トンボの日々

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2017年 04月 30日

危機

今年の春は進行が不規則で読めない。

例年であれば、千葉のトラフトンボのハイシーズンに突入する時期だが、今年はどうだろうか。苦手の
早起きを乗り越え、一路東へ。

午前9時半に現地着。天気は快晴だが、風が冷たい。照り付ける日差しと冷ややかな風は、この時期な
らではの組み合わせだ。雑木林は鮮やかに萌え、田んぼからはカエルの合唱。一年振りの風景をじっく
りと味わう。
竿を出し、いつのものコースを巡るが、トンボの姿は見られない。何か所目かで、ようやく足元から飛
び出したトラフトンボを発見。

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近づいてよく見てみると、複眼が灰色だ。しまった、、、。

やがて気温が上がると空間を飛ぶトラフトンボの姿が増え、少ないながらも雌の姿も見られたが、雌は
もれなく未熟。まだ時期が早かったのだ。

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数年振りに無斑雌に出会えたので、雌はこの個体のみ持ち帰る。雄は一部は成熟していた。
同時期に見られるサラサヤンマやアオヤンマの未熟個体は皆無。トラフトンボ以外のトンボは、今年初
めてのウスバキトンボを一匹見たにすぎない。
ここトラフトンボの産地も、昨年よりも季節の進行が遅れていたようだ。

今回、ポイントを巡るなかで、気持ちが沈む光景をいくつも見た。
まず、太陽光パネルが増えていること。そして、太陽光パネルの設置準備か、大規模にブッシュや林が
伐採されている場所がいくつもあったこと。その中にはトラフトンボが必ず摂食する長年の優良ポイン
トも含まれる。そして、サラサヤンマ、アオヤンマの未熟個体が飛び交う、大きな空き地の入り口に工
事用フェンスが建てられていたこと。

これらの環境改変が全て太陽光パネルの関連かどうかは分からないが、今までの流れを見ると、疑わざ
るを得ない。
池そのものの環境が変わらなくても、成虫が摂食する木立に囲まれた空間や休息する林が無くなってし
まえば、トンボへのダメージは少なからずあるだろう。

池の周りを太陽光パネルに埋め尽くされた風景が、ありありと瞼に浮かぶ。一年後は、もはや今回見た
風景は残っていないだろう。

トンボの楽園の危機だ。

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# by brunneus | 2017-04-30 00:00 | 千葉 | Comments(0)
2017年 04月 26日

テネラル

昨日。

昨年の晩夏に雌から採卵し、孵化したマルタンヤンマの幼虫が羽化。

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確か8月下旬頃に採集した雌だったと記憶しているので、幼虫期間が大体9ヶ月。自然の状態より若干
早い。雄の淡い期待もあり、敢えてきちんと確認しなかったのだが、予想通り雌の羽化となった。

それにしても、マルタンヤンマの未熟個体を見るのは本当に久しぶりだ。雌の成熟度による体色変化は
雄ほどではないが、透明な翅、明るい色調の胴体、灰色の複眼など、未熟期にしか見られない色彩が新
鮮。こうして見ると、トビイロヤンマの未熟個体を彷彿とさせ、やはり近い仲間なのだなあ、と実感。

都内近郊ではマルタンの未熟個体が飛ぶポイントを把握していないが、この雌を見て、今年は探してみ
たくなった。








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# by brunneus | 2017-04-26 23:10 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 23日

雌モード

トンボは毎年同じ時期、同じ場所に姿を現すが、その行動パターンは様々な条件によって、微妙に変化
する。

先日訪れたムカシトンボの産地は、成熟前の摂食個体が飛ぶ場所なのだが、通常は広い空間をゆっくり
と旋回するパターンが多い。しかし、先日訪れた時は広い空間を飛ぶ個体は殆どなく、脇を流れる渓流
の上を往復する個体が多かった。渓流の上をスウォーミングする小虫が多かったので、それがムカシト
ンボの行動に影響を与えたのだろう。

その他では、採集した個体が雌ばかりだったことが印象的。雄も少しは混じっていたが、今までの経験
上、ここは雄の方が多い場所だ。これは、時期的なものなのか、天候的なものなのかは分からない。

このポイントに通って10年ちかくになるが、まだまだ分からないことだらけで、それがまた面白い。

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さて、次はどこに行こうか。









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# by brunneus | 2017-04-23 00:45 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 20日

2017開幕

都内では4月15日前後から、ようやくウェブ上でちらほらムカシトンボの羽化情報が見られ始めた。
すぐにでもフィールドに出かけたい衝動に駆られるが、活動する個体が増えるのを待つために数日我
慢。そして高温晴天の日、仕事前の数時間を使って、一年振りのポイントへと足を運んだ。

山はまだ浅い緑色にうっすらと染まり、所々にヤマザクラのピンク色が眩しい。道中の渓流沿いから
はミソサザイの張りのある元気な声。耳を澄ますと、その奥からヤブサメのか細くも脳天に突き刺さ
る声が響く。頭上からは、ヒガラ、キビタキの艶やかな囀。何もかもが、一年前と同じだ。

そしてポイント。空間を飛ぶ雑多な小虫を眺めていると、出し抜けに半透明の棒状物体が、翅をキラ
キラと輝かせながら視界を横切る。一年振りの再会。

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ムカシトンボ。
記録を読み返すと、今年は昨年よりも5日遅い採集ということになる。
狂気の季節の幕開けだ。






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# by brunneus | 2017-04-20 01:24 | 東京 | Comments(0)
2017年 04月 16日

使者

最高気温26度。半年振りの、身体にまとわりつく生暖かい空気に戸惑う。数日続いた強風で桜の花び
らは一気に散り、待ちわびていたかのように、その下から青々とした若葉が顔を出している。駅前広場
を飛び交うツバメ。いつの間にかイロハモミジの葉が全開になり、小さな赤い花を咲かせている。
街の風景が、劇的に変わった。

そろそろかな、と二日ほど前から帰宅途中の路上に目を凝らすようにしていたのだが、ついに今日、そ
れを見つけた。

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国立の春の終わりを告げる使者、オオキイロコガネ。

ここ数年、徐々に数を減らしてきているように感じるが、個体数が減っているのではなく、もしかした
ら街灯のLED化が原因なのではないか、と疑っている。
今日得た個体は恐らく雄。脚が身体に対してアンバランスに長いので、個人的に甲虫界のチンパンジー、
と呼んでいる。

春の終わり、夜が楽しい季節がやってきた。







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# by brunneus | 2017-04-16 23:26 | 東京 | Comments(0)