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トンボの日々

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2019年 05月 22日

未知

昨日のこと。
八王子の職場で久々にウバタマムシを拾ってケースに入れたのだが、つい出すのを忘れて一晩放置して
しまった。
今日になって思い出して取り出してみると、傍らに不思議な物体が。

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はじめは糞の残骸かと思ったが、どうも様子が違う。

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よく見てみると、肌色の蝋状物質の中に、粒がぎっしり並べられている。どうやら卵のようだ。
ウバタマムシはマツに付くらしく、職場でも植栽のマツの付近でよく見つかる。雌は樹皮の間に産卵す
ることは想像に難くないが、卵の形状までは考えたことがなかった。
雌は一卵一卵産むものと勝手に思っていたのだが、この卵塊を見て予想を裏切られた。本来は、樹皮の
間を蝋状物質で埋めて、その中にまとめて産卵するのだろう。


見慣れた虫でも、未知な部分を知ると少し得した気持ちになる。
卵から成虫まで飼育するのはとても無理なので、明日、卵をマツの近くに戻しに行こう。





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# by brunneus | 2019-05-22 00:06 | つぶやき | Comments(0)
2019年 05月 18日

ほぼアサヒナ?

ここに二つのカワトンボの標本がある。

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採集した環境は、Aが谷津の木陰の細流、Bが日当りの良い小河川中流だ。
何も言われなければ、翅の不透明班の発達の度合いや、生息環境からBの個体がニホンカワトンボ、A
がアサヒナカワトンボ、という判定をするところだ。

ところが、産地で見るとAは房総半島のやや北よりで、「ニホンカワトンボ」の分布域、Bは八王子市
西部産で「アサヒナカワトンボ」の分布域とされる個体なのだ。

「日本のトンボ(尾園ら2017)」によれば、両種の識別は
①翅胸高に対する頭部の長さ。翅胸高の方が長いのがニホンカワ、短いのがアサヒナカワ。
②腹部第1節背面の小突起が無いのがニホンカワ、あるのがアサヒナカワ。
③縁紋の位置が基部よりなのがニホンカワ、先端よりなのがアサヒナカワ。
さらに、「近畿のトンボ図鑑(山本ら2009)」によると、
④後胸後腹板前半部に黄色班があるのがニホンカワ、ないのがアサヒナカワ。

以上を踏まえて見てみる。

①→両方の標本共に頭部の方が長く、「アサヒナカワ」の判定。
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②→Aの標本は「ニホンカワ」、Bが「アサヒナカワ」の判定。
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③→Aの標本の方がやや基部寄りに見えるが、よくわからない。(一番上の画像参照)
④→Aの標本は「ニホンカワ」、Bが「アサヒナカワ」の判定。
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例外や不明な点はあるものの、総合的に見ればAがニホンカワ、Bがアサヒナカワ、ということになり
そうだ。
Bの標本は、昔から馴染みのあるポイントで得たもので、長年「どっち?」ともやもやした気持ちで眺
めていたが、こうして比較することで、少しその正体に近付けた気がする。
それにしても、Bは生息環境やその外見が「ニホンカワ」的なのに、細部を調べていくと「アサヒナカ
ワ」的特徴がいくつもあるのが面白い。
神奈川から都内西北部には、両種の交雑個体と言われる「伊豆個体群」が分布し、またBの生息地のす
ぐ東にはニホンカワトンボの分布域があるらしい。今後、精度を上げるには、さらにサンプルを集めて
検討する必要があると思う。

これまで見慣れてきたカワトンボは、今の所「ほぼアサヒナ」。今回のところはひとまずこれで落ち着
くことになりそうだ。




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# by brunneus | 2019-05-18 01:55 | その他 | Comments(0)
2019年 05月 11日

新天地

今年のトラフトンボは、季節の進行を勘案してタイミングを計っているいるうちに、悪天週間に入って
しまった。その間に行った仲間からの情報が入ってきたが、あまり芳しくないようだ。
思考回路が良く言えば前向き、悪く言えば単純な構造になっているので、仲間からの悪い情報にも、
「たまたまでしょう。今日は天気も最高だし、いつのもように飛ぶはず、、」という持ち前の根拠のな
い自信の方が勝っている。

辛い早起きを乗り越えて現地に着くと、快晴微風高温と三拍子揃った天気。これで飛ばないはずはない。
いつのもように、黒筋が入った4枚の翅が青空を背景に颯爽と飛ぶ姿を想像して空き地を巡る。

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さっそく頭上を飛ぶシルエット。しかしどう見ても雄だ。次に出会うのは当然雌だろう、と空き地を歩
き回るが、、。

飛んでいるのはクマバチのみ。雄すら殆ど見ない。
時間は10時半。この天気でここまで飛ばないことは、過去に経験がない。潔くこのポイントには見切
りをつけた。こんなこともあろうかと、事前にいくつかポイントをピックアップしておいたのだ。

まず訪れたのは海沿いの池。

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環境は良い雰囲気だが、コシアキトンボがぽつんと飛ぶだけ。次へ。

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水面を飛ぶシルエットに着目。

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トラフトンボ雄。山沿いの池を好むのだろうか。近くの池をいくつか巡ると、数は少ないがどの池でも
雄の縄張りを見ることができた。

しかし待てども雌の気配がしない。滞在できる時間も残り少なくなり、帰り支度をし始めた時。
ふと水面に目をやると、何かがぐるぐると旋回している。トラフトンボ交尾態!
一旦仕舞った竿を慌てて取り出し、予測の付かない交尾態の動きに翻弄されながらも竿を振ると、運良
くネットに吸い込まれてくれた。

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最後の最後にようやく雌を手にできた。

トンボを始めた頃から慣れ親しんできたトラフトンボの産地は、今や太陽光パネルに囲まれてしまった。
かつて雌が乱舞した秘密の空き地にも尽く太陽光パネル。楽園の終焉は近いようだ。
現場で森を切り、土砂を流し込む作業員に罪はない。悪いのは「エコ」(もしくは税金対策)という甘
い毒薬を誘い文句に、電力の売買というマネーゲームに興じる人間なのだ。

幸い、トラフトンボは周辺の池に広く分布することが分かった。さらに探せば多くの産地が発見できる
だろう。今後は新天地を求めて放浪するしかないようだ。






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# by brunneus | 2019-05-11 12:32 | Comments(0)
2019年 05月 06日

仕事前

仕事前に、カメラを担いでムカシトンボの産地へ。
この場所は、流域が短いためにポイントまでのアクセスが非常に楽で、仕事前のフィールドワークにぴ
ったりなのだ。
ポイント手前の日当りのよい草地には、まだ未熟さを残したカワトンボたちが思い思いの時間を過ごし
ている。

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隆々とした逞しい翅胸、翅の不透明斑の出方。そして明るく開放的な環境に生息していること。これだ
けで判断すれば、どう見てもニホンカワトンボなのだが、最新の図鑑や文献では、ここはアサヒナカワ
トンボの分布域なのだ。これは長年の疑問で、未だにはっきりとした答えに辿り着いていない。アサヒ
ナかニホンか?誰か教えて欲しいものだ。

ふと気配を感じて見上げれば、頭上の葉にダビドサナエの雌が日光浴している。これもまだ未熟な個体。

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そしてポイントへ。
沢の入口からは常に冷気が吹き出していて、入渓したとたんにがらっと周囲の雰囲気が変わる。空気に
ある種の緊張感が満ちているのを感じる。

上流と下流が見渡せる場所でしばし佇み、時たま通過する雄の行動パターンを観察する。雄は流れに沿
って飛ぶが、時々ホバリングして、岸辺の草の下を入念に見ている。そんな場所が雌が産卵しに来るポ
イントなのだ。

特に雄がしつこくホバリングする場所に陣取り、カメラを構える。
やがて下流から接近するシルエットが見えた。途中、寄り道しながらもゆっくりこちらへ向かってくる。
雄か?
やがてシルエットは目の前の草に止まり、腹部を曲げた。

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すかさずシャッターを切るが、この雌は何が気に入らないのか、ものの数秒で飛び去ってしまった。
それ以降雌は現れず、時間切れ。産卵する雌が落ち着くのを待ってからシャッターを切れば良かったの
だ、、と後から気付いたのだった。

まだムカシトンボのシーズンは続くので、汗をかかずに観察できるこのポイントに、暫く通ってること
にした。







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# by brunneus | 2019-05-06 22:59 | 東京 | Comments(0)
2019年 05月 03日

知らないことばかり・その2

せっかくの10連休も、悪天候で前半が潰れてしまった。雨の日は画像を整理しているのだが、その中
での小さな発見。
手にしたムカシトンボ雄の顔面を見ていて妙に黄色っぽいのが気になり、雌と比べてみる。

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左が雄で、右が雌。
やはり雄のほうが、横長の黄色条が多い。具体的には、いわゆる上唇と呼ばれる部分が、雄は大部分が
黄色いのだ。
ムカシトンボを初めて手にしてから19年。顔面の斑紋に明快な性差があることを初めて知った。ムカ
シトンボのことは大概のことを熟知していた気でいたが、甘かったようだ。
トンボの世界もまだまだ知らないことばかりである。




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# by brunneus | 2019-05-03 00:41 | つぶやき | Comments(0)