2016年 12月 31日

越年

新しい年を迎えようとしているが、9月に職場で拾ったトゲナナフシがまだ生きている。

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餌は近所で摘んできたヤツデの葉っぱのみ。1枚の葉っぱを概ね3週間ほどで喰うが、食べる量に比べ
て糞の多さに閉口。ずぼらな性格なので掃除が苦痛だ。しかし、葉の縁から円弧を描くように食べるさ
まを眺めるのは楽しい。
トゲナナフシはほぼ雌の単為生殖らしいが、尻から出て来るのは糞ばかりで卵が出て来ない。食べ物が
影響しているのだろうか。

冷え込んだ日には毛布に包んで保温するようにしているが、これが正しいのか分からない。しかしまだ
まだ元気なので、無事年を越せそうだ。
昆虫の飼育はあまりやらないのだが、成虫飼育で年を越すのは初めての経験。調べてみると飼育下で半
年ほど生きる個体もあるようなので、このトゲナナフシがどこまで頑張れるのか、見届けてみたい。









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# by brunneus | 2016-12-31 20:09 | 東京 | Comments(4)
2016年 12月 26日

衝撃

この年末に衝撃だった事柄をひとつ。

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写真は2011年に都内で採集したクツワムシ褐色型雄。
衝撃だったのはクツワムシではなく、一回り大きな、南方系のタイワンクツワムシに関しての事実だ。

基本的に、バッタやキリギリスなどのいわゆる直翅類の成虫の体色は、羽化後に変化することはない。
例えばクビキリギスの成虫は、緑色型の個体が越冬時に褐色に変化するのではなく、褐色型は春になっ
ても褐色、緑色型は冬でも緑色だ。直翅類は、個体の成熟度や周囲の環境で体の色が変わるのではな
く、幼虫時代から既に色型が決定されているのだ。 

と、思っていた。

しかし、最近手にした図鑑によると、タイワンクツワムシは羽化した時点ではほぼ全て緑色型。そして
日数と共に、ほぼ全ての個体が褐色型に変化するのだという。
ということは、発生初期は生息地の個体は全て緑色、発生後期は手にする個体はみな褐色、ということ
だ。しかも、近縁のクツワムシは、成虫になってからの体色変化は見られないらしい。

タイワンクツワムシの成虫の体色のバリエーションは、その他の直翅のそれとは、化学的にも生態的に
も異なる意味合いを持っている、ということになるだろう。他にも成虫で色が変わる直翅はいるのだろ
うか。

直翅の愛好家には良く知られた当たり前の事実かも知れないが、頭が凝り固まった門外漢にとっては、
これは衝撃だ。自然を理解するには思い込みや決め付けは禁物だ、ということを改めて思い知った。

南方を訪れた際のターゲットが、またひとつ増えた。








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# by brunneus | 2016-12-26 12:12 | つぶやき | Comments(16)
2016年 12月 15日

冬が来る

9月上旬に都内で採集したハヤシノウマオイ。
思い立って飼育に挑戦していたのだが、昨日、ついに力尽きた。

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飼育期間はおよそ3ヶ月半。直翅類は飼育下では短命だと思っていたが、予想外にタフだった。
肉食であることを踏まえ、当初はシラスを与えていたのだがすぐに食べなくなり、その後は他の魚肉、
豚肉片からヨーグルト、プリンと手を変え品を変え与えてみたが、飽きが早いものの概ねどんな種類
の蛋白質でも良く食べた。
10月初旬頃までは暗くなると良く鳴いていたが、やがて鳴かなくなった。鳴かなくなってからも食
欲は旺盛で、後半はもっぱらヤゴの餌である生きたアカムシを与えていた。老熟すると選り好みしな
くなるのか、アカムシのみでも飽きもせずにモリモリ食べる。蛋白質を食べる他は、水を頻繁に飲ん
でいたのが印象的だった。

身体の各部が柔軟な直翅類は、飼育していると様々な動きを見せてくれて、飽きない。
老いたウマオイは、寝る前のひと時の癒しを与えてくれた。

野外では、すっかり生き物の気配が無くなってしまった。小さな透明ケースの中だけは、未だ緑色の
夏の残香が潮溜まりのように漂っていたが、それも昨日、静かに消えた。

そして冬がやってくる。







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# by brunneus | 2016-12-15 23:40 | 東京 | Comments(0)
2016年 12月 12日

サナエ三兄弟

河川中流の中型サナエ三種。

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左から、ミヤマサナエ雄雌、オナガサナエ雄雌、アオサナエ雄雌

体の大きさも、棲む環境も似通った兄弟のような三種だ。三兄弟の中で一番良く見られるのがオナガサ
ナエ。アオサナエは生息地に行けばそこそこの個体数だが、ミヤマサナエはどこに行っても数が少ない。

鮮やかなグリーンに彩られたアオサナエはトンボを始めた当初から憧れだったが、オナガサナエやミヤ
マサナエの魅力に気付いたのはずっと後になってからだ。
もっとじっくり向き合いたいのだが、この二種の活動ピークである盛夏はヤンマにかまけてなかなか川
に行く機会がない。

滔々と流れる川面を縦横無尽に飛び回る中型サナエたち。来年こそは、気が済むまでその魅力を味わっ
てみたい。






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# by brunneus | 2016-12-12 17:06 | Comments(0)
2016年 11月 24日

ハネビロ系

その名の通り、翅が幅広く細長いハネビロトンボ。

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上左:ヒメハネビロトンボ雄 上右:コモンヒメハネビロトンボ雄 下:ハネビロトンボ雄

翅が大きく発達するということは、長距離移動に適している証拠。実際に、ハネビロトンボ類は本来の
生息地から遥か遠く離れた場所で採集されることが多々ある。数年前に立川に飛来したことは記憶に新
しい。

この仲間の本拠地と言えるのは熱帯から亜熱帯の地域で、国内では南西諸島がそれにあたる。
しかし面白いことに、この3種のハネビロには勢力圏があり、ハネビロトンボは沖縄本島以北に多く、
八重山では見たことがない。逆にヒメハネビロトンボは八重山諸島限定だ。コモンヒメハネビロトンボ
はどこでも少ないが、どちかかというと沖縄諸島以北で多く見かける。

ヒメハネビロトンボとコモンヒメハネビロトンボは亜種関係にあるらしいが、ヒメハネビロは八重山以
外には殆ど出ず、逆にコモンヒメハネビロはむしろ遠方での記録が目立つのが不可解だ。同じ種の中で
移動志向とそうでない集団がいるのは何故か?ハネビロトンボを含めた棲息環境をめぐる優劣の関係は?

ハネビロトンボ類は、面白いテーマが沢山詰まったグループなのだ。






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# by brunneus | 2016-11-24 11:03 | つぶやき | Comments(0)