トンボの日々

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2017年 08月 14日

様々な情報の流通が年を追うごとに増大しているが、トンボも例外ではない。情報の中には良いものも
あるが、いっぽうで悪いものもあるので、情報の扱いに神経を使う。
無邪気な時代は終わってしまったようだ。

例えばこのトンボ。関東では何かと炎上しがちなので、実験的に、今回の採集行のリアルな情報は誰に
も伝えないことにしてみよう。

8月某日。初めて訪れる某ポイントに、某氏とふたりで訪れた。
予報に反して天気は日差しがベースで、気温も高い。ポイントの手前から目的のトンボが摂食飛翔する
姿があちこちで目に入る。竿を出したい気持ちを抑えて、先を急ぐ。

ポイントに着くと、さっそく複数の雄がパトロールする姿が目に入る。リュックから竿を出して臨戦態
勢。このトンボを採るには、6mのロッドは不要なのだ。

待つことしばし。
最初の雌が視界に入ってきた。すぐにでもネットを振り下ろしたい衝動を堪えて、雌が安定して産卵す
るのを待つ。頃合いを見計らって、静かに竿を振り下ろす。
ほどなく某氏が立つ場所もヒットし出したようで、あたりの動きが慌ただしくなってきた。

以降1時間ほどが産卵時間だったようで、それほど間を置かずに雌が飛び込んで来る状況が続いた。
満足したので、午後の早い時間に撤収。

このトンボの雌は、産卵に入らない日は一日待っても一匹二匹、という場合もあれば、この日のように
短時間で連続して入ることもある。どんな要因が、雌の産卵を促しているのだろうか。

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また来年も、このポイントを密かに訪れてみよう。






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# by brunneus | 2017-08-14 13:26 | その他 | Comments(0)
2017年 08月 12日

役者

今年は成熟初期のマルタン雄を採りに行く機会が殆どなかったので、7月が終わりを迎えようとしても
一匹も手にしていなかった。
そんなある日、偶然所用の後に少し時間ができたので、馴染みのクラシックな産地へ足を運んだ。

現地には17時半に到着。道中は日が射したり雲がたれ込めたりと目まぐるしい天気。ポイントに立つ
と、いつもいるオニヤンマが飛んでいない。一抹の不安を抱えつつも、森の奥の一点を凝視する。

どれくらい時間が経っただろうか。背後から勢い良く響く足音に振り向くと、なんとM氏!考えること
は同じだったようだ。
トンボ話をしつつマルタンを待つが、かなり薄暗くなっても一向に飛ぶ気配がない。そう言えばマルタ
ンに付き物のヤブヤンマも見ない。いい湿度なのだが、、、。
18時27分。「来た!」M氏が反応。見ると既に青黒い影が目の前に。直進コースを取るかと身構え
たが、すぐ先で方向転換。数メートル先を旋回しだした。竿を突き出すと運良くネットの中に吸い込ま
れてくれた。その後も一度だけ雄が抜けたが気付くのが遅れ、振り抜いた瞬間には遥か後方。
結局、マルタン雄はこの2回で終了だった。雌の摂食も皆無。

ターゲットを未熟のコシボソヤンマに切り替え、M氏と共に谷を下る。コシボソは少ないながらも薄暗
い路上を飛んでいる。殆ど気配でしか認識できないが、苦戦しながらもネットに入れると、目的だった
雌。収納して頭上を見上げると、20メートルほどの高さにヤンマの大きな群が、、。

チャンスは少なかったが、目的のヤンマ2種を手に出来て一安心。

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そして真夏の始まりの夜の主役。

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カヤキリ。
今年はいつになく多くの声を聴いた。この重厚な存在感を味わわないと、真夏は始まらない。

マルタン、コシボソ、そしてカヤキリ。この時期の役者を揃って手に出来た日だった。これで季節がか
ちりと、またひとつ先に進んだ。






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# by brunneus | 2017-08-12 00:57 | 神奈川 | Comments(0)
2017年 08月 07日

安泰

ヤンマの季節。
実は6月下旬にネアカヨシヤンマを見に千葉を訪れていたのだが、ベストコンディションの天気にも関
わらずネアカを一匹も見ない、というかつて無い事態を経験している。
一抹の不安を抱えながらも、7月下旬、再度訪れてみることにした。

現地には午後遅くに到着。天気は申し分ない。
チョウトンボの群れをかいくぐって、ポイントへ。空梅雨のせいか湿地は乾燥し、スニーカーでも問題
ない状態。数が多い日には、まだ明るい時間帯から頭上を旋回するネアカを見かけるが、この日はしば
らく待ってみても何も飛ばないので、周辺を探索。

平日なので釣り人もライバルも少ないと思っていたのだが、林の中でネットを持った若者に出くわした。
しばし立ち話。どうやら彼も相当エネルギッシュに活動しているようだ。最近思うことだが、フィール
ドで出会う若者の情報収集能力と行動力には本当に脱帽する。やはり呼吸をするようにSNSを駆使する
世代は、自分とは大脳の構造が根本的に異なるのだろう。

頃合いの時間になったので、再びポイントへ。
しかし、待てど暮らせどギンヤンマ一匹飛ばない。あたりはかなり薄暗く、普通なら既に頭上がネアカ
で埋め尽くされている時間だ。嫌な予感が脳裏をよぎり、若者と顔を見合わせ苦笑い。
諦めの二文字が頭に浮かび始めた頃、ようやく待望のシルエットが視界に飛び込んで来た。竿を伸ばし
て追い回す。すると一匹、また一匹と数は増え、気付くと頭上を複数のネアカが飛び交う状態に、、。
こうなると完全にスイッチが入って、無我夢中だ。

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終わってみれば、去年なみの出具合。ここのネアカは今年も安泰のようだ。
帰り道。闇に包まれた車道で収竿作業をしていると、脇に一台の車が止まり、中から若者の人懐っこい
笑顔が覗く。駅まで送ってもらえる好意に甘えることにした。

今年のフィールドワークは全般的に負けが込んでいるが、たまにこういう良い日に巡り会えることが、
救いになる。

このまま調子が上向いてくれるといい。








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# by brunneus | 2017-08-07 00:24 | 千葉 | Comments(0)
2017年 08月 01日

オナガの夏

南の島から戻ると、関東に夏が来ていた。

7月中旬。
昨年見つけた八王子のルリボシヤンマの池が気になったので、仕事帰りに寄ってみた。ヤブヤンマ、マ
ルタンヤンマを期待したのだが、その姿は皆無。しょぼくれて帰り道を歩いていると、周辺視野が何か
を捉えた。道脇の塀の上を見ると、いた。

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こんなところにオナガサナエ雌。時刻は日没後の薄暗い時間帯だ。眠っているのか、手を近づけても反
応はない。

そして翌日。
八王子で仕事を終え、バスに乗ろうとすると、再び周辺視野が何かに反応。近づくと、西日を受けた地
面に再びオナガサナエ雌。

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上が塀の上にいた雌、下が職場にいた雌。下の雌は羽化してまもない個体で、胴体や翅の黄色が眩しい。
この他にも、6月下旬に自宅近くの路上を低空飛行するオナガサナエの雌を目撃している。

昨年あれだけオナガ雌!オナガ雌!と騒いでいたのだが、出会いなんてこんなものだ。探していない時
に、目の前に現れる。
いずれの個体も多摩川中流由来のものだろう。発生数が増えたのか、気候が原因しているのか、、。
その答えをオナガサナエに聞いてみたい。






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# by brunneus | 2017-08-01 22:47 | 東京 | Comments(0)
2017年 07月 30日

パイヌシマ2017・その9

先島諸島特産の甲虫と言えば、身近なところではチャイロカナブンが挙げられるだろう。
宮古諸島、八重山諸島それぞれで亜種に分化しているが、与那国亜種、宮古亜種は手にしたことがない。

昨年の遠征では何故か目撃が散発的で、偶然目の前を通過した一匹しか採集することができなかった。
こういう類いの虫は、出会うと嬉しいが、わざわざ探す気にはならない。沢山いるスポットを発見でき
ればいいが、そうでなけでば昨年のように貧果になってしまうのだ。

今回は初日、ヒメキトンボの池の脇道でチャイロカナブンが沢山群れ飛んでいた。頭上の低木の梢付近
を何匹かが飛んでいるのを見て気付き、樹液でもあるのかと探してみたが、見当たらない。目が慣れて
くると、足元の草むらにもぶんぶん飛び交っているのが見えてきた。どうやら摂食のために集まってい
るわけではなさそうだが、繁殖に関係する行動なのだろうか。


チャイロカナブンを眺めると、いつも「猿」という単語が浮かんできてしまう。

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長い前脚、そして淡褐色の身体。淡褐色に見える部分を拡大すると、、

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けむくじゃら。
まさに、毛皮を纏った甲虫界の猿。
チャイロカナブンは内地のカナブン類よりも身軽で、飛んでいる個体をネットに入れてもその中で延々
と飛び続けている。外殻が硬い甲虫は、鈍重で飛ぶことに対しておっくうな印象があるが、チャイロカ
ナブンはむしろ、飛ぶことを楽しんでいるようにさえ見える。このあたりも身軽なテナガザルにだぶる
のかもしれない。

八重山にはもう一種、内地のアオカナブンをさらに大型にしたような、美麗極まりないサキシマアオカ
ナブンが棲息している。調べてみるとこれがどうもかなりのくせ者のようで、どこでどのようにして採
るのか皆目見当もつかない。
サキシマヤマトンボのように、いつか偶然でも手にできる時がやってくるのだろうか。








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# by brunneus | 2017-07-30 23:37 | 沖縄 | Comments(0)