トンボの日々

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2017年 05月 12日

予想外

八王子の職場はなかなか良い虫の棲みかで、それがまた日常の密かな愉しみになっている。

4月下旬。
昼食を終えて仕事場へと戻る途中、同僚から何かを手渡された。それは小さな昆虫のようだったが、手
の中を覗き込んだ瞬間に、思わず「あっ」と声を上げてしまった。

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フチグロヤツボシカミキリ

眩しい新緑を身に纏ったような、素晴らしい金属光沢。
トホシカミキリ類では以前に一度だけ、ヨツキボシカミキリを拾ったことがあり、それ以来、頭の中に
何となくヨツキボシカミキリを描きながら注意して歩いてはいたが、まさかフチグロヤツボシカミキリ
に化けるとは思ってもみなかった。
ホストはホオノキらしいが、確かに同僚に手渡された場所の脇にホオノキの小さな群落がある。

フチグロヤツボシカミキリは、山間部のホオノキにいるらしいことは知っていたが、ホオノキが生える
山なぞ知るよしもないので、自分にとって遠い存在だった。
それがこんなに身近な場所で手にすることになるとは、まさに予想外の展開。

あの日以来、出勤するたびにホオノキを穴が開くほど眺めているが、まだ2頭目には出会えていない。
これからは、トンボ採りで出向いた先々で、ホオノキを探すことになりそうだ。




 
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# by brunneus | 2017-05-12 21:54 | 東京 | Comments(0)
2017年 05月 07日

普通種なんだけど、、

狭い環境を好み、かつ移動力に長けたクロスジギンヤンマは、都市に順応したヤンマだ。しかし採集と
なると、なかなか難易度が高い。

気軽に足を運べる都市公園の池にも、もれなくこのヤンマがいるが、そこは大抵近隣住民の憩いの場と
なっている。写真撮影ならまだしも、竿と大口径のネットを振り回せる雰囲気ではないのだ。

この雌も、つい先日訪れた池で撮影したもの。

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こちらが手も足も出せないのを知ってのことか?大勢の来園者が歩き回る中、悠々と産卵に勤しんでい
た。そしてそのあと、池に侵入してきた雄に捕まり、見せつけるように目の前をぐぐるぐると旋回した
あと、頭上の枝に静止。距離が遠かったので撮影は出来なかったが、クロスジギンヤンマの交尾などそ
うそう見られるものではない。チャンスというのは、それが活かせない時に限って訪れるものだ。

下の雌は、別の場所で手にしたもの。心の眼で見ると、腹部の斑紋がうっすら青味を帯びているように
見えてしまうが、まあ通常型の範疇だろう。

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クロスジギンヤンマの雄型雌など夢のまた夢。出会える時はくるのだろうか。左の雄は成熟したばかり
で、今が一番色鮮やかな時。いまひとつクロスジギンの雄には食指が動かないのだが、この時期の新鮮
な雄は、毎年ひとつは手にしている。

いよいよフィールドが賑やかになってきた。





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# by brunneus | 2017-05-07 22:50 | 東京 | Comments(0)
2017年 05月 04日

クラシック

前日の疲れがなかなか取れない。かといってこの時期、好天日に家で燻るのも罪だ。
というわけで、午後から近場のムカシトンボのポイントへ。

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このポイントはトンボを始めた年から通い続けている、自分にとってクラシックな場所だ。主に成熟個
体を狙う時に使うポイントで、経験から雄が頻繁に探雌し、かつ立ち回りがしやすい場所に陣取り、ひ
たすら待つ、というスタイル。

この日も、さほど多くはなかったが、ぽつぽつと下流からゆっくりと接近する雄が見られた。岸辺の茂
みを覗き込みながら足元に近づく雄を待つ時の緊張感が、何とも言えず心地よい。
ここの雄は基本的には流れに沿って通過するパターンだが、小さな滝が落ち込む淀みの上をしつこく旋
回する雄も二例見られた。初めて見る行動だ。

午後2時半、納竿。
残念ながら狙っていた雌の産卵には出くわさなかったが、短時間ではあるが「昔ながら」の採集を楽し
んだ。

帰り際、道脇に立つスギの木の皮が何となく気になったので、めくってみると、久々の顔。

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スギカミキリ雄。まさかこの時期、この場所で出会えるとは。



手にしたムカシトンボ雄。すっかり成熟し、翅や外殻もしっかりしている。

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そして何より成熟の証である、銀色に輝く複眼。他のトンボには見られない、不思議な色彩だ。いつ見
ても飽きることがない。

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ウェブ上ではちらほらクロスジギンヤンマが池に戻り始めた記事が上がっている。
次はクロスジギンが飛ぶ、あの場所に行ってみよう。







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# by brunneus | 2017-05-04 02:01 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 30日

危機

今年の春は進行が不規則で読めない。

例年であれば、千葉のトラフトンボのハイシーズンに突入する時期だが、今年はどうだろうか。苦手の
早起きを乗り越え、一路東へ。

午前9時半に現地着。天気は快晴だが、風が冷たい。照り付ける日差しと冷ややかな風は、この時期な
らではの組み合わせだ。雑木林は鮮やかに萌え、田んぼからはカエルの合唱。一年振りの風景をじっく
りと味わう。
竿を出し、いつのものコースを巡るが、トンボの姿は見られない。何か所目かで、ようやく足元から飛
び出したトラフトンボを発見。

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近づいてよく見てみると、複眼が灰色だ。しまった、、、。

やがて気温が上がると空間を飛ぶトラフトンボの姿が増え、少ないながらも雌の姿も見られたが、雌は
もれなく未熟。まだ時期が早かったのだ。

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数年振りに無斑雌に出会えたので、雌はこの個体のみ持ち帰る。雄は一部は成熟していた。
同時期に見られるサラサヤンマやアオヤンマの未熟個体は皆無。トラフトンボ以外のトンボは、今年初
めてのウスバキトンボを一匹見たにすぎない。
ここトラフトンボの産地も、昨年よりも季節の進行が遅れていたようだ。

今回、ポイントを巡るなかで、気持ちが沈む光景をいくつも見た。
まず、太陽光パネルが増えていること。そして、太陽光パネルの設置準備か、大規模にブッシュや林が
伐採されている場所がいくつもあったこと。その中にはトラフトンボが必ず摂食する長年の優良ポイン
トも含まれる。そして、サラサヤンマ、アオヤンマの未熟個体が飛び交う、大きな空き地の入り口に工
事用フェンスが建てられていたこと。

これらの環境改変が全て太陽光パネルの関連かどうかは分からないが、今までの流れを見ると、疑わざ
るを得ない。
池そのものの環境が変わらなくても、成虫が摂食する木立に囲まれた空間や休息する林が無くなってし
まえば、トンボへのダメージは少なからずあるだろう。

池の周りを太陽光パネルに埋め尽くされた風景が、ありありと瞼に浮かぶ。一年後は、もはや今回見た
風景は残っていないだろう。

トンボの楽園の危機だ。

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# by brunneus | 2017-04-30 00:00 | 千葉 | Comments(0)
2017年 04月 26日

テネラル

昨日。

昨年の晩夏に雌から採卵し、孵化したマルタンヤンマの幼虫が羽化。

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確か8月下旬頃に採集した雌だったと記憶しているので、幼虫期間が大体9ヶ月。自然の状態より若干
早い。雄の淡い期待もあり、敢えてきちんと確認しなかったのだが、予想通り雌の羽化となった。

それにしても、マルタンヤンマの未熟個体を見るのは本当に久しぶりだ。雌の成熟度による体色変化は
雄ほどではないが、透明な翅、明るい色調の胴体、灰色の複眼など、未熟期にしか見られない色彩が新
鮮。こうして見ると、トビイロヤンマの未熟個体を彷彿とさせ、やはり近い仲間なのだなあ、と実感。

都内近郊ではマルタンの未熟個体が飛ぶポイントを把握していないが、この雌を見て、今年は探してみ
たくなった。








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# by brunneus | 2017-04-26 23:10 | 東京 | Comments(0)