日曜日。朝からよく晴れ、最高のトンボ日和だが、あいにく実家方面へ行く予定がある。
このまま何もしないのも勿体ないので、用事の前に、とある虫を狙いに海沿いの公園へ。
現地到着は午後4時半。既に太陽は西の空に傾き、海からの涼しげな風に木々の葉が揺れている。
こんな日は、真っ昼間から動いていたら体力を消耗するだけだ。日没前の数時間で充分成果は出るだろ
う、と踏んでいた。リュックには小継竿が一本。ネットは持っていない。
駅を降り、歩くこと5分。見上げたマテバシイの枝に、その虫はいた。
ホシベニカミキリ。1年振りの再会だ。
手を伸ばしても届かない高さだが、こんな時に活躍するのが、竿。竿を伸ばし、下からカミキリをそっ
と突くと、ぽろっと足元に落下するのだ。
首尾よく収納し、枝をくぐり、幹部分をチェック。すると頭上に気配。
やはりいた。産卵場所を求めて幹や太い枝を徘徊する雌。この個体も届かない枝を歩いていたが、運良
く向こうからこちら側に降りてきてくれたので、そっと摘む。
他には、、と周囲を見渡すと、滲み出た樹液にシロテンハナムグリ。
樹液が出ている部分をよく見ると、これはホシベニカミキリの雌が作った産卵痕だった。雌は楕円形状
に広く樹皮を削り取り、その中に産卵するという。
その後は園内をあちこち歩き回り、マテバシイやタブノキをルッキングして巡る。ひとつ発見すると立
て続けに見つかるパターンが多い一方、1匹だけが寂しそうに止まっている木もあった。
昨年よりは探索に時間をかけたからか、見つけた個体は多かったが、手にした個体はやや色褪せ、跗節
や触角などが欠けた老熟個体が目立った。
やはりホシベニは5月中に行っておくべきだったかもしれない。