遠征で南方を訪れると時々見かけるのが、オキナワツノトンボ。
オキナワツノトンボ雌:体長約30mm
内地にも数種のツノトンボ類が分布するが、オキナワツノトンボ雌の後翅後縁の褐色帯がどこかミナミ
ヤンマ類のようで、見かけるとつい手に取ってしまう。
いつもは谷間の草にぽつんと止まっていたり、夜の街灯の下に落ちていたりと出会いは偶然に頼るしか
なかった。しかし今回、日没後の水田地帯の低空を多数の個体が飛び回る光景を見て、初めて生態の一
部を垣間見た気がした。
飛び方は同所的に飛ぶトビイロヤンマにそっくりで、イグサの葉先を縦横無尽に敏速に飛ぶ。シルエッ
トは小さなハチのようで、ネットに入れるまでは何の虫か見当もつかなかった。採集は苦労したが、手
にした数匹はみな雌だったので、産卵に関係する飛翔なのだろうか。
長く通い慣れたポイントだが、オキナワツノトンボの群飛は初めて見た。生き物、特に昆虫の行動はそ
の日の微妙な気象コンディションが強く影響する。遠征の僅かな滞在期間で、どの昆虫の活動日に当た
るかは運次第だ。
オキナワツノトンボの群飛を次に見られる保証は全くないので、こういう日は少し得をした気分になる。