今回の八重山では、予想外の大物を採ることができた。
その大物とはオニヤンマのこと。
種としてのオニヤンマは、北海道から沖縄まで全国に分布し、
関東地方でも、山沿いを中心に、どこにでも見られるありふれた普通種だ。
しかし八重山に分布するオニヤンマは、その他の地域のものと明らかに形態が異なり、
将来別種、もしくは亜種に分類される可能性がある。
比較対象として、関東産のオニヤンマと並べてみた。
左:東京都産 右:八重山産
八重山産は大型になるが、その他に腹部に注目。
左の東京産の個体は、先端付近が左右に少し膨らんで終わるが、
右の八重山産は、根元からそのまま細くなって終わる。
そして裏側。
残念ながら東京産の個体の裏側を撮っていないので比較できないが、
八重山産は腹部の黄色斑が腹部裏側で大きく発達する。
写真ではそれほど目立たないが、野外では一見してその黄色が目に飛び込み、
本土産と全く違う、黄色いオニヤンマに見える。
上記は雄個体での話だが、雌はもっと差が顕著で、翅の付け根に鮮やかなオレンジ班が発現する。
しかしいまだ雌が採れていないので、図鑑で眺めるのみだ。
「ヤエヤマオニヤンマ」
将来、こんな感じの名前でも付くのだろうか。
オニヤンマは真夏から初秋のトンボなので、まさか5月の八重山で出会えるとは思っていなかった。
なので、ぬかるんだ路上を低く往復する巨大なトンボが、一瞬、何の種類か分からなかった。
こういう予想外の出会いがあるから、遠征は楽しい。