トンボの日々

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2017年 09月 29日

呪いは解けた

正直、前回の採集行でマダラヤンマは懲りたので、今年はもう終わりにしようと思っていた。しかし晴
天予報を見ると、むくむくとまた気持ちが膨らんでゆく。

今回は海にほど近い秘密の池を訪れてみたが、快晴適温にも関わらず、雄の縄張りは不活発。胴長を履
いて入水すると、目の前には食事中の雄。

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この時期の主食はアカネ類らしい。
池の中では全神経を研ぎすませて、ガマのジャングルの中を巡回する。広大な池の中で産卵中のマダラ
ヤンマの雌に出会うのは運頼みだ。その運を引き寄せるためにも、歩みを止めずにひたすら水の中を歩
き続けるしかない。
この日はまだ日が高いうちに、「幸運の音」つまりマダラヤンマの雌がガマの根元から飛び立つ「カサ
ッ」という微かな音に巡り会うことができた。

そして午後。
西に傾いた光が、ガマの群落を黄金色に染める。

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雌の産卵のハイタイムに入る頃だ。今までにも増して入念に探索するが、雌どころか雄も飛び出さない。
そして虚しく日没を迎えるが、このまま引き下がるわけにはいかない。最後の足掻きで黄昏飛翔のポイ
ントを探す。
空高く舞うアカネの摂食が終わる頃。池に隣接した草むらを歩いていると、視界を白い小型のヤンマの
シルエットが駆け抜けた。急いで追うが見失う。少し歩くと、今度は灌木の梢を同じ形の影が狂ったよ
うに宙返りしている。あれはマダラヤンマか?
竿を手に構えるが、予測が付かない変幻自在の飛び方に翻弄される。まるで八重山で見たアメイロトン
ボの摂食飛翔のようだ。何度かのニアミスの末に、ようやく快音。やはりマダラの雌!
この日は他にも数匹、同じように路上や梢を狂飛する個体を目撃。

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幸運なことに、三年振りに青色型の雌も手にできた。
北関東で一度だけ見た記憶では、マダラヤンマの雌の黄昏飛翔は、アシ原の上の広範囲を多角形を描い
て飛び回る、、というものだったので、今回のようなパターンは全くの予想外。
複数の個体が同じような飛び方をしていたので、これがここでのスタンダードなのだろう。

マダラヤンマの新たな一面を垣間見た日。前回の呪いは完全に解けたようだ。





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# by brunneus | 2017-09-29 00:21 | その他 | Comments(0)
2017年 09月 23日

ルリボシ三昧

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つい三ヶ月前、サキシマヤマだのイリオモテミナミだの騒いでいたのが嘘のように、頭の中はルリボシ
一色に染まっている。
秋風が吹くと誰もがサンマとビールが恋しくなるように、やはり季節の流れには抗えないということだ
ろうか。
オオルリボシヤンマやマダラヤンマの産地は高原や北方であることが多く、現地では一足先に秋色に染
まった風景で一日過ごすことになる。この体験が、頭の中から亜熱帯の残り香を一掃するのに役立って
いることは間違いないだろう。

モズの高鳴きと、遠くの林から響くチッチゼミの声。頭上を悠々と舞うオオルリボシの雄と、微かな翅
音を残して足元の岸辺から飛び立つ雌。
この時期のトンボ採りは、汗だくになって頭上のトンボを追い回す真夏とはまた別の、染み入るような
心地よさがあるように思う。

そして再び、足は深まった秋の世界へと向かう。









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# by brunneus | 2017-09-23 00:16 | その他 | Comments(2)
2017年 09月 17日

呪われた木曜日

マダラヤンマの季節。
今年も、虎視眈々と決行するチャンスを窺っていた。
休みの日と晴天予報がまんまと一致した日。早朝に家を出る直前に念のため再度予報を見て、晴れマー
クがずらりと並んでいるのを確認してから電車に飛び乗った。
そして、現地で待っていたのはこんな空。

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これは何かの間違いだろうか。それでも来てしまったからには、やるしかない。竿を出して、入水する
のを待っていたかのように、さーっと雨が降り出す。
午後になり、ようやく太陽が顔を出すが、今度は西から強烈な風が吹き出し、いっこうに止む気配がな
い。例えて言うなら、80キロ程のスピードを出した車から顔を出した時に額を打つ風が、常に吹いて
いる状態。この風で、辛うじて飛んでいたオオルリボシもどこかへ行ってしまった。
夕方になると風は止んだが一気に気温が下がり、ヤンマどころかアカトンボも姿をみせず、最後は突如
発達して接近してきた雷雲に巻かれ、豪雨で強制終了。

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トンボがいない水面をひたすら眺め続けた一日。
今年は休みの木曜日が定期的に悪天になる循環が続いていたが、この期に及んで再び悪天。しかも予報
で晴天が確約されていたはずなのだ。呪われた木曜日と言うほかない。

当然ながらマダラヤンマも少なく、一日通して目撃したのは雄は4匹ほど。辛うじて雌を一匹手にでき
たのは不幸中の幸い、というか奇跡に近いのかもしれない。

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そろそろ厄払いに行くべきだろうか。







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# by brunneus | 2017-09-17 13:39 | つぶやき | Comments(0)
2017年 09月 10日

里山のルリボシ

昨年出会った方から教えて頂いた、都内のルリボシヤンマポイント。
ここはルリボシ雌の産卵が毎回見られる貴重な場所で、ルリボシ以外にもタカネトンボの個体数が多く、
訪れる度に雌の産卵を見ている。そしてここが個人的に最重要なのだが、ルリボシヤンマに付き物の苦
しいアクセスが無く、さほど汗をかかず、その後の仕事にも影響が少ないので大変重宝している。

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周囲は里山の雰囲気が色濃く残る場所で、まだテレビが無かった時代、こうした風景の中のあちこちに
小池があり、ルリボシヤンマたちも沢山飛び交っていたのだろう。
この場所は典型的なルリボシヤンマの環境なのだが、一度だけ、オオルリボシヤンマの雌を手にした。
雄は一度も見たことが無いのだが、この雌はどこからやってきたのだろうか。


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左:ルリボシヤンマ雌 右:オオルリボシヤンマ雌

実は都内でオオルリボシの雌を採ったのは初めてだ。放浪癖があるこのヤンマの、都内での安定した産
地をまだ知らない。細切れの情報を手にそれらしきポイントを訪れても、いつも空振り。要は相性が合
わないのだ。

足元の草からパッと飛び出してきてホバリングする雌を凝視しながら、間合いを計る。
静かな秋の風景の中の一瞬の緊張を味わいたくて、つい足が向いてしまう。







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# by brunneus | 2017-09-10 11:45 | 東京 | Comments(0)
2017年 09月 05日

願望

ルリボシヤンマの雌は、関東甲信では同属他種と比べ、いわゆる青色型が出現する割合が極端に低い。
しかし、若さを残す個体の中には、斑紋がほんのり青みを帯びて見える個体がある。

先日の山梨で得た雌。  

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この雌も客観的に見れば明らかな通常型だ。しかし不思議なことに、凝視せずに視線を逸らし気味に見
たり、縮小して眺めると、腹部側面の斑紋が青色味を帯びて見えてしまう。
斑紋の彩度が高いことや、周囲の色との組み合わせでそうなるのかも知れないが、「青色型であってほ
しい」という願望も、一役買っているのかも知れない。

青色型が出現する頻度は寒冷地で高いらしいが、関西の低山でも目撃されているので、関東でもチャン
スはあるのだろうか?

完全なる青色を纏った雌に、一度でいいから出会ってみたい。








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# by brunneus | 2017-09-05 22:08 | 山梨 | Comments(0)