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トンボの日々

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2014年 07月 14日

烏と南

種としてのミナミヤンマの分布は、四国は徳島から九州中南部、トカラ、奄美諸島を経て沖縄本島に達
し、ここでカラスヤンマと名前を変えて、さらに海を隔てて慶良間は渡嘉敷島で終わる。

黒潮に沿った、この長大な分布域の中で、雌の翅の斑紋が地域によって変化するのは有名だ。地域ごと
に変化する、ということは、地域内では逆に変化に乏しい、ということになる。

今回の島での変化はだいたいこんな感じ。

烏と南_a0126535_30627.jpg


真ん中の個体が典型的なパターンで、その右はやや翅前縁の黒帯が細い。逆に左の個体は、かなり褐色
斑が発達し、まるで沖縄のカラスヤンマを彷彿とさせる。こういう個体を見ると、やはりミナミヤンマ
とカラスヤンマには連続した繋がりを感じてしまう。

雌の翅の多様性が最も顕著なのは沖縄本島個体群であるカラスヤンマだが、その理由は、同所的に同属
のオキナワミナミヤンマが棲息しているためだという。確かにそれ以外の地域では、同属の2種が混棲
している場所はない。
しかし、翅が透明なオキナワミナミヤンマと区別するだけなら、全体が黒褐色のパターン一つだけあれ
ば良いわけで、果たして多様性が必要だろうか?

ここからは妄想だが、沖縄本島の多様性は、ミナミヤンマタイプから完全な黒褐色タイプへの、移行の
途中の状態なのではないだろうか。ということは、今後何万年かすると、沖縄本島の個体は全て黒褐色
のみということになる。
いや、その頃には温暖化が進んで、台湾のミナミヤンマが北上し、さらに複雑な多化現象が生じている
かもしれない、、、。

好き勝手な妄想を自由に垂れ流せるのも、昆虫趣味の楽しみのひとつだと思う。

by brunneus | 2014-07-14 23:27 | その他 | Comments(0)


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