トンボの雄は成熟すると、基本的に水辺に戻って縄張りを張るので、目につきやすい。いっぽう、雌は
不活発で、普段は水辺周囲の森林や草地などで過ごし、産卵の瞬間だけ水辺を訪れるので、生態を熟知
していないとなかなか出会えない。
そしてこのトンボ。
ダビドサナエ雌
サナエトンボの中では普通種とされるトンボだが、個人的には馴染みがあまりない。
その理由は、わざわざこのトンボを狙いにポイントに出向かないからだ。それでも雄は偶然手にできる
ことはあるが、雌には殆ど出会わない。
しかし、トンボ図鑑用の写真を集めるようになってからは、どうしても雌を入手せねばならない状況に
なった。どうしたものかと思案していたところだが、先日、別のトンボを狙った帰りの谷津で偶然採集
することができた。
採集した環境は、流れに隣接する木漏れ日の落ちる林道。考えてみれば、「生殖地に隣接する静かな空
間」というのは、ダビドサナエに限らず、多くのサナエトンボの雌に共通する居場所だ。しかし、条件
が合う空間に必ず居るかというとそうとは限らず、結局は運まかせの部分が大きいように思う。
何はともあれ、懸案の一種が片付いたことで、少しほっとしている。