前回の記事に続き、国内で最も危険なトンボの一種を紹介。
ベッコウトンボ雄(デジタルイラスト)
このトンボもまた、野外で許可なく触れただけで御用となる、危険きわまりないトンボだ。
万が一、こちらを目がけて飛んでくるのを発見した場合は、身の安全を第一に考え、全速で退避す
ることをお勧めする。
例に漏れず、画像の個体はヨツボシトンボをデジタル加工したもの。雑種が出来るほど近縁なので、
加工もやはり楽だった。話は逸れるが、ヨツボシトンボとベッコウトンボの雑種を野外で採集した
場合、法的にはどういう扱いになるのだろうか、、?
ベッコウトンボは、東京に長閑な風景が広がっていた頃には石神井公園にも産したというから、か
つては全国的にそれほど珍しい種類ではなかったのだろう。
西日本の産地では、条件さえ整えば人工的な溜め池にも飛来するらしいので、個々の棲息環境より
も、生息環境が周囲に連続して分布することが重要なのだろう。もっとも、これはベッコウトンボ
だけに限らず、殆どのトンボ類に当てはまることだ。
トンボを保護しようとする場合、ひとつの水域だけを保全することはあまり意味がない。ある種を
採集禁止にしても、自治体の枠を超えた広大なエリアの生息地も同時に保全しなければ効果は薄い。
しかし土地の経済的な価値などを考えると、それは現実的には不可能だろう。トンボと金のどちら
を取るかと言われれば、殆どの人間にとっては答えは明白だからだ。
人間が自然環境を消費して生きている以上、ベッコウトンボやシマアカネもその犠牲にならざるを
得ない、ということだろう。