図鑑に良く出てくる「普通に見られる」とか「普通種」という言葉。
何をもって「普通」なのだろうか。
ここ最近は、ルリボシヤンマの雌を狙って埼玉のポイントに通っているのだが、芳しくない。
ルリボシヤンマは全く姿を見せないが、ミルンヤンマだけは相変わらず沢山飛んでいる。
ミルンヤンマ雌:体長76mm
個人的な感覚では、都内のヤンマ科の種でミルンヤンマは、ギンヤンマと同じくらい「普通」見られる
ヤンマだと思う。ここで言う「普通」とは、「個体数、棲息地域が多い」という意味。
ミルンヤンマは、木立に囲まれた細流や渓流に棲息するのでさすがに平野部には見られないが、西部の
山間部全域には広く分布している。おそらく、八王子、あきる野、青梅などの山裾で、木立の中を流れ
る渓流のほぼ全てに棲息していると思われる。
目に付かない理由は、薄暗い陰湿な環境を飛ぶこと、朝夕の薄明薄暮時を主な活動時間としていること
などだろう。
公園などの開放的な池を真っ昼間に堂々と飛び回るギンヤンマに比べ、馴染みが無い、というだけなの
だ。
ミルンヤンマは、開放的な池が少ない多摩地域ではむしろギンヤンマより個体数が多いかもしれない。
「東京都のトンボ」のような私家版図鑑を作るとしたら、ミルンヤンマのページには「ギンヤンマと
並び、もっとも普通のヤンマ」という一文を是非とも入れたい。