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トンボの日々

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2013年 08月 29日

秋モード

8月中旬を過ぎる頃になると、気になりだすのが丘陵地の谷津。
夕方、西日を浴びて池の上を悠然と飛び回る褐色の影。そう、マルタンヤンマだ。

今年も仕事の合間を見計らって、ポイントを覗いてきた。
日中は猛暑日だったからか、まだ陽があるうちは姿が見られなかったが、日没後、あたりが薄暗くなり
はじめたころに、ようやく飛んできた。
谷の奥から真っ直ぐに飛んできて頭上を通過、谷出口でUターンして若干高度を下げて、再び真っ直ぐ
向かってくる。正面、射程に入った所で、下からスイングする。

マルタンヤンマ雄:体長75mm
秋モード_a0126535_2354973.jpg


黄色味を帯びた褐色に美しく染まった翅。深みを増した胸の青色。このトンボがシーズンを通して最も
輝く時期だ。
発生初期、7月いっぱいまでは、マルタンヤンマの雄は非常に採りにくいトンボだ。
早朝や日没後の暗い谷津の奥を、矢のような速度で飛び抜ける。木陰から飛んでくるのが見えていたと
しても、一瞬で脇を通り過ぎてしまい、竿を振ることもままならない。
しかし8月中旬以降は、明るい時間帯に、池などの開放的な空間をゆっくりと往復するので、姿さえ発
見できれば、不規則に飛び回るギンヤンマよりもむしろ採集は容易い。これがいわゆる「秋モード」だ。

雄の活動が終盤にさしかかる頃、入れ替わるように、今度は雌が姿を現す。

マルタンヤンマ雌:体長77mm
秋モード_a0126535_052318.jpg


雌は時期に関係なく、池や谷津の上空を広く旋回しながら摂食する。基本的には雄より高い所を飛ぶが、
注視していると次第に下がってくるので採集は簡単。まだこの時期の雌は擦れもなく綺麗だ。

マルタンヤンマを追うのにも飽きた帰り道。
暗い木陰の路上を何かが忙しなく上下運動をしている。当然肉眼では正体を確認できないが、いつもの
顔ぶれだ。気配目がけて適当にネットを振ると、手応え。

ミルンヤンマ雌:体長70mm
秋モード_a0126535_0112145.jpg


このヤンマはまだシーズンが始まったばかり。雌も腹部がミナミヤンマ雌のように平べったく、生殖活
動には入っていない個体が多い。

晩夏の谷津の、短時間でテンポ良い採集。こういう採集が一番好きかもしれない。

by brunneus | 2013-08-29 00:15 | 東京 | Comments(0)


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