飛びながら、足元の岸辺に近づいてく
る。そして独特のリズムを付けた産卵が始まった。そっとネットを被せる。
雌の産卵はその後も複数目撃。どうやらタカネトンボのポイントとしては合格のようだ。

タカネトンボを眺めていると、視界に灰色の大型ヤンマが侵入してきた。上下に揺れながら池を徘徊し、
時々一点でホバリングする。なかなか射程に入らないが、一瞬の隙を突いてストローク。
タカネトンボとセットのルリボシヤンマだ。
ルリボシは少ないが、間欠的に雄が入ってくる。敏感すぎて採集はならなかったが、雌の産卵も見た。
ルリボシヤンマのポイントとしても有望、と憶えておこう。

その後、初めて行くマルタンのポイントへ。狙いは所謂「秋モード」だ。
ポイントに到着早々、頭上を褐色の翅が通過。よく見るとその上にも3匹がもつれ合って飛んでいる。
慌てて竿を出して臨戦態勢。

背後からまるで攻撃態勢に入った戦闘機のように、茶色いヤンマが一直線に抜ける。遥か前方で消えて
しばらく経つと、再び点となって姿を現し、ぐんぐん近づいてくる。竿を前方に突き出し、射程に入っ
た瞬間に振り抜く。「かさっ」。この音が堪らない。
この日は大当たりだったようで、他のポイント含め、経験した中で最高に雄が飛んだ。個体数が多いか
らか、直進射程に入る寸前で他の雄の干渉を受けてコースが急変することも多く、イメージ通りになる
ことはそれほど多くない。

まだ雄が飛んでいたが、充分に満足したので早めに撤収。飛んでいるマルタン雄を背にポイントを後に
するとは、なんたる贅沢。
この日は、いつもマルタンを妨害するギンヤンマがいなかったことも、良い結果に繋がったのかもしれ
ない。

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一日を通して天気は芳しくなかったが、久しぶりに初秋のトンボを思い切り楽しんだ。
季節は終盤に向けて一気に加速してゆく。







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by brunneus | 2017-08-26 15:00 | 埼玉 | Comments(0)
2017年 08月 22日

混棲

先日のホソミモリの湿地。

炎天下の探索に疲れ果て、木陰の石にへたりこんでいた。
ふと気配を感じて石を見ると、すぐ横に草の中に埋もれた小さな水溜まりがあり、その中で黒っぽいト
ンボが上下運動している。疲れは一瞬にして吹き飛び、慌ててネットを被せる。水面は60㎝のフレー
ムの中にすっぽりと収まってしまう。やがて水面からトンボがネットの中を上がってきた。間違いなく
エゾトンボ系の雌だ。頭の中はホソミモリトンボのことで一杯だったので、ネットの中の雌もそれと信
じて疑わなかった。
しかし取り出してみると、手の中にあったのはエゾトンボ雌。
考えてみれば、辺りを飛び交っているのは全てエゾトンボ雄なので、雌が来ても不思議ではないのだ。
しかし、3年振りのエゾトンボ雌。それだけでも嬉しいので、石に座って追加を待つことにした。

十数分後。
待望の雌が飛び込んできた。間髪入れずにネットを被せる。少し小さい気がしたが、今度はエゾトンボ
であることを疑わずに出してみると、なんとホソミモリトンボ雌!
待ち伏せに気合いが入る。

また十数分後。
追加のホソミモリ雌!、、、しかしネットから出てきたのは、今度はタカネトンボ雌。


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上:ホソミモリトンボ雌 中:タカネトンボ雌 下:エゾトンボ雌

この地域に棲息するエゾトンボ科3種が、同じ水溜まりに産卵しにきたわけだ。

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水溜まりは、すぐ側まで行かないと水面は見えず、湿地を何となく歩いただけでは絶対に見過ごしてしま
うであろう小ささ。雌一匹が産卵するのがやっと、という状態で、よくもまあ、雌は飛びながらこんな場
所を見つけるものだ。
他に気持ちよく?産卵できそうな環境はいくらでもあるのに、なぜわざわざ3種揃って狭苦しい場所で産
卵するのだろう。それに種が違うということは、産卵環境も異なるはずだ。あるいは広い空間を雄が闊歩
しているので(他種だとしても)、それを避けているのかもしれない。

産卵場所を選ぶ理由。それぞれの雌たちに聞いてみたい。










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by brunneus | 2017-08-22 22:51 | 長野 | Comments(0)
2017年 08月 19日

三度目の正直

毛嫌いしているわけではないが、なんとなく避けてきたトンボがいくつかある。そのひとつがホソミモ
リトンボ。

金緑色に輝くエゾトンボの一種だが、このグループの中では最も好寒性が強く、本州では亜高山帯下部
の高層湿原まで行かなければ姿を見ることができない。その気になればすぐに出会えるエゾトンボ、ハ
ネビロエゾトンボ、タカネトンボとはわけが違うのだ。しかも生態その他の情報が少ない。自他ともに
認める面倒くさがりとしては、ホソミモリだけに多大な労力を払いたくない、、などと色々理由を付け
て、今までは避けて通ってきた。
しかし、こういうトンボは、気持ちが乗った時に一気に片付けるしかない!と一念発起して3年。気合
いが足りないのか、採集センスがないのか、未だにその姿すら拝めていない状態が続いていた。

そして今年。
正直、ホソミモリに対する気持ちが切れかけていたのだが、お馴染み同好A氏に背中を押されて、産地
を訪れる決心をした。
天候不順で延期すること2回。大苦戦の末、三度目の正直で、ようやく手にすることができた。

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ホソミモリトンボ雌

手にした時の第一印象は「小さい!」。
きちんと計測したわけではないが、感覚的にはカラカネトンボの雌のような感じ。そしてタカネとも、
エゾとも、ハネビロエゾとも違う、独特のスリムな体型。やはり図鑑の写真だけでは伝わらないことが
あるのだ。

残念ながらこの日は雄は姿が見られなかったが、一応の成果を得て、やっと肩の荷が下りた。
こうなると欲が出てきて、雄も、、となりがちだが、いやいや、やめておこう。

炎天下のポイントを一日中歩き回ったうえに、往復の超長時間の運転もこなす同好A氏の強靭な体力に
舌を巻いた一日だった。同好Aさん、ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。








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by brunneus | 2017-08-19 02:17 | 長野 | Comments(0)
2017年 08月 14日

様々な情報の流通が年を追うごとに増大しているが、トンボも例外ではない。情報の中には良いものも
あるが、いっぽうで悪いものもあるので、情報の扱いに神経を使う。
無邪気な時代は終わってしまったようだ。

例えばこのトンボ。関東では何かと炎上しがちなので、実験的に、今回の採集行のリアルな情報は誰に
も伝えないことにしてみよう。

8月某日。初めて訪れる某ポイントに、某氏とふたりで訪れた。
予報に反して天気は日差しがベースで、気温も高い。ポイントの手前から目的のトンボが摂食飛翔する
姿があちこちで目に入る。竿を出したい気持ちを抑えて、先を急ぐ。

ポイントに着くと、さっそく複数の雄がパトロールする姿が目に入る。リュックから竿を出して臨戦態
勢。このトンボを採るには、6mのロッドは不要なのだ。

待つことしばし。
最初の雌が視界に入ってきた。すぐにでもネットを振り下ろしたい衝動を堪えて、雌が安定して産卵す
るのを待つ。頃合いを見計らって、静かに竿を振り下ろす。
ほどなく某氏が立つ場所もヒットし出したようで、あたりの動きが慌ただしくなってきた。

以降1時間ほどが産卵時間だったようで、それほど間を置かずに雌が飛び込んで来る状況が続いた。
満足したので、午後の早い時間に撤収。

このトンボの雌は、産卵に入らない日は一日待っても一匹二匹、という場合もあれば、この日のように
短時間で連続して入ることもある。どんな要因が、雌の産卵を促しているのだろうか。

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また来年も、このポイントを密かに訪れてみよう。






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by brunneus | 2017-08-14 13:26 | その他 | Comments(0)
2017年 08月 12日

役者

今年は成熟初期のマルタン雄を採りに行く機会が殆どなかったので、7月が終わりを迎えようとしても
一匹も手にしていなかった。
そんなある日、偶然所用の後に少し時間ができたので、馴染みのクラシックな産地へ足を運んだ。

現地には17時半に到着。道中は日が射したり雲がたれ込めたりと目まぐるしい天気。ポイントに立つ
と、いつもいるオニヤンマが飛んでいない。一抹の不安を抱えつつも、森の奥の一点を凝視する。

どれくらい時間が経っただろうか。背後から勢い良く響く足音に振り向くと、なんとM氏!考えること
は同じだったようだ。
トンボ話をしつつマルタンを待つが、かなり薄暗くなっても一向に飛ぶ気配がない。そう言えばマルタ
ンに付き物のヤブヤンマも見ない。いい湿度なのだが、、、。
18時27分。「来た!」M氏が反応。見ると既に青黒い影が目の前に。直進コースを取るかと身構え
たが、すぐ先で方向転換。数メートル先を旋回しだした。竿を突き出すと運良くネットの中に吸い込ま
れてくれた。その後も一度だけ雄が抜けたが気付くのが遅れ、振り抜いた瞬間には遥か後方。
結局、マルタン雄はこの2回で終了だった。雌の摂食も皆無。

ターゲットを未熟のコシボソヤンマに切り替え、M氏と共に谷を下る。コシボソは少ないながらも薄暗
い路上を飛んでいる。殆ど気配でしか認識できないが、苦戦しながらもネットに入れると、目的だった
雌。収納して頭上を見上げると、20メートルほどの高さにヤンマの大きな群が、、。

チャンスは少なかったが、目的のヤンマ2種を手に出来て一安心。

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そして真夏の始まりの夜の主役。

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カヤキリ。
今年はいつになく多くの声を聴いた。この重厚な存在感を味わわないと、真夏は始まらない。

マルタン、コシボソ、そしてカヤキリ。この時期の役者を揃って手に出来た日だった。これで季節がか
ちりと、またひとつ先に進んだ。






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by brunneus | 2017-08-12 00:57 | 神奈川 | Comments(0)
2017年 08月 07日

安泰

ヤンマの季節。
実は6月下旬にネアカヨシヤンマを見に千葉を訪れていたのだが、ベストコンディションの天気にも関
わらずネアカを一匹も見ない、というかつて無い事態を経験している。
一抹の不安を抱えながらも、7月下旬、再度訪れてみることにした。

現地には午後遅くに到着。天気は申し分ない。
チョウトンボの群れをかいくぐって、ポイントへ。空梅雨のせいか湿地は乾燥し、スニーカーでも問題
ない状態。数が多い日には、まだ明るい時間帯から頭上を旋回するネアカを見かけるが、この日はしば
らく待ってみても何も飛ばないので、周辺を探索。

平日なので釣り人もライバルも少ないと思っていたのだが、林の中でネットを持った若者に出くわした。
しばし立ち話。どうやら彼も相当エネルギッシュに活動しているようだ。最近思うことだが、フィール
ドで出会う若者の情報収集能力と行動力には本当に脱帽する。やはり呼吸をするようにSNSを駆使する
世代は、自分とは大脳の構造が根本的に異なるのだろう。

頃合いの時間になったので、再びポイントへ。
しかし、待てど暮らせどギンヤンマ一匹飛ばない。あたりはかなり薄暗く、普通なら既に頭上がネアカ
で埋め尽くされている時間だ。嫌な予感が脳裏をよぎり、若者と顔を見合わせ苦笑い。
諦めの二文字が頭に浮かび始めた頃、ようやく待望のシルエットが視界に飛び込んで来た。竿を伸ばし
て追い回す。すると一匹、また一匹と数は増え、気付くと頭上を複数のネアカが飛び交う状態に、、。
こうなると完全にスイッチが入って、無我夢中だ。

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終わってみれば、去年なみの出具合。ここのネアカは今年も安泰のようだ。
帰り道。闇に包まれた車道で収竿作業をしていると、脇に一台の車が止まり、中から若者の人懐っこい
笑顔が覗く。駅まで送ってもらえる好意に甘えることにした。

今年のフィールドワークは全般的に負けが込んでいるが、たまにこういう良い日に巡り会えることが、
救いになる。

このまま調子が上向いてくれるといい。








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by brunneus | 2017-08-07 00:24 | 千葉 | Comments(0)
2017年 08月 01日

オナガの夏

南の島から戻ると、関東に夏が来ていた。

7月中旬。
昨年見つけた八王子のルリボシヤンマの池が気になったので、仕事帰りに寄ってみた。ヤブヤンマ、マ
ルタンヤンマを期待したのだが、その姿は皆無。しょぼくれて帰り道を歩いていると、周辺視野が何か
を捉えた。道脇の塀の上を見ると、いた。

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こんなところにオナガサナエ雌。時刻は日没後の薄暗い時間帯だ。眠っているのか、手を近づけても反
応はない。

そして翌日。
八王子で仕事を終え、バスに乗ろうとすると、再び周辺視野が何かに反応。近づくと、西日を受けた地
面に再びオナガサナエ雌。

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上が塀の上にいた雌、下が職場にいた雌。下の雌は羽化してまもない個体で、胴体や翅の黄色が眩しい。
この他にも、6月下旬に自宅近くの路上を低空飛行するオナガサナエの雌を目撃している。

昨年あれだけオナガ雌!オナガ雌!と騒いでいたのだが、出会いなんてこんなものだ。探していない時
に、目の前に現れる。
いずれの個体も多摩川中流由来のものだろう。発生数が増えたのか、気候が原因しているのか、、。
その答えをオナガサナエに聞いてみたい。






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by brunneus | 2017-08-01 22:47 | 東京 | Comments(0)