トンボの日々

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2016年 08月 23日

バクダッド・カフェ

8月頭の数日間は、仕事で東北地方に滞在していた。
朝から夕方まで缶詰だったので野外には出られなかったが、最終日に半日ほど時間を作って、あるトン
ボを狙って、一路北へ。

そのトンボとはキバネモリトンボ。本州では東北地方の一部にしか産地はなく、海岸沿いに広がる低湿
地帯に棲息するという。タカネトンボとごく近縁だが、今まで見たこともない種なので、どこをどんな
風に飛ぶのか皆目見当もつかない。ポイント周辺には午前中に到着した。

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地図を見ながら良さそうな場所を巡るが、とにかく暑い。人っ子一人いない、原野を切り開いた一本道
をひたすら彷徨ううちに、次第に体力を消耗してくる。
原野を流れる水路や水溜まり、空き地など、可能性がある場所はおおかた見てまわったつもりだが、つ
いにエゾトンボ型のトンボを発見することができなかった。
点在する池にもトンボは殆ど見られず。せめてオオルリボシでも、、との淡い期待も抱いていたが、時
期が早いのか、時間帯が悪いのか、一匹たりとも姿を見ることはなかった。

そんな中での僅かな成果。

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左:コフキトンボ雌(オビトンボ) 右:タイリクアカネ雄(未熟)

このコフキトンボ雌は、飛んでいる時から妙に黒く見えた、黒化傾向の個体。タイリクアカネは関東に
は分布していないアカトンボ。羽化したての未熟個体ではあるが、一応初採集。

トンボが少ないなか、唯一沢山飛んでいたのがオニヤンマ。退屈しのぎにネットに入れてみると、違和
感。その違和感の原因は、小ささだった。

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オニヤンマ雄

定規を当ててみると、80㎜ぎりぎり。関東では、こんなオニヤンマは見たことがない。ヤンマで言え
ば、コシボソヤンマと同じくらいだろうか。ためしに他の個体も手にしてみると、みな小さい。
オニヤンマは寒冷地や島嶼では小型化すると言うが、この場所は寒冷地による小型化、、ということな
のだろうか。

滅多に行かない場所なので、是非ともキバネモリトンボを手にしておきたかったのだが、残念。しかし
それよりも、道路の周りは荒れ地と森、そしてまばらな人家という、まるで「バクダッド・カフェ」の
ようなロードサイド・ランドスケープの中を歩き回った記憶が強烈に残る。日本の地方の大部分を占め
る、この徹底して無味乾燥な風景については、一度じっくりと考察してみる必要があると思う。

そして再び、灼熱の関東に戻ってゆく。







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by brunneus | 2016-08-23 23:35 | その他 | Comments(0)


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