トンボの日々

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2017年 10月 28日

ふたつの憧れ

長雨の間に、再びぽっかりと晴れの日がやってきた。
スナアカネはこれがラストチャンスかもしれない。いくつかある候補地の選択に迷った末、仕事の前に
ふらりと、、、と言うにはいささか強行軍の場所へ行ってきた。

午前10時半にポイント着。天気は快晴。まだまだ勢いを失わない太陽の光で、気温はぐんぐん上がっ
ている。頭上にはウスバキトンボの群れ。昆虫が少なくなった国立界隈では考えられない光景だ。
池にもトンボは多い。最も目に付いたのはこのトンボ。

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コノシメトンボ。
スナアカネを実際に見たことがないので、真紅のコノシメトンボが舞い降りるたびにどきりとする。ほ
かにはアキアカネも多いが、中には妙に赤く見える雄もいて、目移りしすぎてわけが分からなくなる。

池を何周もするが、スナアカネと確信がもてる個体には出会わない。やはり無謀な採集行だったか、、
と音を上げそうになった時。

足元に、今までとは明らかに違う、小振りの真紅のトンボが舞い降りてきた。怪しさ満点だ。とっさに
ネットを被せる。

ネットの中で暴れるアカネの胸に、二筋の白線、、。



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スナアカネ雄!
来て良かった、、、。まだ残っていてくれたのだ。手にしてみると、勝手に想像していたよりも遥かに
小さいことに驚いた。感覚的にはマユタテアカネくらいだろうか。

これでこの日の目的は終了。しかしまだ少し時間があるので、いないとは思うが追加の個体を求めて池
を巡ると、少し先の水際で何かが動いている。どうせ暖かさに誘われて出てきたアメリカザリガニだろ
う、と期待もせずに近付くと、全身に電流が走る。これは、、、!

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オオヒライソガニ!!

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大海原で浮遊物にしがみついて漂流し、陸地に到着すると川を遡って淡水で生活する、という珍奇なカニ。
そしてこのカニの最大の特徴が、この毛深い脚。

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泳ぎが達者なカニは第四歩脚がオール状になったワタリガニの仲間が有名だが、オオヒライソガニは、
この長く伸びた毛が遊泳を助けているのだろう。

数年前にインターネットでこのカニの存在を知って以来、風変わりな風体と習性に一目惚れし、出会い
を願い続けていたのだった。情報によると「海岸近くの水田や川、池沼に棲息」という曖昧なことしか
書かれていないので、途方に暮れていたのだが、まさかこんなかたちで願いが叶うとは。
近縁種に「タイワンオオヒライソガニ」というのもいるが、特に雄での識別が難しく、採集した個体が
「タイワン」か「ノーマル」かは分からない。

この日は他にも嬉しい出会いがあったのだが、午前中の短時間の探索でスナアカネとオオヒライソガニ
というふたつの憧れを手に出来ただけで充分満足。

その他の嬉しい出会いについては後日。








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# by brunneus | 2017-10-28 01:20 | つぶやき | Comments(0)
2017年 10月 19日

ささやかな発見

昨日の朝、起きると久々の陽光が、、。部屋に籠って画像いじりばかりしていても仕方ないので、スナ
アカネを求めて湾岸の池へ出向いた。
アプローチ中の空き地にもいる可能性があるのでチェックしながら歩くが、ポイント到着までトンボは
見られず。
気温が上がると、最初のアカネが看板の上に。あらぬ期待をしてしまうが、、、

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もちろん外れ。
近くのベンチに妙に灰色の雌がいて、一瞬心臓が高鳴る。

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これも外れのようだ。
その後、水辺には次々にアカネが舞い降り、活発に活動を始めた。片っ端から見てみるが、完璧なまで
にどれもアキアカネ。
そうこうしている間に太陽が雲に隠されてしまい、潮が引くように水辺からトンボの姿が消えてしまっ
た。まあ、飛来種探しはそう甘くはない、ということだ。

スナアカネは見つけられなかったが、ささやかな発見が二つ。

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ホソミイトトンボとベニイトトンボ。
ホソミイトトンボは都内ではあまり見た記憶がない。どちらかというと山がかった場所に多い、という
印象があるトンボだが、まさかコンクリートに囲まれた海沿いの池で見かけるとは思わなかった。ベニ
イトトンボは関東南部でで近年増えているようだが、ここまで進出してきているとは、、。ベニイトの
方は、この個体以外にも複数が見られた。

スナアカネを求めて他の池も巡ってみたいが、予報は再び低温悪天がずらり。これでは南方系のスナア
カネは持ちこたえられないだろう。
虫の季節は、いよいよ最後の時を迎えている。







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# by brunneus | 2017-10-19 18:53 | 東京 | Comments(0)
2017年 10月 18日

大秘密時代

ほとぼりが冷めたので、そろそろアップ。
全国的な流行に乗って、実は10月11日に都内でスナアカネを採集していた。神奈川まで入っている
ので、都内でも見つかるはずだ、と踏んでいたのだ。

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一か八かの探索だったが、運が味方をしてくれたようだ。

















なんてことを、いけしゃあしゃあと書きたいものだ。
もちろんこの画像はスナアカネなんかではなく、ナツアカネ雄の画像をちょこっといじっただけ。

ネット上で「スナアカネ」と検索すれば沢山の画像が出てくるが、当然地名は書かれていない。スナア
カネは恐らく神奈川以北にも入っているだろう。そして既に撮影、採集している人もいるのだろう。し
かし、それをリアルタイムにブログやSNSに出す人はいない。あるいは、出すとしても検索キーワード
に引っかからないような、巧妙な方法で出す。誰もが情報拡散を恐れている時代なのだ。
大切な情報は、信用のおける、ごく身近な人間にしか伝えない。メールやLINEなどの個人的なツール、
もしくは直接会って伝える。

オープンなオンライン空間の、「事実を伝達する」という役割は、既に終わったのかもしれない。
貧しい自分自身の生活と頭の中を「インスタ映え」のする写真で覆い隠す若者たちのように、フィクシ
ョンの世界がどんどん増殖してゆく。本当のことは、オンライン空間では言わない。皮肉なことに、イ
ンターネットが身近になればなるほどそこには虚構が広がり、逆に事実やリアルさを求める人々は、
秘密に溢れたオンライン空間から離れてゆくのかもしれない。

自分にとってブログを読む楽しさは、他人の体験や頭の中をこっそり覗き見しているような感覚にある。
このブログを始めた当初も、他人が偶然このブログを発見した時に、そのような気持ちになってもらえ
るような、非常に個人的なものにするつもりだった。しかし時代がそうはさせてくれない。
結局、始めた頃とはまったく別のものになってしまったわけだが、、。
さて、どうしようか。










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# by brunneus | 2017-10-18 00:43 | つぶやき | Comments(0)
2017年 10月 14日

終わりの季節

数日前。
「もう訪れることはないだろう」という舌の根も乾かぬうちに、突発的に用事が出来たので、それに便
乗して再び高原へ。

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橙色に色付いた葉と、青空のコントラストが素晴らしい。シラカバの黄葉はほんの少し先のようだ。
さっそく岸辺を周回すると、ふらふらとヤンマが足元の日だまりに降り立った。

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よく見ると、疲れ果てたルリボシヤンマ雄。暗がりを好むヤンマのはずだが、エネルギー補給の日光浴
なのだろう。

やがて足元から「がさっ」という例の音。

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オオルリボシヤンマ雌。近い場所を移動しながら一心不乱に産卵している。
さらに歩くとまた発見。あまりに安定して産卵しているので、写欲が出てきた。

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少し先にまた別個体。さらに接近してみる。

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これはもう少しでレンズに翅が触れるほどの距離。

オオルリボシに限らず産卵中のヤンマの雌は気配に敏感で、普通はめったなことでは接近できないが、
この日はどの個体もいとも簡単に近付けた。これは残り少なくなった体力の中で、自らの身の危険より
も子孫を残すことを優先させる、本能のようなものなのだろうか。

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ろくに採集もせず、短時間の滞在だったが、じっくり雌たちに向き合えた。
この場所を訪れるのは今度こそ本当に最後。心の中のトンボシーズンも、ゆっくりと終わりを迎えよう
としている。










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# by brunneus | 2017-10-14 00:14 | 長野 | Comments(0)
2017年 10月 11日

秋色

10月に入ると関東では気温が下がり、季節が一気に進んだようだ。街路樹で鳴くアオマツムシの声も
弱々しく、たまに聴こえるアブラゼミの鳴き声は息も絶え絶え。生命の気配が日一日と少なくなってい
く。
前回の訪問から一ヶ月。ようやく気温が上がったある日、「あの音」を聞きたくなって、都内近場のル
リボシヤンマのポイントへ向かった。

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山里の柿はすっかり色づいている。

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虫の世界もすっかり秋色。

ポイントに到着すると、静かに岸辺を歩きながら、耳を澄ます。
一周目。反応なし。一ヶ月前にあれだけ沢山いたタカネトンボは、影も形もない。
二周目。足元から「かさっ」という音。これだ。
動きを止めて待つと、水草の茂みから赤茶色のヤンマが飛び出してきた。しばらくあたりを警戒してホ
バリングするが、やがてまた近くの茂みへと降下してゆく。しっかりと着地点を見届けてから、そっと
ネットを被せる。ルリボシヤンマ雌。

三周目。池の奥の日だまりを中型ヤンマが飛び回っている。ルリボシヤンマより小型だ。不規則に飛ぶ
ので翻弄されるが、さっと振ったネットに偶然入った。このポイントの定番、ミルンヤンマ雄。

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その後も、ルリボシヤンマ雄のパトロールと雌の産卵を確認。ルリボシヤンマは最後の活動ピークに入
っているようだ。
正味一時間と少ししか滞在できなかったが、秋の里山のトンボを充分に味わえて、とても満足。

今週末から一気に気温が下がり、天気も下り坂の予報。ルリボシヤンマは、これが見納めになるかもし
れない。






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# by brunneus | 2017-10-11 12:22 | 東京 | Comments(0)