トンボの日々

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2017年 07月 11日

パイヌシマ2017・その4

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小粒な種類が多いトンボ科の中で、オオキイロトンボはひときわ目立つ存在だ。
亜熱帯の日差しを浴びて金色に輝く長大な翅を水平に保ちながら、悠然と滑空するスケールの大きな
飛翔は、せせこましいトンボ科のイメージとは一線を画し、周囲に一種の緊張感すらもたらす。
このトンボは山あいの池が好きなようで、カラスヤンマを求めて山原の谷間の林道を逍遙している時
は、いつも遥か頭上にぽつんと浮かんでいる。オオキイロトンボは、山原では遠い存在なのだ。
八重山では少し事情が違い、山裾の池や湿地はもちろん、風通しのよい林道などでも、頭のすぐ上く
らいの高さをふわふわと浮かんでいる。ヒメハネビロトンボに混じって忽然と姿を現す黄金色を目に
すると、いつも胸が高鳴ってしまう。

このトンボの行動は面白い。
池や林道をぽつんと漂うのはいつも雄ばかりなのだが、午前中のある時間になると、水辺に一斉に雄
雌の連結態が飛来するのだ。あちらのカップルの接近を待っていると、すぐ脇を別のカップルが抜け、
ネットインしたカップルの収容作業中に、目の前で雄の警護を受けながら雌が産卵、、というふうに、
水辺はオオキイロトンボのお祭り状態となる。
昨年はお祭り時間の前にポイントを後にしてしまったので、雌は手に出来ず。
そして今年。オオキイロトンボは久々のお祭り状態となり、これが今年の遠征でのクライマックスの
ひとつとなった。
このポイントでの産卵タイムは一時間足らずで終わってしまうのだが、その後は何事もなかったかの
ような、ぽつんと雄が浮かぶいつもの風景となる。祭の後の寂しさ。

オオキイロトンボが乱れ飛ぶ眺めを見られただけでも、遙々遠征した価値はあったと思う。








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# by brunneus | 2017-07-11 23:07 | 沖縄 | Comments(0)
2017年 07月 08日

パイヌシマ2017・その3

今回の旅で出会ったトンボの中で、勢力を拡大していたのはこの2種。

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上:アカスジベッコウトンボ雄雌 下:ウミアカトンボ雄雌

アカスジベッコウトンボは、昨年は全く見られなかった湿地にも多くの個体が飛び交っていた。初め
てこのトンボを見たのは2012年。ホソアカトンボの池で2つの雄を見て仰天したのだが、今や止
水系トンボの中では、オキナワチョウトンボに次いで幅を利かせている。しかし不思議なことに、ギ
ンヤンマが飛ぶような広々とした池ではあまり見かけない。むしろ、水草が生い茂った、半ば湿地化
した池や、木立に囲まれた小規模な池、貧相な水田脇の水路などで見かけることが多かった。
このトンボに関してはあまり知識を持っていないのだが、内地で言うとオオシオカラトンボのような
生態的地位にあるのだろうか。

ウミアカトンボは、昨年は一箇所でしか見なかったので、今年は短いスケジュールの中、無理にこの
トンボのために時間を確保しておいた。しかし初日、島に到着して早くも40分後に発見。その後も
別の湿地で複数を見かけ、スケジールが随分楽になった。ウミアカトンボは近年、沖縄本島にも出没
しているらしいので、絶賛分布拡大中、と言いたいところだが、移動性が強い種は、ある日こつ然と
姿を消すことも多々あるので、次に訪れた時に出会える保証はない。

逆に少なかったのがこのトンボ

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ヒメキトンボ雄

昨年、何匹も飛び交っていた池には、今年は僅か二匹。しかも数が少ないからか異様に敏感で、滝の
ように汗をかきながら散々追い回した挙げ句、ひとつ手にするのがやっとだった。
昨年は全て未熟な個体だったが、今回手にした個体は成熟した雄。やはり未熟な状態とは雰囲気が全
く違う。発生ピークを過ぎてしまった、ということなのかもしれない。

こうして見ると、いつ訪れても沢山見るのはヒメハネビロトンボとオキナワチョウトンボ、あとはア
オビタイトンボ、コシブトトンボくらいだろうか。
不安定要素が多いので一喜一憂するのだが、行くたびに何が出るか分からないことが、南方遠征を止
められない原因のひとつだと思う。











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# by brunneus | 2017-07-08 23:33 | 沖縄 | Comments(0)
2017年 07月 07日

パイヌシマ2017・その2

南方遠征の難しい所は、まず第一に相手は自然なので、前回と同じ時期に行っても同じトンボに出会
えるとは限らないということ。さらに高温多湿な環境の中で、如何に採集したトンボの鮮度を保つか、
という点にも苦労する。

自宅に戻ると疲れた身体に鞭打って撮影に取りかかるわけだが、どうしても重要度の高い種から、、
となるので、その間に後回しにしたトンボの鮮度が落ちてしまうこともある。

今回の遠征でも、巡り合わせが悪く出会いがなかったものや、良い状態で撮影できなかったものを頭
に浮かべながら行動していた。

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上左:アメイロトンボ雄 上右:ヒメホソサナエ雌 
下左:オオハラビロトンボ雄 下右:ホソミシオカラトンボ雌 


ここに挙げたのは、そんなトンボたちの一部。

アメイロトンボは、山原の行きつけの水田では最近姿を見なくなった。昨年は八重山の既知の湿地で
複数飛んだが、成熟した雄はひとつ手にできただけで、あとは皆未熟個体だった。どうやら発生初期
にぶつかってしまったらしい。
今回は、なんと八重山の昨年訪れた湿地ではひとつも出ず。これにはがっかりしたが、渡った島で目
をつけていた海沿いの水路で複数の雄が飛び交っていた。
アメイロトンボは、痛みが早い。死後すぐに腹部の脂が表面に染みだしてきてしまい、今まで失敗を
重ねてきた。今回は最優先で撮影し、ようやく美しい飴色を写し止めることができた。

オオハラビロトンボも、山原ではちょっと山がかった場所ではどこにでも見られたが、最近は見かけ
なくなった。
昨年の八重山では雌は見たものの、雄は見ず。今回は数は少ないものの、ジャングルの中の小径でひ
っそりと枝に止まる姿をいくつか見た。久々の鮮やかな赤色が目に染みる。

ヒメホソサナエは八重山限定のサナエだが、行く場所が悪いのか、時間のせいか、まとまった数を見
たことがない。林道脇の草にぽつんと佇んでいるのをひとつ見る程度で、このサナエも痛みが早いの
か、腹部の黄斑がくすんでしまうことが多かった。今回は単発ながらあちこちで姿を見かけたので、
新鮮な状態で撮影できて満足。

ホソミシオカラトンボ雌。ホソミシオカラは山原では希で、当然ながら雄しか得たことがない。八重
山では雄はそこそこ見かけるが、雌は巡り合わせが悪く、7年前に偶然未熟個体を手にしただけ。今
回も偶然の産物だが、やっと成熟した雌をしっかり撮影できた。

その他では、オオメトンボはまたしても不作。アメイロが飛ぶ水路には必ず出る、と踏んでいただけ
に、大きな肩透かしを食らった。ミナミトンボも、夕方になるとあちこちで姿を見かけたが、タイミ
ングが悪く採集できず。

本命のトンボは今年も外してしまったわけだが、こうした小さな前進を実感できたので、それだけで
充分に満足なのだ。








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# by brunneus | 2017-07-07 11:29 | 沖縄 | Comments(0)
2017年 07月 02日

パイヌシマ2017・その1

このカミキリが棲息する島に行ってきた。

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ヤエヤマムネマダラトラカミキリ

この格調高いカミキリを手にできたのは、全くの偶然。本土のムネマダラトラカミキリですら憧れの存
在なのだが、まさか想像もしていない場所で出会うとは思ってもみなかった。今回は、他にも嬉しい偶
然があった。
自分の場合、遠征というものは、予測を立ててある程度の確実性を担保できた段階で決行を決めている。
しかし大抵の場合その担保はあっけなく崩される(単に予想が甘いのだが)のだが、その裏には想像す
らしなかった偶然の産物が用意されているものだ。
それが、遠征をより豊かなものにしてくれる。

何故、毎年熱病のように南方遠征に取り憑かれているのか。例えば近所のコンビニでカップ麺を買う感
覚で遠征に行く人間もいるのだろう。しかし、自分にとって沖縄は特別な場所だ。北海道でも東北でも
なく、沖縄に行くという行為そのものが大切なのだと思う。
言ってしまえば、別に目的のトンボが採れなくても良いのだ。クマゼミの叫び声に意識を朦朧とさせな
がら亜熱帯の熱い空気を存分に肺に吸い込み、ホオグロヤモリの控えめな声を聴きながら微睡むことが、
自分にとって大切なことなのだ。

亜熱帯には「トンボ採り」に行くのではない。だから成功も失敗もない。
ただ、あの場所に居られれば、雨でも晴れでも関係ない。
毎年、そう思って南へ向かう。







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# by brunneus | 2017-07-02 22:47 | 沖縄 | Comments(0)
2017年 06月 25日

パール

春から初夏にかけては白い花が目立つ季節だが、そんな花をよく見ると小さな甲虫が集っている。
その甲虫が白っぽければ迷わず手に取り、裏返してみる。

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久々に登場のアシナガコガネ。
どこにでもいる普通種のようだが、なぜか自宅近くでは目にしたことがない。
なんと言ってもこの小さなコガネムシの魅力は、腹側。真珠色の光沢を帯びた鱗粉をまとい、なんとも
美しい。

トンボの不調が続くなか、例年になく雑多な昆虫に目を向ける機会が多くなった。その中には新しい発
見もあるので、トンボ不調もまんざらでもないな、と前向きに捉えるようにしている。


さて南方遠征。
ここで一気に不調を吹き飛ばせるのか、あるいはさらなる不調が待ち構えているのか、、。







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# by brunneus | 2017-06-25 12:56 | つぶやき | Comments(0)