実は、9月の連休にある未採集のヤンマを求めて、八重山に遠征に行っていた。
ポイントが分からずに序盤は大苦戦したが、最終日の早朝になって、ようやくその瞬間が来た。
夜の気配がまだ仄かに残る林道。リュウキュウコノハズクの叫び声が森の中から一声聞こえた時、
目の前を黒いヤンマが忙しなく旋回し始めた。たぶんこれが最後のチャンスだろう。自信は全く無い
が、黒い影を目がけて思い切りネットを振った。次の瞬間、ネットの中で暴れていたのは、長年探し
求めていた憧れのヤンマだった。
イシガキヤンマ雌:体長78mm
、、、、というのは真っ赤な嘘。
薄々お気づきの方もいるかもしれないが、この「イシガキヤンマ」の画像は、二つ前の記事のミルン
ヤンマ雌の模様を、デジタルで描き変えたものだ。イシガキヤンマのために八重山に行くお金も時間
も当然ない。
トンボ採りを始めてからずいぶん時間が経つが、国内産のヤンマとしては、イシガキヤンマ(アマミ
ヤンマ)、サキシマヤンマ、イイジマルリボシヤンマが未だに未採集だ。これらは産地が北海道だっ
たり、よく行く南方でも出現期がトンボのハイシーズンではなかったりと、なかなか狙いに行くチャ
ンスに恵まれないのだ。
しかしデジタルでちょっと加工すれば、身近なヤンマがあっという間に未採集のヤンマに変身してし
まう。
簡単に欲求不満が解消できてしまうのも、デジタルの強みかもしれない。