トビイロヤンマの黄昏飛翔を見たあとの海沿いの水田。
夜の闇に包まれようとする静かな家々の道を歩いていると、
足元から「がさがさ、、」と音がする。
トンボかな、と屈んでみると、オレンジ色の街灯の光に照らされたのは、
ツノトンボだった。
オキナワツノトンボ雌:体長40mm
「トンボ」という部分が名前に入っているが、トンボとは縁が遠い、カゲロウの仲間。
外見はトンボと似たものが多いが、
幼虫、蛹、成虫、という生活史を持つ、根本から異なるグループだ。
ツノトンボの仲間は国内からは何種類か知られていて、内地でも時々その姿を見かけるが、
今ひとつ生態を把握していないので、いつも出会いは偶然だ。
オキナワツノトンボも、昨年の遠征で同行者が雌を採集していて、
その大きさと、内地の種には無い、後翅の褐色帯に魅了された。
いつかは見てみたい、と思っていたが、
期待していない時にかぎって、ひょっこり目の前に現れるものだ。
トンボを目的とするならそれ以外は外道ということになるが、
偶然とはいえ、こういう出会いは嬉しい。