トンボの日々

brunneus.exblog.jp
ブログトップ
2009年 10月 03日

埼玉の秋

いったん現実逃避。
ある日。
水の匂い、泥の匂い、森の匂いが無性に恋しくなって、八高線に飛び乗った。
埼玉南部の谷津。東京近郊では、低地でルリボシヤンマが安定して見られる貴重なポイント。

ルリボシヤンマは本来、寒冷地を好むヤンマで、一般的には高山帯の小池や、尾瀬に代表される
高層湿原など、標高が高い池に棲息する。
中には、北アルプスの標高2600mの池にも棲息しているものもいるという。
国内のトンボ類では、最も寒く厳しい環境に適応した種といえる。
そんな「高嶺の花」が、埼玉の、駅から徒歩圏内のしみったれた谷津にたくさんやってくるのだ。
千葉方面在住のトンボ屋から見たら、羨ましがられそうだ。

ルリボシヤンマ雄
a0126535_13261836.jpg


もう一種、タカネトンボ。
a0126535_13301516.jpg


このトンボは、種としてみればさして珍しくはないが、やはり山がかった池を好むので、
東京の街中ではまず見られない。
薄暗い、静かな池の岸を、つっ、つっ、と直進と停止を繰り返しながら周回する。
暗い水面では、深緑の体色がとけ込み、目の前を飛んでいても気付かないことがある。
実際、この日も池を泳ぐ金魚に餌をやりにきたおじさんがいたが、
金魚のすぐ上を通過するこのトンボには全く気付いていないようだった。
金緑色のこの仲間は、関東周辺では数種類いて、どれも一見すると似通っているが、
よく見ると個性的で面白い。

この日は短時間しかポイントにいられなかったが、充分に堪能できた。

急速に秋が深まっている。
[PR]

# by brunneus | 2009-10-03 13:37 | 埼玉 | Comments(6)
2009年 10月 03日

標本リストその①

カフェに展示してある標本を紹介。
箱ごとに、なんとなくテーマを設定してあったりする。

「黄昏活動性ヤンマ6種」
・ネアカヨシヤンマ雄
・コシボソヤンマ雄
・ヤブヤンマ雄
・カトリヤンマ雄
・ミルンヤンマ雌
・カトリヤンマ雄

「カラスヤンマ個体変異」
・カラスヤンマ雌×4
・カラスヤンマ雄×1

「沖縄の止水性トンボ2種」
・オキナワチョウトンボ雄
・ハネビロトンボ雌

「南方系ヤンマ」
・トビイロヤンマ雄
・トビイロヤンマ雌

「関東地方の中型エゾトンボ科4種」
・エゾトンボ雄
・ハネビロエゾトンボ雄
・タカネトンボ雄
・トラフトンボ雌

「里山の美麗種・マルタンヤンマ」
・マルタンヤンマ雄
・マルタンヤンマ雌

「黄昏活動性の大型ヤンマ」
・ヤブヤンマ雄

「腹端が広がる中型サナエトンボ2種」
・アオサナエ雄
・メガネサナエ雄

「原始トンボ2種」
・ムカシヤンマ雄
・ムカシトンボ雄

甲虫は次回、、。
[PR]

# by brunneus | 2009-10-03 01:16 | その他 | Comments(2)
2009年 09月 29日

最近は

こんなことをしていた。

a0126535_0383287.jpg


出入りしている共同アトリエ内にあるカフェの、リニューアルオープンに向けての各種作業。

内装の一環としてトンボや昆虫の標本を使いたい、というカフェオーナーの要望で、
壁には、今まで手にしたトンボの標本を並べた。
写真だと分かりづらいが、標本の下には、そのトンボを手にした時の状況を記録として添付してみた。

何故そうしたか、、。

常々、標本には、「物語」がある、と思っているからだ。
そして、「物語」にはいくつかの種類がある。

・生物(種)としての物語ー進化の結果としての物語。
・個体としての物語ー文字通り、その一頭がこの世に出現してから、死ぬまでの物語。
・状況としての物語ーそのトンボを手にした時の、こちら側の記憶としての物語。

全くトンボに興味が持てない人々(この場合お客さん)に、どうしたら関心を持ってもらえるか。
例えば、

「ああ、お腹がすいたわ。あら、こんな所にカフェがあるのね!ちょっと入ってみようかしら、、。」
というような、近所にお住まいの奥様。

こういう状況では、ただトンボを並べただけではダメだ。
そのトンボが持つ、「物語」の一つを見せることで、少しは距離が縮まるのではないか、と考えたのだ。
自分の経験からしてみても、興味が無い物に興味を抱く瞬間は、「物語」が作用していることが多い。

例えば電車のつり革。
つり革ファンには申し訳ないが、これには全く興味が持てない。
しかし、つり革にはどんな歴史があるのか、どんな種類があるのか、
どんな隠されたエピソードがあるのか、、。
こういうことを知ると、なぜかつり革を見る目が変わるのだ。

何か、そういうものが、カフェの壁に飾ってある標本にも作用したらいいな、と願っている。

そのためにも、壁面をこれからどんどん充実させたいと思っている。

そして、
忘れてはならないのが、オーナーが出す料理。
たまたま今日はプレオープンの日で、試食してみたのだが、美味い、、。
珈琲も美味い、、。スイーツも美味い、、。

正式オープンは10月1日(木)
近くまで来られた際は、是非お越し下さい!

自家焙煎珈琲 浮空
215-0003 神奈川県 川崎市 麻生区 高石 1-11-1-1F
telephone & facsimile 044 951 1603
http://www.ebcenter.jp/fuku/

営業/月曜〜金曜

■モーニング/10:00~12:00
■ランチ/12:00~15:00
■ティータイム/14:00~17:00(ラストオーダー16:30)

※隔週日曜日には、昆虫関連のイベントの他、各種イベントを行う予定。
[PR]

# by brunneus | 2009-09-29 01:19 | その他 | Comments(6)
2009年 09月 27日

涼しげな青

秋の沖縄トンボシリーズは、小さなトンボを紹介してひとまず終了。

コシブトトンボ雄
a0126535_14102549.jpg
a0126535_1411926.jpg


全長3センチ足らずの、極小のトンボ。国産のトンボの中では、かの有名なハッチョウトンボに次いで小さいという。
「腰太蜻蛉」の名の通り、ぼってりと太い腹部が特徴。横から見ると、よくわかる。
トンボ(に限らず昆虫全般に言えるが)の雌の腹部は、卵を蓄えるために太くなることが多いが、雄も腹が太いトンボは珍しい。もちろん、コシブトトンボの雌も、しっかり太っ腹だ。

コシブトトンボがもっと大きければさぞかし体が重いのだろうが、小さな体でせかせかと飛び回り、身のこなしは軽い。しかも、密生した湿地植物の根本付近をすばしこく飛ぶので、追うのも苦労する。

このトンボも南方系で、国内では沖縄諸島以南に分布する。
生息地は明るく浅い湿地だが、なぜか沖縄本島では姿をあまり見ることが少ない。広い湿地にぽつん、ぽつん、と分散している感じで、あまり沢山の個体が固まっている所は見たことがない。
結果的に、このトンボを探すときは炎天下の中を歩き回ることになり、そうとう体力を使う。
しかし、見つけた時の、雄の何とも言えない空色の複眼と体の斑模様が、なんとも言えず涼を誘うのだ。
直射日光の下でリュウキュウアサギマダラの翅の水色を見た時も、同じ感覚を味わう。

見ることで気温が下がるわけではないが、なんとなく涼しくなる気がする。色というのは、不思議な力を持っているなあ、と思う。
[PR]

# by brunneus | 2009-09-27 14:27 | 沖縄 | Comments(0)
2009年 09月 22日

翅広2種

「キング」の次は、南方系の翅が長いトンボを2種。
両種共に、グライダーのような自慢の細長い翅を活かして、洋上を長距離移動することが知られている。

ハネビロトンボ雌(雄は撮影し忘れた、、。)
a0126535_21252549.jpg

コモンヒメハネビロトンボ雄
a0126535_2126315.jpg



ハネビロトンボは四国、九州以南に分布するトンボで、南西諸島では珍しくない種だが、さすがに那覇市内などの都市部では見ない。
生息地の池に近い木立の上を、直射日光を全身に浴びて悠然と滑空するさまは、
せせこましい印象が強いトンボ科の中では異色な存在だ。

コモンハネビロトンボは、「公式には」まだ国内に定着していることが認められていない種で、
分布の本拠地は小笠原や、南太平洋の島々とされる。
しかし、沖縄に通い始めた初期の頃から、北部の水田地帯で毎回必ず確認し、
交尾や産卵も普通に目撃している。しかしそれ以外では、まだ記録は少ないようだ。

雄は体の赤み(というより紅色に近い)が強く、額や複眼が紫色に輝く。ハネビロトンボとくらべ、より派手な印象がある。(これも室内撮影では表現しにくい、、。)

トンボ科らしからぬ姿形、特徴を持つハネビロトンボ類は、なかなか魅力のあるグループだと思う。
[PR]

# by brunneus | 2009-09-22 22:48 | 沖縄 | Comments(6)